私は  準備稿を読んで
体が震えた



「演りたい!これで私は変われる!」と



当時  出す曲  出す曲  売れず
マネージャーもディレクターも
そして私も  
もがき苦しんでいた



何の変化もない  水面に
波紋を立たせるのは
自分で  石を投じるしかない…と



私は即
動いた



I氏に電話をし
演る意思を伝えた

ものの…
それからが大変だった



マネージャーを説得し
社長と喧嘩しながら
既に入ってる何本もの仕事を
延期や  キャンセルし
社内でも顰蹙を買い
「ルミ子のわがままには参る」と言われた


でも私は
「これで私は 変われる」
と強く  強く  直感したのだ!





撮影初日は  宝塚市内

前日入りした私は
伊藤監督  ショーケンと
食事をした



「初めまして。私、映画は始めてなのでご迷惑をおかけするかも知れませんが、頑張りますので宜しくお願いします!」

「ルミ子ちゃん!監督がルミ子ちゃんじゃなきゃ降りるって言うんで、参ったよ!受けてくれて有難う!」
と、あの少年の様な屈託のない笑顔で優しく迎えて下さった



そして…
物理的な理由で
ラストシーンから撮ると言う監督に

「監督、それは酷だよ!始めてのルミ子ちゃんにラストシーンから撮るってのは!何とかしてやってよ!」と気遣ってくれたショーケン


優しい方だ!


お会いする迄
怖い方だと思っていた

「大変だよ」とも聞かされていた



でも私は
一度も  そう感じなかった



ストレートで
純粋で
男気に溢れ
したたかに生きられない  
素直な人



私は
そんな…
『繊細なガラス細工』
の様な  ショーケンと芝居をするのが
楽しかった






(続く)