人の尊厳とは
昨日電車の中で、ものすごい勢いで鼻をほじるおっさんを見た。
まず、右手の人差し指を左側の鼻の穴に第2関節付近までぶちこみ
鼻及びその周辺が波打つ位の力強さで鼻腔をグルグル掻き回す。
そして今度は左手の人差し指を右側の鼻腔に。以下左側と同様。
さらに、指先に付着してきた物を指先を擦り合わせて
粘度を調整した後、おもむろに床にパラパラと舞わす。
この作業の繰り返し。
このおっさんが生きてきた過程で失ってしまった物に思いを馳せる。
きっと、若かりし頃、この人にも好きな人がいたり、
淡い恋の思い出があったりし ただろうなぁー。
人前で鼻くそなんてとんでもないっ!と思っていた時期があったかもしれない。
しかし、現在のおっさんからは、自分の行為に対する恥じらいは
一切感じられない。
「そこに、鼻くそがある。だからほじるまでだ」
といった威風堂々ぶり。
すっかり鼻腔のクリーンアップ作業を終えたおっさんは、清々しい顔つきで
自分と同じ駅で降りた。
逆方向に歩いていくおっさんの後ろ姿を見つめながら、
もしかしたらあの人の家は近所の小学生達から
「鼻くそハウス」
とか命名され名物おじさん的存在かもしれない、と感慨深く思った。