結衣は少し落ち着いたのか、素直に返事をした。
蓮美も、少し言い過ぎたかと思っていた。


出て行った娘・・・は、なかったかもしれない。

 


「リフォームだけど。」


「うん。」


結衣が身を乗り出してきた。


蓮美は夫のコーヒーを入れている。


「結衣は紅茶がいい?」


バリスタのブラックコーヒーを夫の前のテーブルに置くと、蓮美は結衣の紅茶の準備を始めた。


「おかあさん、自分でするわ。」


「そう。」


結衣は勝手知ったるキッチンで、ティーバッグを出してカップにお湯を注いだ。


「それで、リフォーム。」


ティーカップを持って、結衣がテーブルについた。

 


「リフォームはね、以前から考えていたの。」


「屋根壁も、十五年くらい前に一度塗り直しただけだしな。」


「私達も年だし、とうさんも定年で第二の職場でしょ。
結衣が高校の時に屋根壁をやってから、何も直してないのよ。」


「駐車場は坂になっていて、使いづらいしな。」


「家の中のクロスもかびてるところがあるでしょ。
クロスの張り替えもしたいの。」


「かあさんが、この和室もフローリングにしたいと言うし。」


「だって、もう何年も前から冬は膝が痛いのよ。
歳を取ったら、椅子の生活がいいと思うの。
ロコモティブシンドロームって知ってる?」


「かあさんは、心配性だからな。」


「そうじゃなくて、もうリフォームなんてできないから、
この機会に高齢者が住みやすい家にしたいのよ。」

#3へ続く



小説「虹を紡ぐ人びと」
水月あす薫mizuki asuka


500円+税
540円


北の杜編集工房
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家庭料理 蓮 にあります。

家庭料理 蓮
浅野美子

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