毎日を生きているといろいろありますよね。
嬉しいこと楽しいことも多いけれど。
そうではないことも日々起こるのが人生。
幸せにしか見えない人も、
いつも笑顔で元気そうな人も。
実は無理して笑っている日もあれば、
幸せ仮面をかぶっている時もあるはず。
煩瑣な日常にまみれて暮らしていると
気づかないうちにいつしか
それほど重要ではない習慣に
がんじがらめになっていく。
どこまでも追いかけてくるメールに
意味もなく瞬足で返信するのが習慣になり
世間体やしがらみへの武装で
感性に合わないジュエリーや洋服を身につける。
次第に、人にどうみられているかを自分はどう感じているかより重視するようになり
でもある時、ふと、それらすべてが自分らしくなく、体からはぎとってみたくなる。
そんな時は。。。
日常生活からあまり意味のない習慣を一旦放棄するか、おあずけにすると、気持ちが軽くなり、五感に潤いを取り戻せることに気づきます。
ニースから車で20分。
山に聳える断崖絶壁の上にあるペイヨン
2017年にこの村のアパートに1週間滞在しました。
今回のプロバンスで
最後のギリギリで見られたラベンダー
バケーションは、日常から非日常への旅立ち。
必要のない悪習慣を一旦お預けにし、心を自由に泳がせてあげられるいい機会です。
メネルブのある民家
今年の旅は(も)毎日がノーメイク
ジュエリーもほとんど身につけない日々を過ごしました。
メネルブの家の扉
さらに、
たまにドカンと試練だとしか思えないことがふりかかってくることもあります。
能天気なわたしですが。。。
今振り返ると、今年に入って半年ぐらいは、毎日、朝目が覚めてから眠るまで、心がザワザワし、不安で息苦しくなる、そんな日々を送っていました。
特に2月、3月、日本に帰国していたときも含めて、今思い返すと味覚も効かなくなっていたようです。
何をいただいていも美味しく感じない。
味が全く感じられないわけではないのです。
ただ、味がフラット、と言えばいいでしょうか。
味がフラットだと人生も平板で味気ない。
それから夜何度も目が覚めてしまっていました。
ぐっすり眠れないのです。
だから昼間もなんとなくだるい。
でも、そこで無理をして頑張っちゃうんですよね。
頑張るしかないと思って。。。
不思議なもので、それでもそれほど危機感は感じないのです。
ただ夢中で、そんな日々を乗り越えようとしていました。
それから夫が奇跡を起こしてくれて。。。
なんとか義母を説き伏せて、無理強いすることなく、トロントに住んでいただくことに合意くださいました。
その一連の手続きは、まさにミッションインポッシブル。
実際に達成できるのかどうかはだれも確信はできなかったのですが、夫が火事場の馬鹿力でやり遂げてくれました。
さらにそれに対し、義母も初めて感謝の言葉を述べてくれました。
ただ、やり遂げた後も、夫はしばらく、PTSDに似た症状が残り、苦しんでいました。
※PTSD(心的外傷後ストレス障害)
生死に関わるようなトラウマとなる出来事を経験した後、その体験が忘れられず、強い恐怖や不安、回避行動などが続く精神疾患のこと。
こういうことかなと思うんです。
大変な時、その最中は無我夢中で頑張りなんとか必死で乗り越える。
なんとかかたがついてあとで冷静に振り返ってみて。。。。
あまりに高い山の頂上まで登り切ったのはいいけれど、下を見下ろし突然下りるのが怖くなる。
または戦場で戦った兵士が、戦争が終わって帰国した途端PTSDに悩まされる。
が、ポルトガル&プロバンスに旅立てた頃から劇的に症状が緩和されました。
ポルトガルもプロバンスもニューヨークから行くとまるで別世界だったのが断ち切るいいきっかけになったのだと思います。
毎日、不安や心配を抱えて、最悪の事態に慄いていた落ち着かない日々から一転し、まったく違う環境に身を置いたことがよかったのでしょう。
ポルトガルで行ったミシュランレストランで、いただいたもの全てが涙が出るほど美味しいと感じました。
それをきっかけに少しずつ食べるものによっては美味しいと感じるようになっていきました。
そしてプロバンスに移ってからは、自分で作るものも含めて、何を食べても舌を通じ五感が感謝していると感じるようになりました。
そして夜もぐっすり眠れる。
辛すぎる時ってえてして心が麻痺してしまうのかもしれません。
だから日常から離れることは自分への一番の治療で、心に効くレメディです。
そんな時こそ、非日常への旅立ち。
まるで別天地で命のお洗濯をさせていただいた気分で帰ってくることができました。
百万の言い訳を超えて、えいやっとバケーションをとる。
お勧めです!
ニース
20年近く前に書いた記事です。今も読み返すと妙に共感します。