ある夜勤の日。
手術後のケアや検温等が一通り落ち着き、ナースステーションで記録をしていた。

ナースコールが鳴る。訪室するとある女性の部屋だった。
足の手術を行った50代の女性である。
手術後2日目程度のため、移動の時は車椅子の介助が必要だ。
「トイレお願いします」

(う……。)
笑顔で応対するが心の中では焦りが生じた。
なぜなら…
その女性は肥満体型だったからだ。
足の痛みのため、抱え込むようにして介助しなければならない。
立ち上がる時、
「いたたたた!!!!いたーい!!」
痛みのため全体重を私にかけてくる。
(こ、腰が…!!!)

何とかトイレへお連れする。しかし、立ち上がるタイミングは一回だけではない。
ベッドから車椅子へ、車椅子からトイレへ、トイレから車椅子へ、車椅子からベッドへ…
4回はあるということ。

その度に、私の腰が悲鳴をあげる。
患者は足の痛みのため、「いっったああー!!!」と叫ぶ。気の毒には思うのだが…
私も叫びたい。

やっとこさベッドへ戻り、私もナースステーションへ戻る。30分ほどが経過し、また同じ患者からナースコール。
「あれ、何かあったかな?」訪室すると…
「トイレお願いします」

ん!?
おかしいな、さっき行ったばかりだが…
と思いつつまた一連のトイレ介助。
しんどいが、これで大丈夫だろうとナースステーションへ戻る。
また1時間以内にナースコールが鳴る。まさか…と思いつつ訪室すると
「トイレお願いします」
…どーゆーこと!?
いくらなんでも頻回すぎる!!高齢じゃないのに!!!
それとなく聞いてみる。
「お腹下したりはしてないですか?」
「そうじゃないの。なぜか頻尿なの、困っちゃう。トイレ行くのも痛くて大変なのに…」

うーむ…点滴もしていないが…
ひとまずトイレへ。腰砕けになりながら、なんとか介助を終える。
何が原因だ…?心理的なものか…?それとも膀胱に問題があるか…?

「ありがとう、何度もごめんなさいね。何でかしらね…」
と言いながら、ペットボトルの水を一気にガブ飲みする患者。気づけば、空いたペットボトルが何本も机に置いてある。

…原因確実にそれやろ!!!!
頼む、もう水飲まんでくれ…!!
アンタ体重重いんじゃ!!!こっちの腰が砕けるわ!!!!!
…とは言えずに朝までひたすらトイレ介助を繰り返したのだった。
夜勤明けは、腰痛に悩まされることになったのは言うまでもない。