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【本編】
一同、ネロの部屋に入ると床で大の字で寝ているグレイコフを発見する。
みんなで挨拶をしても一向に起きる気配は無い。
グレイコフを楽しませて送り出す集まりであるのだが、肝心のグレイコフが起きない。
「これは、ちょっとやそっとじゃ起きないな・・・」
秀はグレイコフの顔を覗きこむ。
「ちょっとアンタ!オッサンのグレイコフをこんなになるまで疲れさせてどーするのよ・・・」
恋華は、ネロに文句を言った。
「えっ!俺が悪いのかよ・・・」
ネロは、眉間にシワを寄せた。
「まぁまぁ・・・お二人さん、ケンカしても仕方ないよ☆」
実尋は、ネロと恋華の間に入った。
「よし☆こーなったら、みんなでグレイコフの近くでカクテルパーティーの作業をしよう!」
「そうか!!ガサガサと物音をたててグレイコフの奴を起こすんだな☆」
秀の提案にイ・ヤムチャがノッた。
「流石、大崎くん☆いつもながら頭がいいわ///」
ネロから細い目で見られながら恋華は、秀の意見をベタ誉めする。
「・・・・ごくごく・・・うっし☆・・・それじゃあ☆作業開始といきますか☆」
実尋は、ネロからもらった水を飲み干すと元気よく人差し指をあげた。
一同は、グレイコフを囲むように座って持ち寄った材料を使ってカクテル作りの作業を開始した。
ワザとらしく大きな音を立てたが、グレイコフが起きる気配はない。
そんな中、ネロは一人台所へ向かった。
「あ!カレーの匂い!!」
ネロの後ろに恋華がやってきた。
「おぉ!そろそろ昼時だろ?みんな腹減ったかと思ってな・・・カレーを作り足してるトコだ。」
ネロは、後ろからやってきた恋華に答えた。
「確かに、アンタのカレーの味は認めるわ・・・・でも御飯の量が・・・・」
「量??」
ネロは恋華に聞き返す。
「みひろん、結構食べるわよ・・・・」
「おっ☆カレーを作ってるのかい??いいね~何か手伝おうか?」
「お☆今日は新宿の作るカレーかぁ☆俺もカナリ食べる方だ☆育ち盛りだからな~」
「ふっふっふ・・・・悪いが、大食いだったらマジでいくぜ☆」
狭い台所に、カレーの匂いを嗅ぎつけた育ち盛りの一同がゾロゾロと集まってきた。狭い台所で密集されると調理側のネロはやりにくい。
「うーーん、そうだな・・・・確かに、こんだけのメンツ全員が大食いとなると・・・ご飯が足りないな・・・」
ネロが一同に話している途中、恋華は秀の所に弁当箱を持ってきてなにやら中身を見せていた。
「大崎君・・・・私、実は煮物作ってきたの☆」
「おぉ☆これはタケノコ!と鶏肉の煮物・・・・では、一つ失敬・・・ウ、ウマイ!!!」
「・・・・・ふっ・・・・・・・みんな!ワリィが、近くのコンビニとスーパーとかで、菓子とか、レンジでチンする御飯とか買ってきてくれないか?」
ネロは、恋華の秀に弁当アピールしている様子も見て少し笑いながら、台所から出てきて一同に話した。
「よーし、ここらで俺の韋駄天の速さを見せてやるぜ☆ミヒロさん・・・何か食べたいお菓子はありませんか?」
イ・ヤムチャがコンビニにお菓子を買いに行く役を買って出た。点数稼ぎという奴か・・・実尋だけにお菓子の好みを聴いてから、ダッシュでコンビニまで走って行った。
「じゃあ・・・恋華・・・ワリィけど、近くのスーパーまで御飯とか買ってきてくれよ・・・お金後で払うから。」
ネロは、恋華に頼んだ。
「えーーーなんで、私なのよ・・・めんどくさい・・・」
恋華は、渋い顔をした。
「よし、その役は俺が引き受けた☆まぁ、大体スマホで調べながら行けば、近くのスーパーくらいは辿りつけるさ☆」
と秀が明るい表情で買って出た。
「おう頼むわー☆」
玄関に向かう秀に、再び台所で作業をしながら明るく送り出すネロ。
「・・・・・・・あ、・・・・・・・」
秀が玄関に向かうと、一度秀の方を見てから、ネロと実尋の方をチラっと見る恋華。
「あ・・・待って・・・わ、私もいくわ!この辺り地元だから、一緒に行った方が・・・きっといいわ☆」
恋華も慌てて秀の所へ駆け寄る。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おぉ☆それは、頼もしい!案内役頼むぞ☆目黒!」
「任せて☆」
実尋は、恋華と秀のやりとりを見ながら、そっと笑顔で手を振った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
窓からは、秀と恋華が二人で話しながら歩いて行く様子が見えた。
実尋は、窓からの街路字を見ていた。秀と恋華の姿が段々と小さくなっていく様子をしばらく静かに眺めていた。
「よーーし、サラダは・・・やっぱりトマトを入れて・・・と・・・・」
「新宿クン・・・・」
ネロがサラダを作っていると、実尋が呼ぶ声が聞こえてきた。
「ん???どーした???」
ネロは台所から顔だした。
「・・・・・恋華の好きな人って・・・・・・大崎クン・・・・なのかな?」
実尋は、窓の外を見ながらネロに話しかけた。
「ん?そりゃそーだろ・・・・だって、今回だって・・・煮物を大崎の為に作ってきて、凄く一生懸命、アピールしてるし・・・それに、アイツ4月に告ってるんだぜ?やっぱり・・・応援してやりたいじゃねぇか・・・」
ネロは実尋に当然の様にいった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
実尋は、ネロの方へ振り向いた。そしてじっと見つめた。
「///////・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ネロは、頬を赤くしながら実尋と向きかった。
「・・・・・・・・・・・・・そうだね☆ワタシも恋華には、幸せになってもらいたい。・・・・ホントに好きな人にキモチが伝わるように応援したい☆」
実尋は、ネロに向かって拳を前に突き出した。
「あぁ!俺も同じだ!アイツには幸せになってもらいたい・・・・」
ネロは、実尋の拳に自身の拳を合わせて自分のキモチを言った。
「そして、・・・・渋谷・・・アイツと同じように・・・・
オマエにも幸せになってもらいたい!
「////////////////」
ネロと実尋はお互いに合わせた拳を離さず、お互いの目を逸らさずにいた。
その瞬間は、お互いの体温が拳と拳で伝わり合い、非情に熱く感じられた。
その時間は決して長い時間では無いのだが・・・非常に長く感じた。
「だから、・・・今の俺が、オマエにしてやれる事は・・・・」
「//////////////////////////////////」
「す・・・///////すっげーーウマイ、サラダを作る事だ☆」
ネロは、拳を切り離しガッツポーズを取って見せた。
「待ってろ、めっちゃウマイの作るぜ!」
ネロは、顔を真っ赤にして台所に向かった。
ーーはぁ、はぁ、はぁ、・・・・限界だ!!渋谷と真顔で向き合う時間・・・俺には、ここまでが限界だ!!心臓が破裂しちまう・・・ワリィ!恋華・・・お前が俺に気を使って、作ってくれたチャンスだって事は、百も承知だ・・・・渋谷みたいに明るくて、可愛くて、優しいコ・・・・すぐに、ライバルが来ていつ取られても可笑しくない!っていうか・・・もしかしたら、渋谷にも・・・・もぅ好きな奴がいるかもしれねぇ!!・・・っていうか、俺は、まだ・・・・渋谷のキモチとか・・・全然理解出来てねぇし!
告白なんか・・・今の俺には無理だ!!!
ネロは、恋華が告白した時の事や、秀が去年告白した時の話等を思い出していた・・・・
ーーふっ・・・やっぱり、アイツ等・・・・すげぇや!俺より、ずっと先を進んでやがる・・・・全然追いつけねぇ!
「このままじゃ!抜かれちゃうよ!」
「!!!」
ネロの後ろから実尋がやってきた。
「恋華も、大崎君も・・・イ・ヤムチャさんだってカナリの速さで進んでる・・・・ひょっとしたら、もう(買い物を)済ませて・・・こっちに戻ってくる所かもしれない・・・・みんなやる事早いからね!」
「あぁ・・・確かにアイツら足早い・・・・!!!」
ネロの隣にやってきた実尋は真顔だった。
「一人でやってたら、みんなに先を越されちゃう・・・きっと、もうじきみんな戻ってくるよ☆」
その頃、恋華と秀の所に、猛スピードでイ・ヤムチャが走って抜き去っていった。
「はっはっは!ワリイな・・・俺の韋駄天速度は伊達じゃないんでね☆このまま、一番乗りだ!!」
「何・・・・まさか、カレーのお肉一人で全部食べる気じゃないでしょうね・・・」
恋華がいうと
「それも、悪くないな☆ じゃあ・・・先に行くぜ☆」
イ・ヤムチャはどんどん遠くへ行ってしまう。
「うおおおおおおお・・・・させるかぁぁぁ!!!」
恋華は荷物を持って走り出すと、恋華の持っている荷物を秀が左手で全部持ち、右手で恋華と手を繋ぎ、引っ張るように走り出した。
「///////お、大崎くん・・・・」
「カレーの肉をアイツ一人に独占させる訳にはイカン!!!だろ??☆」
秀は、走りながら恋華に明るく微笑んだ。
「///////////////」
どんな状況でも明るい笑顔を絶やさない秀に赤面する恋華。
「俺達も急ごう!!」
「うん☆」
「新宿クン☆一人でダメなら、二人だ!ワタシも手伝うよ☆」
実尋は、ネロの隣に並び立って
「渋谷・・・・」
「良いんだよ☆なんでも一人でやろうとしなくて・・・一人で間に合わない時は☆一緒にやろう☆共同作業だ!」
実尋は、ネロの隣で腕をまくって、野菜を切るのを手伝い始めた。
「・・・・・・・・・・・・」
「お互い、育った環境が違うから・・・・波長が合わない時もあるけどさ・・・そーいう時は、ゆっくり相手を見てペースを合わせたり、思い切って聞いてみたり☆・・・・っと・・・・塩・・・・どこだっけ?」
「あぁ☆これ・・・みんな、塩で・・・こっちが、荒塩で、こっちが味塩で・・・雪塩、味塩コショウ、クレイジーソルト、ハーブ塩、岩塩・・・そんで、こっちが・・・」
ネロは、台所にある数種類の塩を説明した。
「・・・・・・・・新宿クンって・・・・」
「//////////」
「塩マニア???」
実尋は、目を丸くして数回瞬きした。
コンコンコン
ドアをノックする音が聞こえてきた。
「あ??誰かな?」
「ワタシ、出ようか??」
実尋がドアへ向かった。
ドアを開けると・・・・そこには、一人の女性が立っていた。ブラウンカラーでパーマのかかった髪を後頭部ので一つに束ねているが、ポニーティルというオシャレな感じではなく、作業の邪魔にならないように束ねただけという感じの髪型だった。丸い眼鏡をかけ、くっきり見える額から、少し汗をかいていた。年齢までは解らないが少し疲れたオバサンという見た目である。
「あら??ネロくんのお友達かしら??二人きりかしら???」
「あ・・・その声は、代々木さんだぁ・・・ハーイ☆いらっしゃい・・・」
ネロも、玄関で実尋の隣になった。
「あら・・・そのコ・・・ネロくんの彼女かしら??」
ネロが代々木さんと呼んだオバサンは、目を見開き口元だけで笑った。
「/////え・・・か、彼女って・・・・そんな・・・・」
実尋は、顔を赤くして目を逸らした。
「あ・・・・違うんです・・・実は、今日は留学生のグレイコフが来てまして、学校の連中で集まって送り出す会を開こうと思って・・・もうすぐ、みんな買い出しから帰ってくると思います」
「あら・・・そういう事ね・・・フフフフ」
代々木さんは、少し首を傾けて微笑んだ。口元は笑っているが目は笑っていない。
ドタドタ・・・ダダダダダダダダ・・・・階段を駆け上がってくる複数の足音が聞こえてきた。
「うおおおおおおおお!!」
恋華の声だ。
「ハィィィィィ!!!!」
カンフー映画の掛け声のような気合を入れているのは、イ・ヤムチャの声だ。
「よーーーし!!どうやら俺が一番の様だな☆ハッハッハ☆」
最初にネロの玄関にたどり着いたのは、秀だった。
「あら??ネロくんのお友達???」
「はい☆どうもお邪魔してます!」
秀は、玄関で代々木さんに会うと礼儀正しく挨拶した。
「あ・・・代々木のオバチャン☆こんにちわ」
元々近所に住んでおり、顔見知りの為か恋華は秀程礼儀正しくお辞儀はしてない。
「お・・・オバチャンってほどの歳じゃないけど・・・・恋華ちゃんこんにちわ☆」
代々木さんは、一瞬顔を引きつらせてから、笑顔に戻り挨拶した。代々木さんは恋華のキャラを知っているため、多少の無礼はぐっと我慢して笑顔をつくった。
「代々木のオバチャンは、私に煮物の作り方教えてくれたの☆」
「なにーーー!!あの、ウマイ煮物は、こちらにいる代々木さんの直伝だったのかーー!」
「代々木さんは、基本的に料理全般的にウマイからなぁ・・・俺もカレーの作り方は、代々木さんから教わったんだ☆」
ネロも恋華に続けて、代々木さんの料理を絶賛した。
「あ・・・お友達、沢山来てるみたいだし、丁度いいわ☆これ・・・ウチで作ったの☆ネロくん、よかったらみんなで食べて☆」
代々木さんは、サランラップで包まれた大きな皿をネロに渡した。
ネロは、大皿を受け取るとすぐ後ろにいる実尋が「ワタシ運ぶよ☆」と両手を出したので実尋に大皿を渡した。
代々木さんは、実尋が受け取った大皿を中に運ぶ様子を少し気にしながら、
「じゃあ・・・ネロくん、恋華ちゃんも、またね☆…失礼します☆」
「わざわざ、ありがとうございます☆」
「またね☆」
「あ・・・お気遣いありがとうございます☆」
ネロと恋華が頭を下げると玄関まで小走りで戻ってきた実尋、そして玄関の外に居る秀、イ・ヤムチャも・・・代々木さんに軽く頭を下げた。
「うわーー・・・ねぇねぇ・・・オバチャンが持ってきた大皿なんかいい匂いしたねー☆」
「うん☆ポテトとチキンナゲットの盛り合わせが////」
「なにーーー☆これは助かるな☆」
「おぉぉ、うまそうだなーーー流石に俺も腹が減って、限界が近かったぜ☆」
恋華、実尋、秀、イ・ヤムチャは次々にテーブルの周りに集まった。
「さてと・・・・じゃあ・・・そろそろ食うか・・・カレーもあるし!」
ネロは、人数分のカレーをよそってテーブルに並べた。
いただきまーーーす☆
一人暮らしのネロは、久しぶりに聴いた大人数の「いただきます」だった。
ーーやっぱり、部屋が賑やかだと・・・なんだか、いいな・・・
「新宿クン!これ・・・すっごく美味しいよ☆料理とか得意なんだね~・・・・おかわり☆」
実尋は、カレーを勢いよく食べながら言った。
「ネロの場合・・・人生の大半をカレーで過ごしてるからね・・・・おかわり☆」
恋華は、カレーが上手いのは当たり前のような言い方をしながら平らげる。
「俺もだ!!新宿☆俺にも・・・おかわりを☆・・・」
我こそ先だと言わんばかりに、大きな声をあげる秀。
「ミヒロさん!アナタが作ったサラダもウマイです☆カレーもサラダもおかわりだぜ!」
イ・ヤムチャがサラダのおかわりを頼むと
「あ・・・サラダは、もうないんだ☆スマンね~・・・あ、そうそう・・・みひろん特製ゴマジュースがあるぜ??」
実尋は、元気よく冷蔵庫を指さした。
「え・・・ゴマジュース???」
イ・ヤムチャは頭上に「?」クエスチョンマークを浮かべた。
「おぉ・・・そうだったな・・・持ち寄った材料でそれぞれ、オリジナルカクテルを作って・・・買い出しに行く前に、冷蔵庫の中で冷やしておいたんだった・・・・すっかり忘れるトコだったぞ☆」
秀も、頭をかきながら話した。
「そーーだった・・・・俺の特性ウルフハート!是非、ミヒロさんに飲んでもらいたいぜ!」
イ・ヤムチャも得意げに言った。
「お・・・大崎君・・・私の是非・・・飲んで美味しく作ったから・・・」
一同は、自信作だから飲んで欲しいと・・・それそれが、飲んで欲しい人の名前を言っていた。
「まぁ・・・待て待て・・・みんな、ルールはジャンケンで勝った奴から、好きなジュースを選ぶ選択権があるんだ!」
ネロは、冷蔵庫からそれぞれが作った特製カクテルをお盆に一つに纏めて持ってきた。
「ふっふっふ・・・・ジャンケンで勝って・・・・俺は、ミヒロさんの特性ゴマジュースをいただくぜ!!さぁ、勝負だ!!!」
イ・ヤムチャが拳を構えてまるで狼が飛び掛かるような姿勢をとった。
「うーーーん・・・・複数相手じゃ・・・・イ・ヤムチャさんの次の手は読めた・・・しかし、大崎クン辺りが・・・何出すか読めない・・・・」
拳と拳を重ねて覗き見る、実尋のお得意の透視眼!(ジャンケンをすると時にやると相手の出すのが解る?という裏ワザ・・・成功率は50%)
ジャンケンポン
「よーーし!どうやら、俺の勝ちの様だな!!さぁ、みんなジャンケンで残りの順番を決めてくれ☆俺は勝者の権限として・・・じっくりと選ばせてもらうぞ☆ハッハッハッハ・・・」
「うわーーー・・・・大崎クン強っ・・・・」
最初のカクテルを選ぶ権利は、秀になったようだ。秀がカクテルをじっくり選んでいる間に残りのメンバーは、ジャンケンを続けた。
「よっし!今回は俺は2番だ!!まだ選択権はあるぞーー☆前回は、タバスコで死にかけたしな・・・」
「うわ・・・・透視眼外した・・・・新宿クンがまさか、ここでチョキを出すとは・・・・」
2番目はネロだった。珍しく固く勝利を拾った。
「ほうほう・・・ワタシは、3番目かぁ・・・・透視眼が・・・ハズレたかぁ・・・今回は、もぉ決まっているぜぇ~・・・・」
3番目になった実尋は、気になるドリンクが意中にあるらしい。
「・・・・4番目かぁ・・・・なんだろ、また微妙・・・私ジャンケン弱いのかなぁ・・・」
恋華は、4番目となった為、あまり選択権は無かった。
「なんと、言うことだ・・・・俺の狼牙風風ジャン拳が・・・・まさかの、連続敗北とは・・・」
「うん、イ・ヤムイチャさんは、さっきから最初はグーの次、パーしか出してない・・・」
「では、俺から選ばせてもらおう・・・代々木さんが持ってきたポテトに合いそうな・・・この、目黒のジュースにしよう☆色合いが良くて、実に美味そうだぁ☆・・・・一人ずつ飲んでリアクション見ても芸がない!みんなで一緒に乾杯して一緒に飲もう☆」
秀は、恋華の作った色合いと香りの良さそうな、ジュースにした。
「あっは☆お、大崎くんが、私のを選んでくれた☆ど、どうしよ☆」
恋華は、一人で顔抑えて喜んでいた。
「よし、じゃあ・・・俺は、このフルーツの香りがする・・・これだ!」
ネロが、一つカクテルを取ると
「良くぞ選んだ!それは俺の特性ジュースだ☆」
秀がガッツポーズを取る。
「ちょっ!!ネロ・・・アンタ、空気読みなさいよ!!アンタが、大崎君の飲んでどうするのよーー!」
恋華は、顔を真っ赤にして怒る。
「知るか・・・ルールに従っただけだ☆」
ネロは、勝ち誇った顔をした。秀の人柄を考えて人が苦しむドリンクはまず作らないからだ。
「ワタシは、これだぜ!!ウルフハート☆もらい!!今回は、留守番中に新宿クンが作ってたの見えちゃったし・・・新宿クンのより、イ・ヤムチャさんの方が美味しそうだもん☆」
「よぉぉぉぉし!!」
実尋が選んでくれた為、イ・ヤムチャはガッツポーズを取った。やはり意中の女性に選んでもらえるのは嬉しいモノらしい。
「・・・・・じゃあ、私・・・みひろんのゴマジュースにする・・・・今回は、タバスコないし・・・デス☆ソース封印されたし・・・ネロの、カクテルなんか臭いし・・・」
恋華は、実尋の作ったゴマジュースを選んだ。
「恋華!安心して、健康第一・・・ゴマとお砂糖と牛乳で作ったから☆」
実尋のカクテルの材料を聴いてホッっと一安心する恋華。
「くっそぉぉ・・・・実尋さんの、ゴマジュースは取られたか・・・しかも、奴(ネロ)の作ったジュース、どーみても・・・100%青汁」
イ・ヤムチャは・・・ネロの作った間違いなく青汁と思われる緑色のドリンクを(選択権が無いため)手に取った。
「あ・・・ワリィ・・・カレー作るの忙しくて・・・・青汁をそのまま入れた。」
「てめぇ・・・・飲む前に、さらっと地獄を言ってくれるんじゃねぇ!」
ネロがさらっと、ネタばらしを先にした為、イ・ヤムチャは軽く怒った。
「では、グレイコフは・・・まだ起きないけど、みんな乾杯☆」
秀の乾杯の音頭で一斉にカクテルを一口飲んだ。(イ・ヤムチャだけは一気に飲み干した)
「ぷはーー!マズイ!もう、一杯!!」
「あ・・・気に入ったか?俺あんまり好きじゃねぇから・・・おかわり出すぞ?」
「いるかーーーー!!!」
イ・ヤムチャが青汁のCMのようなリアクションを取ると、ネロがつぎ足そうとした為、流石に大きな声で突っ込んだ。
「ゴホゴホゴホゴホ・・・・・」
恋華が苦しみだし、大きくむせた。
「恋華ぁぁ・・・大丈夫???ゴマジュース美味しくなかった??おかしいな??」
実尋は、恋華の背中をさすった。
実尋の作ったゴマジュースは、ゴマと砂糖をすり鉢で混ぜたモノと牛乳を割ったモノだが、比率は「ゴマ」2対「牛乳」1の比率であり、ゴマと牛乳を混ぜたモノを飲みやすい様にドリップした訳でもない為・・・・粉上のゴマを一緒に飲み込む事になる・・・したがって、咀嚼して飲み込むくらいでないと・・・恋華のようなリアクション(むせ込み)となる。
秀の作ったカクテルは、パッションフルーツが原材料のMIXジュース。今回一番の出来と言えるカクテルだった。
イ・ヤムチャが作ったカクテルは、ライチベースのジュースにソーダ割にした・・・カナリオシャレなモノだった。
恋華の作ったカクテルも、モモの缶詰のシロップとカルピスが混ざったモノで香り自体はいいのだが、時間が経つとやはり少し固形化が始まってしまう。しかし、心の広い秀はグイっと一気飲みして満面の笑みを浮かべる。
一同は、代々木さんの持ってきたポテトの盛り合わせを堪能しながら、中間試験の話や、グレイコフの話等で大分盛り上がった。
17時頃になった頃にはお開きにすることにしたが、グレイコフは起きる気配は無い。
「おーーい・・・・グレイコフ??ダメだ・・・ぐっすり寝ちまってる・・・」
ネロは、起こそうとしたが・・・起きる気配がない。
「うーーん弱ったな・・・・実は、ちえモン先生から、サブライズで手紙を預かってきていてな・・・せっかくだから、最後に読んで聞かせようかと思ったのだが・・・・これではなぁ・・・・」
秀が、困った様子で頭をかいた。
「うーーーん、みんなで色紙に書いて渡すとか・・・」
実尋がいうと・・・
「色紙の寄せ書きか・・・・そういや、用意してないな・・・」
ネロが腕を組んだ。
「もぉ・・・・こうなったら、グレイコフに直接書いてやりましょう!!こんだけ寝てるんだから、イタズラしてやるわ!」
恋華が、油性マジックを持ってきた。
「おいおい・・・・それは、ちょっと・・・」
ネロが止めようとしたが、
「よし、・・・・それで、行こう!!きっと心に残るだろう!!」
秀は、ボールペンで腕に書き始めた。
「よーーし!!俺も、負けていられねぇ!」
「ワタシも書こう☆」
実尋とイ・ヤチャは上着を脱がせて書き始めた。
「おいおい・・・・って」
実尋は、ネロの手を引いた。
「一緒に書こう!」
「・・・・・おぅ!」
グレイコフが目覚めたのは、19時頃だった。
「・・・・OH・・・ネロ。」
グレイコフの隣に、横たわって寝ているネロがいた。大分疲れている様子だったので・・・グレイコフは、ネロを起こさず自分にかかっていた掛布団をネロにかけた。おそらく、グレイコフにかかっていた掛布団はネロがかけたのだろう・・・
グレイコフは、腕時計を見ようと左腕を見たら・・・・左手の甲に英単語で一言メッセージが書かれていた。おそらくネロが書いたのだろう・・・
グレイコフは、小さく笑った。
グレイコフは、自宅に帰りドアを開けようと右手をドアノブにかけた時に、長文のメッセージが書かれていた。
「What??」
グレイコフは、自室の部屋を明るくしてみると・・・それは、ボールペンで書かれており・・・
どうやら、大塚知恵からの伝言らしく、大崎(秀)という人物が代筆したらしい
大塚知恵先生より伝言です。大崎が代筆します!
親愛なるグレイコフ☆サンへ 友を想い、見守る姿 貴方の優しさ 短い期間でも十分に感じ取れたデス☆ どんなに離れていても 心は繋がってる ワタシはそう信じてるデスよ♪ PS ギリギリの所が燃えるんデスよ☆ だ☆か☆ら☆ね スカートの中まで見ようとするんじゃぁない!
「Oh my ガーー!/////」
あちゃー、見られてたかぁぁ・・・と言わんばかりに恥ずかしそうに顔を赤くしながら手を顔に当てた。
グレイコフは、一晩秋葉原に居たため、自室のシャワーを浴びようと・・・脱衣室の前で服を脱ぐと・・・
鏡の前の自分の姿に絶句した。
左の胸板に
たとえフランスに戻ったとしても、私たちの絆はずっと繋がってるからね♪だからさよならは言わない。必ずまた会おう☆ みひろん
右の胸板に
バカちん!最後のお別れで寝るな・・・! 恋華
へその辺りに
「情けないが俺が一番役に立てなかったからな 次に来る時は案内は俺に任せてくれ・・・・ここらで一番遊びに詳しいのは俺だってとこを見せてやる」荒野のハイエナ
グレイコフは、メッセージを読みながら、胸の中に溢れる思いがあった・・・
ネロ・・・君は、確かに不器用なトコもあるかもしれない・・・
だが、こんなにもいい友達に、良い仲間に巡り合えた!
その事を決して忘れちゃいけない!
グレイコフは、シャワー浴びる直前に・・・もう一度だけ左腕に書いてある・・・一番短く、一番不器用なメッセージを、日本で一番親しくしてくれた若き友の顔を浮かべ、万感の思いを込めて声に出して読んだ。
「Adios!」
つづき
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