ブログ小説です☆

 
今回のお話は、新宿ネロと代々木詩織、そして渋谷実尋。3人が中心となるお話です。
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高校二年生となった新宿ネロは、昨年まで学校から帰宅後はゲームをする事だけが楽しみであった暗い少年だった。
一人暮らしのネロは、会話する相手は、オンラインゲームの中のチャット仲間。
帰宅後は、「ただいま」を言う相手はパソコンの画面。そんな生活が大半であった。
ある時、中学時代の友人達と久しぶりに集まり、互いに近況を語り合う小さな同窓会の用なモノを行った。
思春期を迎えた、ネロの友人達は、昔とは違い、異性の魅力に気付き、異性と付き合う願望を強く出し始めていた。中には恋人が出来ており自慢する者も居た。
そんな周りに感化されるように・・・
 
「このままじゃダメだ!俺も彼女を作ろう!俺も変わらない!」
 
高校二年生となったネロは、自分から変わろうと努力した結果・・・・
ついに、ネロに彼女が出来たのだった。
 
 
【本編】
 
 
ここ、共有鯖船学園では・・・地域の交流を目的とした文化祭が行われた。
文化祭が終わり、学校の廊下には文化祭の写真が掲示されていた。
各写真に番号が書かれており、生徒達は配布された用紙に購入希望の写真の番号を記入して提出する事になっていた。
 
「おーっ?結構イロイロな写真があるなー・・・さて、良さげな写真を探してっと・・・おっ?結構俺・・・写ってるな・・・」
ネロは、自分の写っている写真を探して、番号を用紙に記入した。
 
「おーっ!新宿クン・・・結構写ってますな!やっぱり、自分の写ってる写真は、みんな購入する派かい?」
実尋がネロの傍へやってきた。
 
「あぁ☆・・・俺の親父とお袋に送ろうかと思って・・・俺の親、今・・・ドイツに居るから・・・」
「へー・・・ドイツに居るんだ!ちょい初耳だったねー・・・あれ、新宿クンって・・・日本人だよね?」
「あぁ・・・両親共に日本人だ。俺の名前・・・ちょい変わってるだろ?これ、爺ちゃんがつけたんだ・・・・なんか、小説に出てくる傭兵の名前からつけたらしいんだ・・・・ネロ・・・なんて、日本人っぽないよな・・・」
「うん、変わってるなー・・・って、思ってた・・・・ふふふふ」
ネロは、実尋と一緒に廊下に掲示されている写真の番号を記入していった。
 
「あっ・・・・それ//////」
ネロは、実尋の用紙に記載されている番号を覗くと、ネロと実尋が一緒に写っている写真が多かった。
 
「あっ・・・・わはははは/////見られちゃった・・・なんか、新宿クンと一緒に写っている写真・・・アップが多くてさ、良く写っていたっていうかさ・・・」
「///////そっか・・・じゃあ・・・俺も、それ・・・買おうかな・・・・」
ネロも照れ臭そうに、実尋と一緒に写っている(ほぼツーショットの写真)を購入する事にした。
 
「なんだろ・・・いつ、撮られたのかな?」
「ってか・・・誰が撮ったんだろうね・・・・」
ネロが疑問そうに、思うなか・・・実尋は視線が斜め上をむいた。
 
「さぁ・・・親愛なるみひろんよ!堪能してくちょうだい・・・・駄犬(ネロ)のどこが良いのかは、未だに解らないけど・・・ツーショット☆押さえたわよ☆」
恋華は、影から実尋とネロの様子を見ながら目を光らせ小声でブツブツ言っていた。
 
「おい!恋華!!・・・・ちょっと、待て・・・・俺と実尋さんのツーショットがどこを探しても無いぞ!俺と実尋さんは・・・同じブースであんなにも共闘作業をして、お好み焼きを作っていたのに!どー考えても、シャッターチャンスはいくらでもあったハズだ!!」
恋華の後ろから、イ・ヤムチャが声をかけた。
 
「無理言わないでよ!アンタがお好み焼き焼いている時は、私はアンタの目の前でたこ焼き焼いてたんだから!」
「それは、そうだが・・・クソ!俺と実尋さんのツーショット・・・もしくは、一緒に写ってる写真が無いなら、写真を買う意味が全くないじゃないか・・・」
イ・ヤムチャは、一つでもいいから・・・と実尋と自分のツーショットになっている、または一緒に写っている写真を探し続けた。
 
「・・・・・・・ほ、ほら・・・あるじゃない!みひろんとアンタ(イ・ヤムチャ)が一緒に写ってる写真・・・」
「なに!!・・・・って、コレ・・・アイツ(ネロ)と実尋さんのツーショットじゃないか!」
恋華が指を差した写真は、ネロと実尋のツーショットと呼べるアップの写真だった。
 
「アンタ、出店巡りの時・・・他の女のコとイチャイチャしてたじゃない・・・」
 
「え・・・他の女のコって・・・・」
イ・ヤムチャは、文化祭の当日の事を脳内で思い出そうとした。
 
「オイ!あれは、女のコじゃない!ゴリラ並みの怪力を持ったオッサンだ!そう!オカマだ!!俺は、オカマ3人組に追いかけられて命がけになって逃げていたんだ・・・断じて、イチャイチャなんてしてないぞ!」
身体の大きな、オカマから追いかけられていた記憶が蘇り、大量の汗をかきながら大声で恋華に言った。
 
 
「よく見てよ、後ろの方に赤いジャケット着て走っていく、アンタ(イ・ヤムチャ)の姿が・・・・」
「・・・・オイ・・・・小さすぎて見えんぞ・・・これ、ホントに俺か?こーなったら、どんな小さいサイズでも良いから、実尋さんの写真に俺が写ってそうなのを一緒に探してくれ!」
 
「あ!大崎くんの写真に、私が写っている☆・・・あっ、こっちのは、私が大崎くんにパフェを差し入れした写真があった☆」
「ふっふっふ・・・・ベイビー☆キミ達のスイーツメモリーは、オレが撮ってやったぜ☆伊達に、休憩用のくじ引きに細工をしたわけじゃないぜ☆マイベイビー☆」
恋華は、イ・ヤムチャの写真探しではなく、自身の大崎秀とのツーショット探しに夢中になっていた。
そんな様子を横目で言いながら、影で見守る足長オジサンの如く「オレ」とか「マイベイビー」等、若干ワイルドになった気分で小声でブツブツ言いながら自己満足に浸る実尋。実は、文化祭の当日休憩の順番はくじ引きをして決めよう・・・と言いつつちょっとした細工をしたのだ。
 
とっても簡単な、ワタシ(渋谷実尋)の作った仕込みくじ引き!
まず、みんなが手を入れてくじが引けるような箱をあらかじめ用意する。しかし、箱には細工は無い☆
次に、紙に「A」「B」と書かれたモノを適当な数だけ入れる。
 
そして・・・ここで、予め・・・箱の中に入れた紙と同じ紙を自分の洋服の裾や手の中に隠し持っておく!
(落とさず、バレずに・・・☆)
 
みんなに、くじを引いてもらった後・・・・
 
「ん?ワタシは、残りのくじを・・・っと・・・」
と最後にくじを引く!
この時、服の裾・・・もしくは手のひらの中に持っていたモノをしっかり持ったまま・・・箱の中に手を入れる!
そして、箱の中のモノを引くフリをして、手に持ったモノをそのまま引き上げる!
そして、何が書いてあったかみんなに言う!
しかーし・・・実際、あらかじめ仕込んでた紙には何も書いてないので・・・
 
「あっ、Aだ・・・」
一緒に行きたい相手がどちらだったかを確認してから・・・
「むむむ・・・Aだ!」
とみんなに言うのだよ~☆
 
今回は、恋華と大崎くんの写真を撮る為にあえて・・・ズルをしましたが・・・読者の諸君は、ワタシがズルをした事は内緒にしてくれ☆
 
 
 
 
 
 
 
☆☆
 
4限目が終わり、実尋はお昼を食べに行こうとした時ネロが近くにやってきた。
「お?どーしたの?新宿クン・・・・」
ネロは、少し真剣な表情だった。
 
ワリィな・・・渋谷、ちょっと話に付き合ってくれねぇか?」
ネロの真剣な表情に気を効かせて
「うん・・・いいよ。ここじゃ話しづらい事かな?」
「あぁ・・・ワリィな・・・」
ネロに気を使い、実尋は人気の居ない場所で話をする事にした。
 
学校の外のベンチであった。
 
「突然でワリィんだけどさ・・・俺、付き合う事にしたんだ・・・その、代々木(詩織)さんと・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
実尋は、突然過ぎるネロの話に言葉を失った。
 
「ただな・・・代々木さんは、まぁ・・・知ってると思うけど、ウチの近所の隣人でな・・・旦那が居るんだ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・うん・・・」
実尋は、可能な限り冷静さ保ちつつ、動揺する気持ちを抑えつつ、ネロの話を聞く事にした。
 
「でも・・・代々木さん、旦那とは別れるみたいなんだ・・・それで、別れたら・・・俺と、一緒に・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・新宿くん・・・・」
実尋は、黙っている事が出来なくなり、口を開いた。
 
「!?」
ネロは、実尋の顔をみた。
 
「話の途中で、悪いんだけどさ・・・相手は、まだ旦那さんと別れていない状態なんだよね?」
「あぁ・・・」
実尋の話にネロも頷く。
 
「それって・・・どーいう事をしているか、解るかい?」
「あぁ・・・・解っている・・・危険な橋を渡っているって事くらいは・・・解るさ・・・・だけど・・・」
 
「危険な橋とか!そーいうレベルじゃないんだよ?それはね、不倫なんだよ!不倫は立派な犯罪なんだよ?」
「んな事は解ってる・・・でも、今は危ねぇ橋を渡ってでも・・・詩織さんを守ってやりてぇんだんだ!」
「守ってあげたいって・・・強い気持ちなのは、新宿クン!!アナタだけなんじゃないの?」
「!!!」
 
「どーいう意味だ・・・」
ネロは、実尋の話に一瞬で顔つきを変えて、睨むような目つきで言った。
 
「相手は・・・代々木詩織さんは・・・まだ、旦那と別れていないんだよね?新宿クンと付き合ってるハズなのに・・・相手には、まだ戻れる場所があるんだよね!?」
 
「・・・・・・・・・・」
ネロは、顔つきを険しくした状態で実尋の話を聞いた。
 
「新宿クン・・・・キミは、相手に弄ばれてんだよ!」
「テメェ!黙って聞いてれば言いたい事ぬかしやがって!!」
「じゃあ、相手の人はなんで旦那と別れないのさ?新宿クンは、必死に一人で戦っているのに・・・キミの守りたい人は、今でもキミじゃなくて・・・旦那に守ってもらっているんだよ!」
 
「代々木さんの家にも、都合ってモノがあるんだ・・・俺は、相手の都合に合わせつつ、少しずつ・・・・」
「相手の都合に少しずつ、合わせて・・・ずっと、不倫相手をしていくつもりなの?」
 
 
 
「ほーら・・・オマエ等・・・・昼休みは、とっくに終わっているぞー・・・・」
後ろから、棒読みの口調で、覇気のない感じで注意する男の声が聞えてきた。
 
ネロと、実尋はとっさにベンチから立ち上がった。
声をかけた相手は、目黒ギン・・・ネロ達の担任だった。
 
「ったく・・・仲良く抜け駆けでお喋りかと思ったら、急に喧嘩しやがって・・・とりあえず、席に戻って授業受けろーー・・・」
ギンの呼びかけで、ネロと実尋は小走りで教室に戻った。
 
ギンは、一人空を見上げた。
ネロと実尋の会話は、途中からだがしっかり聞こえており、大体の事は把握していた。
 
「ふっ・・・・今しか出来ねぇ事もある・・・かつて、テメェ(ネロ)に言った事だが・・・今、オレが何かの言葉を投げかけても・・・もぉ、届かねぇ所に行っちまったな・・・・」
 
何かあったら、担任の自分の所ではなく、信頼出来る友人の所へ打ち明ける・・・自分の生徒(ネロ)達は、そんな所にまで成長していたのだ・・・互いに喧嘩をしながらだけどよ・・・最終的には真っすぐ進んで行きやがる・・・・
 
「どうやら・・・・俺は、完全に白髪のジジイになっちまったみてぇだ・・・・」
 
 
「今の俺を見たら・・・オマエなら、どう思う?藤崎・・・・・」
 
 
 
 
 
☆☆☆
 
5限目が終わると、ネロはスマートフォンをチラチラと確認しながら足早に教室を出た。
実尋は、ネロが教室を出た所を確認すると、追うように教室を出た。
 
-新宿クン・・・・キミは弄ばれてるんだよ!-
昼休みにネロに言い放った実尋であるが・・・ネロの相手である代々木詩織が、実は遊びじゃなく真剣だという事は良く解っていた。
文化祭の当日に呼び出され、「ネロくんとは離れて欲しい・・・」とまで言われた事があるのだ・・・
相思相愛なのは、百も承知である。
 
そんな状況で、ネロの後を追いかけて・・・
ネロと詩織の間に入ったとして・・・
二人の仲を引き裂く事は出来るのだろうか?
 
現状引き裂く事は不可能である可能性の方が高い。
 
不倫というリスクを犯してまで出来た絆である分、強いと思った方が良い・・・
 
実尋は、文化祭前にも、ネロの後をつけて詩織と喫茶店にいく所を何度か目撃している為、ネロがどの様な道順で詩織に会いに行くのかが大体検討がつく。相手にあまり待たせたくないネロの事だ・・・十中八九、最短距離で向かうだろう・・・・
夏休みの旅行で聞いた話では、ネロと同じくマク●ナルドでバイトをしているため、詩織はバイトから学校へ向かう途中・・・
ネロは、学校からバイト先へ向かう途中・・・・・お互いの中間地点の喫茶店が、二人の待ち合わせとなるであろう。
実尋は、コインロッカーに預けてある、私服に着替えてネロの後を追いかける事にした。
実尋は、日ごろ学校の生徒会の役割を終えた後、どこかでお茶する際にと利用する事がある為、比較的学校の近くのコインロッカーには実尋の私服が置いてある事が多い。
 
学校の制服で、後を追いかけると早めに見つかってしまうだろう・・・という実尋の考えだった。
 
 
 
ネロが良く待ち合わせに使っている喫茶店に、たどり着くと・・・
丁度、ネロと詩織が合流する頃だった。
仲睦まじく、お互いに寄り添うネロと詩織・・・
実尋が呼びかけようとすると、二人は喫茶店の中へ入って行った。
 
実尋は、考えた・・・・
この二人が揃った状態で・・・
一体どのような事が言えるのか・・・・
 
 
 
 
始めて新宿ネロという人物を1人の男子として、意識したのは高校二年生の始業式が始まる前日の事だった。
同じ電車に乗っていた女のコ(御徒町霧恵)が痴漢に襲われていた所を勇気を振り絞って助けにいったのだ。
そして、いざ始業式の日、助けた女のコ(霧恵)とネロが学校で再会を果たし、ホームルームに遅刻する程雑談が盛り上がっている所を、見かけたとき・・・初めて「嫉妬」に近い感情が生まれたのだ。
 
一学期の4月頃、中学時代からの付き合いである親友の恋華とネロが「最寄り駅でお弁当を食べていた」と噂になった事があった。
自分もネロに対して恋心・・・とまでは行かなくても、気に止まっていた異性であったが・・・ネロと噂になったのは親友の恋華だった・・・自分の親しい間二人であるならば・・・心から応援しようと思い・・・屋上でネロに呼び出し「恋華の事を幸せにしてくだせぇぇぇ!」とまで頼み頭を下げたのだ。
誤解はすぐに解けたが・・・中学時代のトラウマ・・・好きな異性が恋華と被ってしまい・・・「譲ろう」とした優しい気持ちが裏目に出てしまい絶交状態となり、大切な親友を失いかけてしまった過去があった。
 
留学生のグレイコフに誰よりも、傍で親身になって世話を焼くネロに対して、まるで自分が大切にしてもらっているかのように思い、
 
 
次第に心が奪われてゆき、学園喫茶の手伝いや、霧恵捜索活動の時等、実尋自身もネロに誘いかける様になっていった。
 
そして、夏休みの旅行の時・・・実尋自身、ネロにトラウマを打ち明けた。
 
 
 
 
実尋は、ネロと詩織が出てくるまで喫茶店の片隅でしゃがみ込んで待っていた。
その間に、ネロと出逢ってからの事が走馬灯の様に脳内に蘇ってきた。
 
 
-ワタシは、自分の好きな人を・・・・譲って・・・-
 
「それは、違うぞ!!!渋谷!!!」
 
実尋は、ネロからあの海で突然大きな声を出して言われた事が頭の中に思い浮かんで・・・
 
ハッ!っと目を開けた。
 
――自分のキモチを言う事にためらう必要は無いんだ!
あの時とは・・・中学時代とは、違うんだ!仮に喧嘩になっても・・・もぉ親友を傷つけなくて良いんだ!
 
 
日が落ちた頃になって、ネロと詩織は寄り添った状態で喫茶店から出てきた。
実尋は、そこにしっかりと待ち構えていた。
 
「新宿クン!!」
 
「・・・渋谷・・・こんな時間まで待っていたのか・・・・」
ネロは、後をつけてきた事には薄々感づいていたが、ここまで粘り強く待っていた事に驚いた。
 
「渋谷さん・・・・ネロくんから、離れてって言ったわよね?・・・・」
「代々木さん・・・・イヤですって、断ったハズです!」
実尋は、堂々と答えた。
「新宿クン、明日も学校だから・・・・もぉ、帰ろう!一緒に帰ろう☆」
実尋は、ネロに手を差し伸べた。
 
「渋谷さん・・・私達、家が近所だから帰る方向も同じなんですけど・・・」
詩織は冷静に答えた。
 
「代々木さん、貴方の家では旦那さんが待ってます!早く家に帰って晩御飯を作ってあげてください!」
実尋は、堂々とした口調で言った。
 
その言葉に、詩織は眉間にシワを寄せた。
公共の場で、人の見ている前で・・・言われると少しだけ痛いのも事実だった。
 
「渋谷・・・・」
ネロは、少しだけ胸が痛くなったのか、声が振るえた。
 
「新宿クン・・・・大分遅くなっちゃったね・・・久しぶりに、今日はウチのラーメン食べに来ない?奢るぜ☆」
実尋は、手を差し伸べたまま・・・ウィンクして見せた。
 
「・・・・・・・・・・・・」
 
「ウマイぜーーー☆心が躍る程、レイジさんの作るラーメンは美味いぜ☆」
実尋は、明るく言った。
 
「ワリィな・・・ラーメンは、また今度食い行くから・・・・今日は、詩織さんと帰るわ・・・・」
ネロは、実尋に背を向けて詩織と一緒に帰っていった。
 
「あ・・・・新宿クン・・・・・・・・」
ま・・・また明日・・・・学校で・・・・・・
実尋は、力なくその場に崩れるように座り込んでしまった。
自分のキモチを伝えきれなかった事以上に・・・・
5時間以上、喫茶店の前で待っていた疲労感の方が強く、泣く事さえ出来なかった。
 
 
 
その夜、実尋は久しぶりにパソコンの電源を入れ、オンラインゲームをやった。
ネット上の仲間達とチャットしながらゲームを楽しむ実尋の楽しみの一つだが、最近は文化祭の準備が忙しく・・・あまりやっていなかった。
 
 
「おぉ?マスターが久し振りにイン(ゲームをしている事)してますよー」
「おぉ!マスター久しぶりっスーーー!」
「マスター!久しぶりだニャン☆」
「お久しぶりッス・・・俺も久しぶりにインしてますよー!マスター・・・ミクミクさんも戻って来てますねー!」
 
実尋は、オンラインゲームの中ではギルドマスターと呼ばれるゲームのメンバーのまとめ役のポジションになっていた。
ギルドマスターのJIN(ジン)それが、ハンドルネームであり・・・ネット上では社会人だとみんなには言っているのだ。
チャットをしている中のメンバーには、ネロも居た。
ネロは、解りやすくも・・・ネロという名前で登録しており、容姿もゲーム上でそのままの容姿のアバター(ゲーム上で使うプレイヤーの分身)を作っていた。
 
実尋は、唇を強く噛みしめて・・・
オンラインゲームの中では、常に頼れるギルドマスターで有り続けるというポリシーを貫く為に、なるべくカッコイイ話言葉でチャットを打ち込んでいく。
「ハッハッハ・・・・みんな、久しぶりだなー!最近仕事が忙しくてな・・・・中々ログイン出来なかったのだ!しかーし!この私が来たからには、もう安心だ・・・・困っている者を助ける!jasutelisu!!それが、コスモライダーズの使命なのだ!」
実尋は、キーボードに涙をこぼしながら、キーボードを打ち続けた。
「・・・・・なにが、困っている者を助けるよ・・・・ねぇ、JIN・・・・ここに困っている人が居るんだからさ・・・今度は、ワタシを助けてよ・・・JIN・・・」
実尋は、自分で打ち込んだチャットに向かって力なく言った。
 
 
 
 
 
新宿クンの・・・・バカ・・・・
 
 
 
 
つづき
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