4話 仕事を探す筋肉 | ゆっくり☆一緒に☆NGS☆【仮】

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就活するオトコ♡

 


就活するオトコ、主人公ゼンは

公共の職業安定所を利用し、紹介先の企業、スパーダ建築事業所へ面談に行く事になった。




ゼンは、待合室で待っている間に


猛々しい張りのある声を耳にした。





「俺をここで、働かせてくれ」



ーー間違いない!奴だ!奴が来たんだ!

職安で見かけた。スーツが張り裂けそうにムキムキに鍛え上げた筋肉のオトコが


ーー先に面談しているのか?確か募集枠は2名。あの筋肉が万が一合格しても、まだ、1人分の枠はある。

「なんだね?そのポーズは?」



面談は、外で行われていた。

そして、筋肉のオトコは、持ち前の筋肉をアピールするボディービルダーのポーズをとっていた。

「む~ん、、、どうですか?俺様の筋肉は?」


面接官は、小柄なオトコだったが、、、その顔つきは、歴戦のシゴト人。

何事にも冷静な表情である。

「キミ、なんだ、そのポーズは?就職の面談をバカにしているのか?」


「フッフッフッ、、、では俺様が逆に聞こう、、、」


「なぁ、人間ってのはどこまで強くなれると思う?ガハハハハ、解らねぇだろうな、、、正解は、


「どこまでも、、、だろ?知っているさ。それくらい、、、」

「オッ!! アンタ、解っているじゃねぇか?」
筋肉は、嬉しそうに言った。

「、、、、立ち去りたまえ。」


「キミは、就職の面談に来ているのだぞ?そのモラルの無い口の聞き方はなんだ?立場をわきまえたまえ、、、」

 「土下座か?みっともない、、、」

「腕立て伏せだァ!!! 俺様は、何度でも鍛え直して、立ち上がってみせる!俺様が最強のチャンピオンだァ!」


筋肉のオトコは、腕立て伏せを続けているのを放置したまま、ゼンの面談は開始された。



「次の方・・・」

「よ、ヨロシクお願いします。」


ーーヤバ!この試験感、超怖い!!

 

「・・・・・・・・・」



「ハイ、履歴書は?、、、なんだ、資格、職歴なしか、、、」


「志望動機は??」

面接官の質問に対して、アドリブで当たり障りの無い事を伝えた。


「ここで、どんな仕事がしたい?何を目指す?」

ゼンは、その場の思いつきで可能な限り気に入られそうな答えを伝えた。


「御願いします!!

オレ、体力には自信があります!」

 

 


ーーダメだ、、、なんだか良く解らない質問に上手く答えられた気がしない。



筋肉のオトコが、腕立て伏せを続けている橫で、ゼンは少し肩を落とした。


スパーダ建築事業所から、帰宅して5日後に履歴書が返却された。

印刷文字で、「ご縁が無かった」という見慣れた文字が入っていた。



 

ゼン、8社目 入社落ち

公共の職案で、予約していたアドバイザーの面談を待つゼン。


 中々、就職面談に落ち続けている落胆が身体から抜けない。

次に、ガストの就職面接が控えてるのに、

落ちる気しかしない、、、

気持ちを切り替えないといけないのに、、、

ーー今、しないといけない事がある。失敗から学んだ事を次に活かさないと、、、


ーーダメだ、、、必要とされなかったココロのダメージが、全然回復しない。


ーー上を向かないと!なんだか、涙がこぼれ落ちそうだ、、、



 

「はぁ、、、」


少し離れた位置から、ため息が聞こえた。


ーー筋肉のオトコだ。浮かない表情、、、多分オレと同じ心境なんだろうな、、、


ーー今なら、なんか傷心同士仲良く出来る気がする。でも、声をかけるのは辞めた。




「ゼンさ~ん、、、アドバイザーとの面談時間です。中でお待ちくださ~い」

受付の人から声がかかる。


「あっ、ハイ!」



「失礼します。ヨロシクお願いしま、、、


ーーなんだ?マキマ····リコさん?いつものアドバイザーの空気じゃない、、、


ーー金縛り??まさか、、、




アドバイザーの細い目が、大きく見開き


中の渦巻き状の瞳孔が、自分の姿を写し出す。


やっぱりーーー!!!

 ゼンは、ある程度予想できた、、、


ーー以前、しょうが焼き丼を食ってた時、オレの目の前に現れた人だ!

 

 

キミ、、、いつまで落ち込んでるの?

もうすぐ、ガストの就職面談だよ?



ゼンのココロの中の言葉を、そのまま訴えかけてくる。



ーー解っている!今、落ち込んでる時期じゃないのは、解っているよ? 


でも、、、怖いんだ!

ーー次の面接も、また突き放されるかと思うと怖いんだ、、、


「マキマさん!! オレ!! この前の面談で落ちちゃって、、、次の準備やらないといけないのは、解っているけど、、、」


「結構傷ついちゃって、、、落ち込んじまって、、、必要とされてないんだなぁって思っちゃって」


ゼンは、腹の底から大きな声を出した。


悔しさを本音で言ったのだ。


「ゼンさん、愚痴でしたら、、、今日、全部言っちゃってくださ~い、、、」
目の前には、渦巻き状の瞳孔をした あの女の人
ではなく、、、
赤髪を後ろで編み込んでいる、細い目のアドバイザーの牧麻里子(マキマリコ)が座っていた。


「あっ! マキマ···リコさん、、、
ーー金縛りが、解けている、、、

「愚痴は、それで終わりですか?今日は、腹にたまった愚痴、、、言っちゃってください。なんでしたら、泣いちゃってください。」


「ここでは、愚痴を言いにくる人、結構多いんですよ~。まぁ、毎日愚痴言っても、就活は進みませんが~」


「一回くらいなら、言いんじゃないですか~?愚痴くらい、、、」



「ゼンさんは、ゼンさんなりに頑張っていたんで、、、その結果ですから、、、」



「たまには、言いんじゃないですか?自分に優しくしてあげても、、、ねっ?」




ゼンの中で、張り詰めていた緊張の糸が切れた。




ーーオレは、久しぶりに人前で泣いた










おまけ

「次の方、どうぞ~」

「アドバイザーすわぁぁん💦  俺様の筋肉がァ!  認めてもらえなかったァァァァ!!💦 うぉぉぉぉぉぉん💦  チャンピオンだけど、、、俺様も、傷ついたァァァァ(泣」



次回も御期待ください