ピアノの発表会が近づいてきて、
(中級なりに) 仕上げに力を入れ始めた。
ー スランプ ー
ピアノの発表会8~9日前から
急に弾けなくなった。
音を外し出しまくり、
鍵盤のどの位置に指を置くのかも
分からなくなる時があった。
「あれ、次の音なんだっけ?」
鍵盤から指がズレて音を外してしまうと
そのまま連続して外し続け、
後続の音の3つ目くらいで
どこか分からなくなって軽くパニクり、
止まってしまう事がある。
楽譜を見ながら弾く予定で練習していたが、
楽譜を見なくても弾けるように
暗譜して指を見て弾こうと思った。
もしかすると、日が近づいてからの
作戦変更がまずかったのか。
前々日に 発表会前の最終レッスンを
先生にしてもらった時に
泣き言を言ったのだけど、
「コンクールじゃないんだし、
少しくらい間違っても、飛ばせばいいし
楽譜もあるから戻る場所を作って置いて
そこから弾けばいいわよ。
それでもダメなら曲が短いから、
最初に戻って弾いても大丈夫よ。」
ー 作戦 ー
その日帰って練習の時、思い付きで
いくつかの注意点を、
楽譜の曲の最初のページの
題名の上に大きく書き込んだ。
新しい作戦だ
「肩の力を抜く」
「深呼吸をする」
(弾く前にブレスを入れるとすんなり入れることに気づいた)
「最初の小節の音と指確認」
「ソフトペダルの位置に足を用意」
(先生はウナコルダと呼ぶ)
他…
そして
弾き始めの前に注意書きを読む時間を取る。
確信はなかったけど
それを繰り返した結果、2/3位まで調子が戻った気がした。
(特に呼吸が有効と感じた)
ー 当日 ー
当日のホールにあるピアノは
小ぶりな茶色のベヒシュタインだ。
娘と連弾で何度か触ったことがあるが、
ソロでは初めて。
ベヒシュタインでスクリャービンを弾くのを
実はとっても楽しみにしていた
生前のスクリャービンは
家でベヒシュタインを使っていて、
私が選んだ曲も、きっと
ベヒシュタインで作曲したのだろう。
ベヒシュタインのピアノは、
ちょっと音が籠った感じで音が柔らかめ。
私も、音がどう違うかは
YouTubeで聴き比べをして知ったのだ。
激しくない曲なので、多分、
曲とピアノがとても合っているはず。
ー ベヒシュタイン ー
先生と挨拶を交わしながら
ピアノの前側に近づくと
鍵盤がこじんまりした感じがした。
「娘がちょっと低い?」と言ってたけど
鍵盤の高さ(位置)がウチのより低めだったかも。
私が感じたのは鍵盤の長さ(奥行)が
ヤマハのよりわずかに短め?な気がした。
(照明の関係か)鍵盤の色も真っ白ではなく見えた。
ピアノに触ったら
鍵盤が重くなくて丁度良い感じだった。
押し方が弱くても音もカスカスにならず
(家のピアノだと弱く弾く時に
音が鳴らないことがよくある)
弾きやすいし
とても良い
娘も、あのピアノいいねと言っていた。
ー リハーサル ー
リハーサルの時間はうちだけで30分だった。
先生との連弾などもあり、
(生徒はほぼメロディーだけなので簡単)
椅子の移動と3曲で約半分の時間が掛かった。
親子連弾と、娘と私のそれぞれのソロで15分位。
(親子と言っても子は成人しているが)
スランプを引きずっていた私は
やっぱりうまく弾けなかった。
リハーサルは昼頃で、軽く食べるため一旦帰宅。
私は実家にある自分のピアノに向かって最終練習。
今までの経験では、
直前まで納得するまで数回 弾く方が
上手くいくことが分かっていた。
夫と娘は自宅でパンをかじり、
私も一つお腹に入れると、もう一度出かける。
ー 本番 ー
先生との連弾はメロディーだけだし、
1人じゃないので緊張は少なめだった。
ソロは、やっぱりドキドキが大きい。
とても小さい暗めのホールで
客席は平な所に長椅子が並んでいる。
ステージは階段1段分。
アットホームな感じだけど
みんな緊張しているのは分かった。
ー ソロ ー
自分の番・・・
ステージで礼をしてから
落ち着く為の時間稼ぎに、
椅子を高さを調整する。
腰掛けてから、楽譜をじっと見て
余白に予め書いていた注意書きを読む。
絶対ゆっくり読み、実行することにしていた。
チェック
・肩の力を抜く→抜いた。
・左のペダルに足を掛ける→掛けた。
・ゆっくり2-3度息を吸って吐き、呼吸を整える→整えた。
・楽譜を見て最初の音と
2,3個後の音までの鍵盤を確認する→
確認してその位置に手をセットした。
・ブレスをしてから弾き始める→
自然な音が出すためブレスした!
よし、行くぞ!と
見切り発車した・・・
多分呼吸が1回分足りなかったみたい~~~
あれ??指がこんがらがった!
焦る、
正しい位置に戻れない、・・・そこで、
始まったばっかりだからやり直そうと、指を止めた。
が、その時、何という事だろう!!!
舌打ちしてしまったのだ・・・ え???
舌打ちって、
行儀悪いと思っているし、美しくないし、
私は普段する習慣もない。
なのにしてしまった…ショック
ものすごく恥ずかしかった
多分それが真の自分なのだろう。トホホ
その後、大きなミスはなく。
(小さなミスはもちろんあり)
途中、何度も震えを感じながら。
震えから気を逸らし、
音楽の中に戻ったり、
楽譜のメモを読んで注意に集中したり、
”ここはこんな風に弾く”と考えたり。
どうにか最後まで辿り着いた。
2日前までスランプだったのを
考慮に入れれば、まあまあの出来だ。
本調子に戻っていなかったし、
満足度は 3/4 くらいかな。
でもスランプが過ぎて良かった。
自分の力で戻したと言えるかも!頑張った!
ー 娘の番 ー
一方
娘と言えば、
緊張していたハズだが
大してそぶりも見せず、
テンポが速い曲だったから
ほとんど一気に最後まで弾ききった。
まあ、素人だから、
素晴らしい演奏には程遠いけど、
取り敢えずこれだけ弾けたら
母は満足だ、というくらいの出来。
ー 親子連弾 ー
最初、私が4小節1人で弾くので、
ソロと同じ手順で 落ち着く為の
時間稼ぎをした。
そしたらなんとまた、
ソロの時と同じことをしでかした。
つまり最初引っ掛かって
弾き直したのである。
ちょっと気の小さい所は
父親譲りかな~。
それ以外は
最後まで止まらずに行けた。
音を外しても引きずらず、飛ばせた。
ー その他 ー
他の人の演奏もちゃんと聞いていた。
自分が全部終わるまではあまり余裕がなかったけど。
緊張は、上手な人もみんなしていた。
先生の演奏はいつも大トリだ。
素人とは違って、音はとってもきれいで、
毎回楽しみなんだけど、
生徒全員の世話して見届けてから
最後に弾くって、それだけでもすごい。
先生でも多少ミスはあったけど、
これって他の人のが移るのかもしれない。
前の人が間違って手が震えてたりすると、
それを見て自分の緊張度も上がって、
間違って、手も震える。
だから間違いが多い日はみんな間違って、
少ない日はみんな間違いが少ない、
って発表会を毎年見ていて思った。
コンクールのライブが
ネットで見れる時代になったので、
ごく たま~に見たことがあるけど
1人間違うと次の人も次の人も 伝染するの、
やっぱり人間って
コミュニケーションの生き物なんだって
可視化できて面白い。
ー 終わって ー
好きな事、やりたい事が出来ることに感謝!
先生も家族も
聞いてくれる人も
みんなありがとう!
さあ、また次のチャレンジ!