第3回ツクフェス自主コン
短編部門投稿作品
「スプートニク・ジョーカー」
クリアしました!
はじめに
この記事は、推理ゲームである本作の
トリックやエンディングについて語った
ネタバレ感想記事です。
未クリアの方はご注意ください。
また、本作は作者さんの前作
「世界の中心で愛を叫んだ獣」
の続編的立ち位置だそうですが、
筆者は当作を未プレイですので、
感想中で実際の設定とは異なる言葉を
使っているかもしれません。ご勘弁。
ストーリー
とある収容所を訪れた探偵、メイスイリ。
そこには過去に因縁のある人物……
『人の心を操る』という少年……
宇田ナオキが収監されていた。
宇田は、獄中から外部へ指示を出すことで、
メイスイリの助手である
ツユという女性の身柄を掌握しており、
彼女の生死はこちらの手中にあると発言。
助手の居場所を教える条件として、
宇田がただひとつ提示したのは……
『ナオキが出題する、
3つの殺人事件の真相を解けるか?』
という『推理ゲーム』に
メイスイリが勝つことだった。
ツユの命を賭けた、2人の戦いが始まる!
……というような導入なのですが、
しれっと流れるオープニングムービーが
とんでもないクオリティーでビビりました。
ここは後ほど技巧点の項で触れます。
メイスイリとナオキはただならぬ関係っぽい
ことがひしひしと伝わってきますが、
ナオキがちょっかいをかけていって
メイスイリに冷静にいなされる、
みたいなおもしろコンビ感もありました。
そして最後の謎を解くと同時に
エンディングに突入し、
作中の問題としての『スプジョ』と、
ゲームとしての「スプジョ」が
同時に完結していきます。
一般的な推理ゲームだと
謎を解く過程こそがエクスタシーで、
犯人の自白はしっとりやって
さらっと終わる……というのが
基本的なつくりかと思うのですが、
本作は謎をもう一枚謎で包んでいるので、
種明かしから、犯行の動悸、
物語の締め方にあたるまで、
「そんなのアリかよ!?」という
驚きの連続で面白かったです。
ゲーム全体のユニークさが
一段階上がったような感触もありました。
オチに関しては、
「メイスイリさんそれでいいんすか!?」
とも思ったんですが、
作者さん的には長い付き合いの
キャラたちだと思われるので、
ひとつの決着の付け方としては
いいエンディングだと感じました。
ゲーム性
出題される謎は全部で3つですが、
ボリューム的には2部構成という感じ。
第1部
第1部(……と、勝手に称する)の謎は2つ。
- AI搭載車交通事故事件
- 遠距離不可能殺人事件
事件当時の光景の上を歩いたり、
関係者の証言を聞いたりして
証拠を集めていき、
正しい選択肢を選ぶ事で
謎を解く推理ゲームパート。
一問一答感が水平思考ゲームに近いかも?
第1部は何が面白いかっていうと、
事件現場をあとから調べるんじゃなくて、
事件が起きた瞬間の光景を切り取って、
その上を自由に歩けるということ。
受動ではなく能動的謎解きって感じです。
謎解きをRPGツクールでやることの意義を
見せつけられたような気がします。
ちなみに、てっきり
スプートニク・ジョーカーという
謎だけを解くものだと思っていたわたしは、
1問目(自由記述問題)の時点で詰まり、
人に教えて貰うまで次に進めませんでした。
第2部
第2部(と勝手に称する)の謎は
表題の「スプートニク・ジョーカー」。
無人島に閉じ込められた8人の中から
殺人鬼ジョーカーを見つける話。
こちらはRPG要素があり、リアルタイムで
事件が進んでいくミステリーゲームパート。
第2部は"ストーリーが展開していく"点で
割と一般的な推理ゲームの作りに
近いと思うんですが、変わっているのは、
無人島に平然と野生生物が出没してきて、
それらと通常戦闘になるということ。
しかも、最奥部にクソ硬いボスがいて、
そいつを倒さないと話が次に進まない仕様。
ちなみに、真実の扉のパスワードは、
ボスを倒して得るルートではなく、
計算を解いて打ち込みました。
ぼくはナオキくんの言いつけを破って
動画を撮ったり紙に書いたりしました。ごめんなさい。
要所要所でつまづきポイントがある
(それはパスワード入力だったり、
謎に関係ない通常戦闘だったりする)ので、
選択肢を総当たりするゴリ押しプレイでは
エンディングが見れない様になっています。
ともすればプレイを
断念されてしまいそうな難易度については、
「誰もが絶対にクリアできるような
難易度には設定していない
(クリアした人が優越感に浸ってほしい)」
……と作者さんが言及していました。
また作者さんは
「締切の都合でテストプレイ不足だった」
とも語っていましたが、
難し目の設定と言われれば「まぁそうか」と
納得できるくらいの難易度には
落ち着いていたのかなぁと思います。
難しさは、結果的に謎が解けた時の
カタルシスにもつながっていたので、
本作には良い塩梅なのではないでしょうか。
技巧点
「この作品はなにかヤバいから
最後まで目撃したい!」
とプレイヤーに思わせるには、
オープニングでどれだけ強く
惹きつけられるかが勝負だと思います。
その点、このゲームはとても導入が強い。
オープニングムービーが流れるからです。
そう、ムービー。アニメーションです。
人形劇ならまだしも、
マップチップを駆使して
10枚くらいの人物画を描写し、
それを連続して映すという
変態映像がさりげなく流されるのです。
第2部が始まる時にもムービー芸が
挿入されるので、より効果が高いです。
まぁ、とうぜんマップチップは
人の顔を描くために作られた物ではないので
よく見ると無茶もあるんですが、
それを惜しげもなく流して
それっきり再利用しないという
技巧のファーストアタックには
とても惹きつけられました。
このゲームで最も恐ろしいのは、
制作時間がたったの50時間程度だという事。
(作者さんが費やした50時間を
軽視しているわけではないのですが、
たったの、という表現をあえて使います)
謎解きやストーリーは、初めからプロットを
決めて制作にあたるのかも知れませんが……
アニメーション制作、マップ制作、
イベント起こし、テキスト入力……とか、
全部含めて50時間というのが恐ろしい。
その制作の迷いの無さが凄いというか、
作者さんには物事を並行して
考える力があるのだと思います。
それこそ、物を考える人格が
いくつか並行して動いているような……
次々動転する展開を楽しめる怪作でした。
制作お疲れ様でした👋
△ファンアート描きました!
