チェスキーナ伯爵夫人のシンデレラ物語 (2) | だれも書かない★ニューヨーク1%未満★

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日本からは見えにくい、知られざるニューヨークやニューヨーカーのこと、たまにプライベートなことを書いています。





初めてお越しくださった方、まずは、


ニューヨーク・フィルとチェスキーナ伯爵夫人  と、


チェスキーナ伯爵夫人のシンデレラ物語 前篇  をご覧くださいませ。




洋子さんは、ハープの公費学生としてベニスに来て

2年後に、ベニスの伯爵家の御曹司で、26歳年上のレンゾー氏と知り合います。

それは、多分洋子さんが30歳になるかならないかのころのはず。

けれど、伯爵が前夫人と離婚し、洋子さんと結婚するのは彼が70歳の時です。

つまり、逆算すると洋子さん44歳のとき。



伯爵には前妻との間にお子さんはいらっしゃいませんが、

お二人の間にもお子さんはいらっしゃいません。

知りあってから15年近くもの間、

まだ日本人がうんと少なかったイタリアにあって

洋子さんは、根無し草的でよりどころのない生活、

単なる愛人という宙ぶらりんな時期を送ったわけです。




これは、海外で一人暮らしをしてみた方じゃないとわからないかもしれないけれど、

相当にきついことです。


いくら恋人がいても、

カップルカルチャー中心の欧米にあって、未婚というステータス、

しかも! 愛人はベニスの貴族ともなれば、

肩身の狭い思いや嫌なことも一度や二度ではなかったことでしょう。



これはわたしの勝手な想像だけど、

洋子さん、一度結婚に失敗して、結婚に「白馬の王子様がやってくる」的な期待がなかったから、

伯爵との結婚しない関係を、イライラしたり絶望することもなく、

逆に楽しみながらやり過ごせたんだと思うの。



それに、洋子さん、


天性の楽天性がおありなのでは。



また、純粋に他人の善意を信じることができる方なのではないかと思います。

小さいころに苦労なさっても、それで人間不信に陥ったり、卑屈になってしまったり、

世間を斜に構えてしまうのではなく、

元来人間がもつCompassionを信じてらっしゃるからこそ、

日本人はダメだ、黄色人種だと下に見られているに違いないとか、

差別や偏見を世間から受けているという被害者意識をもつことなく、

真っすぐな気持ちでレンゾー氏に長年つきそっていけたのでは。





また今回のニューヨーク・フィルへのサポートも、同様の理由で、

ご自分からもCompassionを、批判を恐れず、迷うことなく行動に移すことができたのでしょう。


つまり、彼女の中には、自分を信じきることができる、凛とした芯の強さがあって、それが彼女の魅力のひとつだったと思うのです。



そして、長年の入籍されない関係から晴れて結婚。




20代で知り合って、豪華なプレゼント攻めにあい、


しばらくは夢のような関係が続いても、


彼女が単なるきれいなだけの女の子だったり、


神秘的な東洋の女の子だったら、


いつか伯爵は、彼女にも飽きて、平常の生活に戻って行ったことでしょう。


だって、彼女とつきあうことで、彼が乗り越えなくてはいけないハードルは相当に高かったのではないかと想像するからです。




でも、二人は最後は、離れられない人生のパートナーとなります。


ここでわたしが思ったことは、前述の




1)天性の楽天性  

2)自分をポジティブに信じるセルフエスティームが高い  ことに加え、


(自分に自信があるということは自己顕示欲が強いということとは違います。本当に自分に自信のある人は虚勢を張る必要がないからです)



3)伯爵との関係の距離の取り方がうまかった


ということがあると思います。




そしてここは、またして拙著 からの引用で申し訳ないのですが、ぜひ!第3章を思い出してください。


洋子さんの美徳を説明できる似たよな要素をいくつか発見いただけると思います^^



またまた長くなってしまいそうなのでここからは次回に譲りたいと思います。




続く  ←click