東京にいた時、義母から二度目の救急車を呼びたいコールがありました。
止めることはできず、ただ夫は目の前が真っ暗になりながら、帰国を前倒しにして慌ててニューヨークに帰ってきました。
帰国翌日には義母が住んでいたアッパーイーストのアパートから、必要なものだけをステーションワゴンにパンパンに積み、その翌朝義母を乗せてトロントに出発していきました。
今日はこちらの続きです。
ニューヨーク=トロントは飛行機なら1時間ちょっと。
そう東京=大阪ぐらいの距離ですが、飛行機は嫌だと義母。
結局10時間ほど運転をしていくことになりました。
夫は時差がある体でいきなり10時間の車の運転。
居眠り運転をして事故など起こさないだろうか。
大丈夫だろうか。
どれほど心配したことでしょう。
なんとか到着したと聞いた時はホッと胸を撫で下ろしました。
入居を考えている施設に隣接するタワマンに、1BR(ベッドルームとリビングルームがあるアパート)を抑えています。
2人はそこにまず落ち着きました。
義母はベッドルームに、夫はリビングルームのソファで寝る毎日です。
もうかれこれ10日。
彼は、13歳ぐらいの頃両親が離婚した関係で、義母とは今の年齢まで一緒に暮らしたことがありません。
離婚後彼は父親と暮らす道を選んだのです。
狭いお部屋で大丈夫だろうか。
気が変になるんじゃないか。
彼が自分で立てたプランとはいえ、気が気ではありません。
しかも夫が食事の世話やお洗濯まで担当しているはず。
また脱水しないよう、お水もしっかり飲むよう言わないと忘れちゃうそうです。
さらに
ここからがまた一難。
まだ主治医のアポが取れていませんでした。
その主治医からは、X線(感染する結核などにかかってないかを診る)や血液検査、尿検査をして合格判定を頂かないと入居できないんですよ。
さらに合格してもその入居先の施設で面接もあります。
加えて、、、
それまで知らなかったのですが、施設への入居に際し、査定されるのは体だけではなく、なんとメンタル面の健康もチェックされるということがわかりました。
このモントリオール・認知検査(Montreal Cognitive Assessment)認知症の度合いを調べる検査なんです。
実は義母はこのところかなり物忘れが激しくなっています。
大丈夫だろうか。
設問は主治医との面接で行われ、30点満点のうち21点以上を採れないとその施設に入れないのです。
正直に行って、体の検査よりこちらの方が難しそうです。
本当に一難去ってまた一難です。
猫ちゃん連れでなんとかトロントまできたものの。
もし、ここに入居できなかったらプランBはありません。
ニューヨークに帰る道は閉ざされ、かといって40年暮らしたパートナーは寿命を全うするのを待つだけという感じの病院に入っています。
それまで2人が住んでいた家は売るそうで、彼の息子さんから義母の荷物を全て処分して欲しいと言われ、夫は昨年トロントに行き、残したい家具だけはストーレージに入れてきました。
つまり、またゼロから答えを模索することになります。
ハラハラドキドキでした。
夫はほとんど眠れない日を送っていたようです。
一方、わたしも帰国すると翌日から義母のアパートの片付け開始です。
埃アレルギーと時差と闘いながらの作業です。
膨大なガラクタに混じり、100才まで生きても使いきれない、新品のまま1ダースも2ダースもある洗剤、ペン、石鹸、バッテリーや、未使用のお鍋やナイフなどがどんどん出て来るのですが捨てるわけに行きません。
加えて、家具も捨てるにしてもどこに持っていけばいいかさっぱりわかりません。
道端に放置できないのが辛いところです。
大きな家具を運び出すには(再利用するにしてもゴミとして処分するとしても)、サービスエレベーターの予約も必要です。
これらが想像以上に辛い作業でした。
夫がトロントで孤軍奮闘しているのだから、わたしがこちらは頑張らねば、と思うのですが、クローゼットの中で積み上がる埃を被った物の山をみると、ついつい昔の嫌な思い出がフラッシュバックしてしまうのです。
精神的なものもあるのかもしれませんが、マスクをしていても息が苦しくなります。
そして夜は眠れないのです。
なので毎日通って少しずつその作業をしています。
それからとうとう!
心配だったモントリオール認定評価の結果が出たと夫から連絡がありました。
自分の大学入試の合格発表なんかとは比べ物にならないぐらいドキドキしました。
結果は。。。
続きます↓
持つべきものは心優しい友人や娘。みんなに支えられてしばしの気晴らしをしながらやってます。