ごまめが歯ぎしりをやめる日 -11ページ目

ごまめが歯ぎしりをやめる日

くだらない事をうだうだと書ける今日という日に、心から感謝。

復路、西湖を順調に抜けて残り時間の心配も少ない状況となったことで、信号待ちやエイド以外の「歩き」をこの日はじめて挟みます。



・・・さすがに走っているときのリズムとは違うので、全身が一瞬ガクンとなります。


加えて、次に走り出すタイミングが取れない。

これは冬の寒い朝、温かいふとんにくるまっているようなもの。


まだ遅刻する時間でもなく、ふとんを引っぺがすオカンもいないけど、いつか自分の意志で起きなければならない。どうしよう。という感覚にきわめて近いものがありましたよ。ええ。



どうしよう、どうしようと思いつつ歩いていたら、

ほどなく西浜小学校のエイド(58km)に辿り着きました。

周りもみんな、エイドを前にして歩きに変わります。これはいい区切りになってラッキー。



気温は大きく下がりませんが、冷たい風がだんだん強くなっていて

身体の中からちょっと冷えてきた感じがしました。



「ココア、いただけますか?」

このエイドではホットドリンクを頂戴します。

レースで温かいものを飲むのはつくばマラソンでのおしるこ以来ですが、甘さと温かさで心から落ち着きました。感謝。


後ろから来るランナーも、レモンティーやコーヒーなどホットドリンクのリクエストが次から次へと。思いは同じということでしょうか。



エイドで必要以上の長居は禁物。

軽くストレッチをして、再び下りとなった道を河口湖に向けて走ります。



あと14km。

練習でも普通に走っている距離が、とんでもなく長く感じます・・・


ただ、心は折れません。

むしろこの状況は走る前から望んでいたものじゃなかったのか、と。




どこも痛いところがなく、疲れもせずにゴールなんて、何がおもしろい?


心身ともにすっかりヤラれてしまいながらも、その状態を楽しむことこそウルトラの醍醐味。


満足に身体が動かなくなることを覚悟して、著しい疲労をむしろ歓迎して走るからこそ、ウルトラのやりがい。




よくマッサージで「イタ気持ちいい」という表現をしますが、

同じ理屈なのです。辛くもあり、楽しくもある。「ツラ楽しい」。



麻痺ではないんですね。

痛みや苦しみをすべて「受け入れている」状態。

初めてのフルマラソンでも、ここまでは思いませんでした。


ということはこれが、

「相棒」の舞台挨拶で水谷豊が言ってた『ゾーン』というやつなのでしょうか。。。



とことん自らを苛め抜いた先に見えるのが富士北麓のゴールテープだという思いを胸に、河口湖もしっかりと走り抜け、あと約6km。いよいよ立ちはだかる最後の難関へと向かうのでした。



(つづく)


本栖湖から、復路の30km。


コースの大部分は往路と異なる道を走ります。

精進湖、西湖、河口湖も往路ではそれぞれ上半分をなぞったので

帰りは残りの下半分を走り、ゴールの富士北麓を目指します。



当然ながら、脚はかなり重くなっておりまして、

エイドのごとに水は飲むだけでなく、頭からかぶり、背中も冷やし、

両脚も太もも、ふくらはぎ、足首と、CW-X(タイツ)の上から

シューズが濡れない程度にぶっかけて冷やします。


気温はスタート時から2度下がって14℃。

徐々に風が強くなりそうだったので、手袋、アームウォーマーは

ゴールまで外すことがありませんでした。



スタート前から考えていたのですが、

これはウルトラマラソンを走る上で「戦術」ともいえるテーマですが・・・


初めてフル以上を走るということで、無理に「完全完走」を考えない。

終盤、どこかで「歩く」ことを含んだレースプランを立てていました。


ただ、前半から無理に貯金を作りすぎる速さではいけないし、後半の早い段階で歩いて貯金を使ってしまうことも、制限時間との戦いという意味ではリスクになる。



自慢ではない・・・いや、自慢ですが(どっちやねん)過去、出場した大会の全てにおいて私は「歩いた」ことが1度もありませんでした(エイド等は別です)が、ウルトラ初心者の身ではそうはいきません。


エイドでの小休止に時間を割きすぎない代わりに、時計を見ながら無難に歩く時間を取る。ウルトラは頭を使う要素も多分に含む、計画的なスポーツです。



往路よりさらに短い精進湖を抜け、樹海を渡す橋の連続を登りきり、野鳥の森公園のうどんはパスしてサプリをしっかり摂り、


「とりあえず西湖までは走ろう」と気合いを入れて、身体が傾くほどに風が強く吹く湖畔に苦しみながら、西湖を抜けました。



ここまで58km。あと14.5km。

予定通りのタイムで距離を踏み、やっとこさ、ゴールまでの「計算」ができる場所まで来たようです。



奥には青々とした河口湖が見える、トンネルの手前。




軽い登り坂を前に、思わず・・・


「歩こ。」




(つづく)



ごまめが歯ぎしりをやめる日-ゲート

ごまめが歯ぎしりをやめる日-富士山



112km、100kmのスタート時はかなりの寒さだったようですが、


朝の8時前ともなれば、気温も上がって15度前後。

72kmの参加者にとってはいいコンディションとなりました。



スタート前には、東日本大震災の犠牲者に向けて黙祷。



「PRAY FOR JAPAN」が大会のテーマであることを忘れず、

選手の走行距離が被災地への義援金になることも忘れず、

そして今日、レースに出られることへの感謝も忘れず・・・。



スタート時の緊張感はあまりなく、

他の選手たちもこれからアップするような感覚で、ソロリと飛び出します。


私も今朝はストレッチと5分ほどのジョグ程度。

レース序盤で身体をほぐしていくのが、ウルトラの走り方です。



ゆったり、キロ7分ぐらいのゆるい流れ。

残りの距離を考えつつ、これ以上速くても遅くても疲れる、というペースを守っていきます。


スタート後2kmにもならないうちに、スターターをやってたワイナイナ選手が後ろから。そして猫ひろしも続いて後ろから。


長い下りを経て、富士吉田市街へ。

最初のエイドから、ちびりちびりと水を飲んでいきます。

山中湖を走ってきた112km、100kmのランナーとも合流。

みんな明け方からもう30km以上走っているわけですね。。。


富士急ハイランドを右に見ながら、10.7kmのエイドでパワーゼリーを食べる。内臓の消耗を考えて早め早めの補給がウルトラの鉄則、だと聞いたのでそうしました。



100分ほど走って、ようやく最初の湖、河口湖へ。

前半はスポーツドリンクのないエイドが多く、携帯していた粉末サプリ(ウィグライ、ニー)をしっかり摂っていきます。


湖畔はおおむね平坦ですが、公道ゆえに足元やコース取りを気にしながら走る時間が続きます。歩道のない区間では後ろから車がスレスレで抜いていくこともありました。歩道の段差に足を取られて転倒するランナーもいて、なかなか大変です。



そんな中を、なんとか予定通りのペースで踏んでいく私。

河口湖を抜けて、西湖に向かう途中の峠にある最初の関門(23.9km)を2時間40分ぐらいで通過。


次の西湖も淡々とクリアし、吉田うどんの待つ野鳥の森公園へ。

「アップデートにまったく記録が出ないので、リタイヤかと思った」という嫁(おはぎ)がカメラを構えて待っていました。


いいタイミングで美味しいうどんが食べられました。

しかし急に寒く感じたので手袋とアームウォーマーを再び装着し、精進湖~本栖湖の折り返しに向かいます。



精進湖への道すがら、眼下に樹海を見下ろしながら、瀬々波橋、青木ヶ原大橋、赤池大橋と下っていきます。


瀬々波橋は(私のような)高所恐怖症の人にはちょっとつらい区間ですが、見晴らしは最高です。ただし、帰りはこの道を登ることになります・・・。



距離の短い精進湖の外周を終えて、一路本栖湖へ。

途中の地下道への誘導にはびっくりしましたが、これもまたこの大会らしい個性でしょうか。第2関門となる本栖湖県営駐車場が、ちょうどフルマラソンの距離となる42.1km。ここで着替えを行い、休憩を取ります。



エイドに置いてあったコーラを一口。しみますね。身体に心に・・・

パワーゼリーに、チョコレートも頂きます。まだ胃腸は大丈夫のようです。


42kmも走ってキツくないわけがないのですが、あと30km走って帰らないとゴールはありません。

とりあえず往路は歩かずにこれました。しかしここからは未知の領域。間違いなく、もがき苦しみ続ける数時間となるでしょう・・・



「よし、いこか」



ポケットにサプリメントを補給し、頭の上のコバトンをポンと叩いて出発。


復路、富士北麓を目指します。



(つづく)




ごまめが歯ぎしりをやめる日-前日



今年のチャレンジ富士五湖は、土曜日開催。

祝日の金曜日に現地入りして、翌朝のスタートに備えます。


前日受付の会場では、選手説明会とゲストによるトークショーなど。

大会を主催するランナーズウェルネスの代表、坂本雄次さんに

おなじみエリック・ワイナイナ選手、そして本当にカンボジアへ亡命するのか猫ちゃん(猫ひろし)。

司会は「フルを3時間1分で走るMC」こと高瀬みどりさん。ランナーズウェルネスの大会ではおなじみの顔ぶれでございました。



ワイナイナは昨年の富士五湖72kmでウルトラの距離を初経験。

そして6月のサロマ湖100kmに挑んで見事優勝。五輪銀メダリストだからウルトラでもこの結果は当然かと思いきや、サロマの激走が響いて、足に大きな血豆を作って大変だったそうです。今年も72kmのスターターを努めた後、自らも走るという一人二役の活躍でした。サロマも出るんでしょうかね・・・


坂本さんといえば、寛平さんのアースマラソンや24時間テレビのマラソンでも有名ですが、今年のランナーに決まった徳光さんの話もいろいろと。


24時間テレビが20周年の節目を迎えるいうことで、1回目からパーソナリティを努めている徳光さんに走ってもらってはどうかと、今年の1月にオファーを出したそうです。



徳光さんには心筋梗塞の病歴もあるので、夏場のマラソンは大変かと思います。


24時間で70kmとか100kmとか、「簡単じゃないか」「俺でも走れる」「最悪歩いてもいける」などと思っている人は、マラソン未経験者を中心に山ほどいるでしょう。


ただ私から言わせれば、

私でも走れるかどうか、というより、走りたくない(笑)。



真夏の炎天下。

このチャレンジ富士五湖と同様に交通規制の全くないコース。

歩道しか走れず、階段を登ったり歩道橋を渡ったり、信号待ちもあったり。



トレーニングなしであんな挑戦をやったら、熱中症で倒れるか、あるいは歩き通しでも足の裏をやられて立つこともできなくなって終了でしょう。。。


毎年見ていて思いますが、あのマラソンは過酷さが伝わりにくいチャレンジだと感じます。毎年伴走する坂本さんも、本当に大変でしょうね。




話が大きく逸れましたが、

チャレンジ富士五湖のコースは、24時間テレビで初めてマラソンを走った間寛平さんが、スパルタスロンに向けての練習に使用したコースだそうです。



フルマラソン以上の距離は、練習でも走ったことがありません。

練習として予定していた板橋cityとかすみがうらがキャンセルとなって、ほぼぶっつけで臨む形にはなりましたが、フルを走るペースからキロ1分~1分半遅い設定なら、なんとか最後まで気持ちで走りきれないだろうか。


不安はもちろんありましたが、未知の領域に挑む72kmの長い旅を明日に控え、明日自分の身に待っているものが何なのか、好奇心めいたものも同時に湧いてきていました。



ちなみに私が受付を終え、説明会に参加している間、応援兼サポートで来てくれた嫁(おはぎ)は「身体がなまる」と言って、富士北麓公園の周りをグルグル走っておりました。



今晩は緊張で寝れないかな・・・と思っていましたが、


現地入りしてから、気温の変化に対応できなかった私。



クシャミを連発。。。ここにきて、風邪か。。。



念のため薬を飲んで(数は少なめで)、水分をたっぷり摂って21時に就寝。おかげで8時間、ぐっっっすり寝れました。翌朝もスッキリ。


いい塩梅の風邪で良かった。ヘタすればDNSものですが。なんという綱渡り。



(つづく)




ごまめが歯ぎしりをやめる日-コバトン



自身、初の「フルマラソン超え」となった、

「21thチャレンジ富士五湖」ビギナーズ72kmの部。

9時間49分で、無事に完走しました。



東京マラソンと同じく、頭には埼玉県のマスコット「コバトン」を乗せて。


富士山のデザインにスワロフスキーをあしらった完走メダルは、

コバトンにとってもまた格別のようです。


スタートからゴールまで、たくさんのご声援を頂戴しました。

この場でしかお礼を申し上げられませんが、

皆さん本当にありがとうございました!


中には「鳥!」「カラス!」「あひるちゃん!」などなど・・・

そんなことはいいんです。声を掛けて頂いただけでも

私にとっては十分力になりました。ありがとうございました!



スタートからちょうどフルの距離となる42.1kmで本栖湖手前の折り返し。

そこから復路は30kmを走って、富士北麓のゴールへ。


思えばマラソンブームもあって、

フルマラソンを完走する人の底辺も増えてきています。


だったらもっと走って、にわかのランナーが届かない領域へ行ってやる。

ウルトラの距離に挑む理由の1つ、なのかもしれません。


私は体質的に(ケガしやすい)スピードを求める走りには限界があるので

フルで4時間切れたし、これからはゆっくり走ることをベースに

距離を延ばしていこうか、というのが富士五湖エントリーの理由でした。



途中で何度も休息を取って、着替えもして、トイレにも行って、

普段のレースとはまったく違う雰囲気はある意味楽しかったです。

どれもこれも、無事に完走できたから言えることですが・・・



とにかくいろんなことがあったので、

詳しいことはまた後日、書こうかと思います。


ちなみに一夜明けて、筋肉痛は全身にじわじわ出ている感じです。

(レース中にサプリをたくさん摂取するからか、局所の痛みはありません)

体重は1kgぐらい減。何度も書いてますが、マラソンでは痩せませんね。