かつて不動産売買の仲介をしていた頃、実際に物件を見ないでオンライン上の写真だけでポンと購入をしてくださる方がいました。
しかも当時その方はベトナムにお住まいでした。
お買い上げくださったのはニューヨークの物件です。
しかも1億円以上の物件でした。
今では1億円出しても1ベッドルームしか買えませんが、当時は悠々2ベッドルームが買える金額でした。
ただ当時から、高額商品をオンラインで買う人がぼちぼちで始めていました。
考えてみたら、Rish NYでも数年前から扱っている高額なコートをポンとみないでお買い上げくださる方が結構いらっしゃいます。
そのお気持ちが嬉しくて、絶対に後悔していただきたくないと肝に銘じ、信頼に値するサービスを心がけております。
実はわたしもこのクリスマスに、物件ではないですが、夫の同意をいただき、実際に見ないでサイトで清水買いをすることにしました。
ルビーとダイヤモンドのリングを購入すると決めたのです。
ワシントンDCの美術館で見た
ビルマ産ピジョンブラッドのリングに
胸がバクバクしてしまいました。
こう書くと、なんと軽はずみな。
後悔なさいませんか?
という声が聞こえてきます。笑
はい、ごもっともです。
わたしも慎重すぎて石橋を叩きすぎることもあるタイプです。
これまでジュエリーをオンラインで買ったことはありませんでした。
ということで後悔しないようどんなことに注意したのか、オンラインでの清水買いについて書いてみます!
ダイヤモンドや貴石(サファイア、ルビー、エメラルド)や不動産は、賢く買えば投資価値が大きく見込まれます。
しかも株や仮想通貨と違い、毎日その現物と一緒に暮らすことが可能です。
また、価値が目減りするということはありません。
でも、それを実際に見ないで買うとなると、オンラインの写真は偽物かもしれないし、巧妙にフォトショをかけて実際以上に見せているかもしれません。
そこをどう見抜くかです。
わたしがオンラインでコンドミニアムを売った時、ベトナム在住のアメリカ人の方とはお会いしたことはありませんでしたが、1年以上にわたってメールでやり取りをし、また実際に電話でお話ししたこともなん度もありました。
わたしは何度も言いました。
「今度ご帰国されるまで待って実際に見てみませんか?」
「いえ、簡単には帰れないのです。でも物件は帰った時には購入しておきたいのです」
「では、お勧めするそれぞれの物件について、良い点だけではなく、市場に長く残っている物件についてはその理由についても詳しくお調べしますね」
その方には定期的にニューヨーク不動産の市場レポートも送っていました。
そして最終的に、彼女はこう言ってくれました。
「あなたの会社のことはよく知っているし、あなたのプロフィールや過去の売買の歴史を見ているので安心してお任せできます」
そして無事にとてもいい物件を購入いただけ、不動産価値は買った瞬間から上がり続けました。
一方、わたしが買うと決めたルビーの指輪ですが。
実は20代の頃から、いつかビルマ産(ミャンマー)のピジョンブラッドの指輪がほしいと、夢半分の思いがありました。
毎日身につけられる大きすぎないサイズでいい。
けれど、色は鳩の血の色。
真夜中に見る赤信号の色、と言い換えればいいでしょうか。
日本ではビルマのピジョンブラッドの指輪を見ることは、どんな有名宝石店でもまずありませんでした。
きっと、上顧客が望んだ時だけ、裏の金庫からそっと出てくるような特別な商品だったのでしょう。
ニューヨークに来てからも、47丁目のダイヤモンド街でも、GIAの鑑定書付きのサファイアならそれなりにあっても、ルビーだけはまず見かけることがありませんでした。
80年代ぐらいからビルマでは、ルビーの鉱山が枯渇し始め、また、政治的事情で輸出が難しくなっていったことがその背景にあったのだと思います。
ところが。。。
偶然にもいくつかビルマ産のルビーの指輪が売り出されていることを知りました。
すべて中古品です。
でも基本的に、このサイトなら家具もエルメスのバッグもシャネルのジャケットも、宝石も間違いはありません。
返品も受け付けてくれます。
その中でいくつか綺麗な赤いビルマのルビーを見つけました。
高価なものもあるのですが、手が届くお値段のものもあります。
わたしは久しぶりに心が高揚するのを感じました。
自分へのプレゼントのつもりで夫に、
「これ、買おうと思うんだけど、どう思う?」
と、聞くと、
「う〜ん、ルビーのことはわからないけれど、デザインがイマイチかな」
と、無下に却下。
ちょっとムッとして、数日考えてみたのですが、やっぱりこの先20年は生きることを前提に、ほしいという気持ちに拍車がかかりました。
「でも、やっぱり買うから」
ときっぱりいうと、
「ちょっと待って」
と、夫はいくつか自分が気にいるデザインのものを見つけ出しました。
「これはどう?」
そう言って見せてくれたのは、わたしが買おうと思っていたものの3倍のお値段のもので、ルビーの石ばかりかサイド両方にダイヤモンドがついています。
しかもティファニー製で、GIAの鑑定書もついておりルビーはビルマ産。
ダイヤモンドのカラーはF、キズはVS1、悪くありません。
夫が、娘にどちらが好きか、値段は見せずに聞いてみたら? と言います。
ゆくゆくは娘の手に渡る指輪です。
娘は即座に夫が選んできたのを選びました。
「わたしには似合わないと思うから、買うなら長く身につけてね」
というわけで、わたし的には大幅予算オーバーですが、夫がその指輪を買ってくれることになりました。
「20代の頃からほしいと思っていたんでしょ」
と、嬉しいことを言ってくれました。
ただし、ここですぐにポチッとしないのがお金の使い方に賢明な夫です。
この指輪は
1stDibs.comで見つけたわけではないので、その宝石商の電話番号を調べて、直接電話をしてみることにしました。
シカゴの宝石を専門とするアンティックディーラーでした。
そのオーナーと話をすることができました。
夫はまず、
「これまで宝石だけは、中古品を買ったことがないので、実際にあなたとお話ができて嬉しいです」
というようなことから会話を始めました。
このディーラーが扱うこの指輪が本物であることは、G IAの番号からわかりました。
でも、この指輪が本当にティファニーのものかどうかは電話でインタビューをして判断しようということです。
また、先方の言い値で買わないのも、アンティークを買う際の常識です。笑
オーナーとのお話からそれはティファニーであることにまず間違いないことがわかりました。
この経緯はとても面白かったので別記事で詳しく書きます。
夫はすぐに、クレジットカードでは買わずに、まずは手付金を銀行振り込みで送りました。
いますぐ全額を銀行送金するのが難しいからです。
さて、もしオンライン上で、夢の商品=ずっとほしかった高額商品に出会ってしまったら。。。
まず注意したいのは、そのサイトは信じられるかどうかです。
それが高額商品であればあるほど、サイトだけではなく、オーナーについてよく調べることが大切。
結局、その商品を信じられるかどうかは、それを扱う会社を信じられるかどうかですものね。
蛇足ですが、昨年高額なイタリアのコートをお買い上げくださった方が、
「オンラインであんな高いものを試着なしで買ったことはなかったのですが、長年るみさんのブログを読んでいたので、この方がお勧めされるものなら大丈夫だと思って決断しました」
と、涙が出そうになる嬉しいお言葉を頂戴しました。
本当に本当に励みになるお言葉でした。
高額なものであればあるほど、その会社やオーナーをきっちり調べることが大切かと思います。
なお、よく評価がたくさんあれば大丈夫、と思うかもしれませんが、アメリカではあの評価は全く信じられていません。
中国などからたくさんの人が雇われてニセの評価を書いている可能性があるからです。
それを見分けるには、英語や日本語がおかしくないか。
また、それを評価している人の別の商品に対する評価もしっかりチェックする必要があるでしょう。
ところで、ティファニーは偽物を寄せ付けないように何億円もかけてしていることがあります。
次回はそれについて書きますね!
どうぞ今日も良い1日をお過ごしくださいませ。
偽物もどんどん巧妙になってきています。