7年前の今日のこと、いつになったら平常心で思い出せるようになるのでしょう。
朝9時にテレビで見たあの画面、
10時から本命だったキンダー受験の面接を控え、
凍りつき、真白になった頭の中。
それでも夫は近所の病院に輸血の血が必要に違いないと駆け出し、
わたしは近所のスーパーに水などを買出しにでかけました。
その時、平常通りこぼれんばかりの笑顔で対応していたレジのジョルジーナにどれだけ勇気づけられたことか。
彼女は、同じスーパーで7年後の今朝も笑顔を振りまいてくれました。
あの時、ニューヨークからたくさんの尊いことを学びました。
グランドゼロの再開発に命がけで尽くしたいと、
直後に人もうらやむ職をなげうち、LAからNYに引っ越してきてしまったリンダとティマー夫妻、
「え~~っ、だれも来なくなって旅行代理店がざくっと倒産したあの時期に・・・
家族そろってニューヨークに来ちゃうって、ど、ど、どういうことぉ~><;」
生半可の行動力ではありません。
それを支えたリンダもすごいとおもいます。
わたしの大切なNYの友人となった彼らは、
自ら、そしてお嬢さんを含む家族をリスクにおいてでも、
譲れない信条を貫き、行動できる腹のすわった胆力を見せてくれました。
ティマーから受けた大きなプラスの衝撃を伝えたくて、↓の本を書くことになったといっても過言ではありません。
たまたま東京出張中だった彼もお祝いにかけつけてくれた出版記念パーティでした。
ティマーはグランドゼロ近くでとても重要な職につき、ニューヨークのために今日も尽くしています。
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この日を境に、わたしたちの人生も生き方も変わりました。拙著に詳しく書いておりますので、ご興味のある方は読んでみてください。
以来、強運とは一体どういうことなんだろうと何度も何度も考えました。
昔、ある方がこうおっしゃいました。
「たとえ飛行機が墜落して全員が亡くなっても、一人生き残る、私はそんな強運に生れついた気がする」
なるほど・・・確かにその方がそうおっしゃると、
きっとそうに違いないと素直に納得してしまうほどの運の強さをお持ちの方です。
一方、テロで亡くなった方、引いては交通事故など不慮の事故で亡くなった方は運が悪いということなのでしょうか。
この考え方をもっと広げると、
健康に長生きをし、仕事で大成功したり、
大金を手にさえすれば運が強いと手放しで喜べる、ということなのでしょうか。
その方の言葉は、以来ずっと私の心の中で小さなわだかまりとなって残りました。
運が強いことはすばらしいことだろうけれど、何か、手放しで喜べない、
喉に小骨がささったままのような状態で、強運ということを考えてきました。
大変な強運の持ち主が、手にしたパワーと富のせいで、
世のすざましい嫉妬に対し疑心暗鬼になり、
誰も信じることができず、孤独な生活を送っているというのはよく聞く話です。
ということは、強運=幸せ という図式は一概に成立するわけではないのでは。
7年前のあの日、ニューヨークのタワーに追突した飛行機2機、
ワシントンに突っ込んだ飛行機1機以外に、全く無関係の場所に墜落した飛行機が1機ありました。
後でわかったことには、本来、政府の重要な場所をターゲットにしていたのだけど、
乗客の中にニュースキャスターがいて、地上と連絡を取り合い、テロであると知った上で、
勇敢な乗客の数人が、本来ホワイトハウスに向かう予定だったとされている飛行機の針路を変えるべく反撃したためだと言われています。
残念ながらコックピットには侵入できず、ワシントンは回避できたものの、墜落してしまったのです。
Let's Rollを合言葉にワシントンを救ったユナイテッド航空93便の乗客たち。
運が尽きる最期までテロと戦って死んでいった彼ら。
あれから7年が経ち、
ずっと強運について考え続けてきましたが、未だに答えは出ません。
が、一つだけようやく納得できるようになったことがあります。
ニューヨークに暮らすことを選んだ以上、
不慮の事故、テロの巻き添えで命を落とすリスクを背負って生きるということ。
少なくともこの街はそのリスクが世界中の多くのどの都市より高いでしょう。
でも、わたしは、何かあったとき、自分と家族の命だけは守りたいと逃げ腰で生きるのではなく、
死ぬ直前まで、あのユナイテッドの乗客のように、Dignityを失くさずに行動できる自分でいたい。
明日死ぬことになっても、自分だけが助かる強運をなげうってでも、行動できるそんな勇気のほうが尊い。
そう思ったらなんだかいろいろなことが楽になりました。
今日、オバマとマッケインがメモリアルサービスに参加するために、ニューヨークに来ています。
両党が、いい形で協力しあっていける、そんな器の大きさを感じさせる両大統領候補に声援を送りたいです。
あの日、命を絶たれた多くの方の心からのご冥福をお祈りいたします。