レイクイエム、ご冥福を | だれも書かない★ニューヨーク1%未満★

だれも書かない★ニューヨーク1%未満★

日本からは見えにくい、知られざるニューヨークやニューヨーカーのこと、たまにプライベートなことを書いています。

今朝、娘と夫を送り出し

ジムでパーソナルセッションでした。

 

そのあと、

少し時間に余裕があったので

お気に入りのBlake Laneで

遅い2度目の朝食兼早い

ランチをすることにしました。

 

すると、隣の席に見覚えのある顔を発見。

 

娘より1年学年は下だったけれど高校までアジア人ママの会みたいな感じで親しくしてもらっていたお母さんでした。

 

「元気? その後大学はどう?」

みたいな話に花が咲きました。

 

でも、しばらくするとやっぱりこの話題に行き着いてしまいました。

ケイト・スペードさんの自死です。

 

ケイト・スペードさんには

一人っ子のお嬢さんがいます。

13歳だそうです。

 

 

昨日、朝10時ごろ自宅で死亡しているところをハウスキーパーが発見。

学校が終わるとお嬢さんは、警察官に先導されたお父さんにピックアップされたそうです。

学校ではみんなが泣きじゃくり、各教室や廊下で大混乱になった状況が目に浮かびます。

 

 

一番難しい年齢で母親を亡くしたお嬢さんを、学校も保護者も、一体どうやってサポートしていいのか。

 

 

「あんなに幸せそうだったのに」

と、元ママ友。

 

彼女の親しい友人がケイトと同じビルに住んでいるそうです。

夫婦仲も悪いわけじゃなかったそう。

 

ケイトさんは瞬く間に大きくした会社を、子育てに専念するという理由で大企業に売却。

その会社もコーチにビリオンという値段で売られました。

 

つい数年前、もう一つ別の会社を立ち上げたばかりだった。

 

やるせない気持ちで、

娘の親友が13歳の時、

自殺未遂をしたことが

フラッシュバックしました。

 

手首を切り、真夜中近く

それを娘だけに告げ、

朝まで連絡が

取れなくなってしまったのです。

 

あの時、娘はもう一人の親しい友人にすぐ連絡を取らなくては、と大騒ぎをしました。

 

でも、その理由はその時は教えてくれませんでした。

 

それから翌日と翌々日は寝込んでしまいました。

 

結局、それは未遂に終わったのですが。

大好きすぎる友だちだったので

娘の心についた傷跡は

癒えるのにとても時間がかかりました。

 

ましてやそれが世界で一番愛するお母さんだったら。

想像するで胸が苦しくなります。

 

 

今でも、なかったことにし

そのまま封印してしまいたい思い出です。

 

 

あの時も、今も、こんな時、

わたしは人間それぞれが

持って生まれた「性/さが」を

思わずにはいられません。

 

どんなに厳しい環境に身をおかれ、

身を切るような孤独に苛まれ

親に虐待され捨てられても

だからと言ってだれもが死を選ぶわけじゃない。

 

 

自殺をするのに、実は理由なんていらない。

彼女が死のうと決めた理由を探しても虚しいだけ。

 

人が死にたいと思う時、理由はあっても

それを行動に移すとなると別。

 

ある種狂気の何かが宿らないと

自らの命を絶つなんてできないことだから。

 

正常な人間の本能は必ずストッパーがかかるようになっているから。

 

理由や動機はどんなに探しても無意味だと思うのです。

 

カソリックの世界では、自殺は一番の大罪と考えられています。

お葬式も出してもらえないところもあるそうですね。

 

でも、自分を死に追いやる人を責めることはできない、とわたしは思います。

 

それは、100%心の病からくるものだから。

 

ケイトさんは、お姉さんのコメントによると

長い間双極性障害(躁鬱病)と闘っていたそうです。

 

娘の友人もまた同様です。

 

 

癌になった人を責められないのと同じで

「鬱」などの心の病にかかった人を

だれも責めることはできない。

 

それは環境が原因なのか、

持って生まれたものなのか。

 

諸説はあって、どちらにしても

その病にかかった人をだれも咎めることはできません。

 

でも、今ならいいお薬があります。

きちんと自分を守ることはできるのです。

 

お嬢さんのためにも。

遺される家族のためにも。

 

 

日本では心の病は

体の病気ほど「まとも」には病気扱いされてないように思います。

 

薬を処方してもらうことをためらったり。

 

がんばれない自分にさらに落ち込んだり。

 

でも、症状を抑え、治すには

もう今はがんばらなくていい。

 

 

お医者様にきちんとかかるのが一番。

 

 

きちんとカウンセラーにかかり

辛い時はお薬に頼れば日常生活をきちんと送れます。

 

もし、お子さんが

長期間学校に行けなかったり

とても辛そうだったら。

 

もうしばらく学校には行かなくていいよ、というオプションもあると思うのです。

 

行きたくないなら。

親子で暖かいところに旅行でもしてみるとか。

 

軽い負担のない程度で

ボランティア活動ができる

のどかな開発途上国に行くとか。

 

 

1年捨てる覚悟なら

いろいろ楽しいことができるはず。

 

そして人生もずっと後になって

ああ、あの時、1年間レールから外れてよかった、と思えるときがくる。

 

 

 

繰り返すようだけどお医者様には見てもらったほうがいい。

 

大切なのは、何があっても

一人じゃないよと、

周囲の人がきちんと伝え続けること。

 

 

 

もし、お母さんになって

子育てが本当に辛いと感じるなら

 

何もやる気がしないなら

 

一瞬先は暗闇だと感じるなら

 

もう人生に楽しみは何も見つけられないと感じるなら

 

ぜひ評判の専門医にかかってください。

 

 

命だけは一度絶ってしまったら、もう2度と元には戻せないから。

 

 

大切な家族や友人のために。

何があっても死なないで欲しい。

 

死ぬ試みは一瞬の勇気で済むけれど

遺された人たちは

一生の悲しみを抱えて生きることになるから。

 

 

こころのほっとライン

 

 

ケイト・スペードさんのご冥福を心からお祈りするとともに、ご家族の方に心からお悔やみを申し上げます。