グレイコフ=F=アグワ。フランスから来た留学生である。ネロが通う、共有鯖船学園に在学し約一ヶ月の時を過ごした。

ネロは、可能な限り有意義な時間を過ごして欲しいと、グレイコフが不便しないように在学時間サポートを続けた。

5月を迎え、グレイコフの在学期間は終わった。
グレイコフがフランスへと発つ便は、月曜日である。

土曜日の正午、中間試験を終えたネロ達は、体育館で全校集会を行いグレイコフの最後の挨拶と花束の贈呈を行った。




【本編】
中間試験を終えた土曜日の午後。
ネロは、留学生のグレイコフと二人きりで夕飯を食べた。

ネロとグレイコフが向かった場所は、東京の秋葉原という駅だった。外国人の観光客が多い駅として有名であり、グレイコフも一度見に行きたいと強く希望していた場所である。

秋葉原駅の電気街口、その名の通り、電化製品の店が非常に多いがそれ以上に、アニメグッズ、ゲームグッズ、フィギュアといった物を扱う店が多かった。不思議と日本のアニメグッズ等は、外国人観光客の心を魅了した。

ーーすげぇ・・・アキバ(秋葉原の略)って、グレイコフそっくりの顔の観光客でいっぱいだ!ってか、みんなデカイな・・・

ネロとグレイコフは、人混みの中にフィギュアの店でしばらく展示されたフィギュアを少し下の角度から覗いていた。

「あれ、見えねぇ・・・見えそうで、見えねぇ・・・クリアケースが邪魔だ」

「Oh・・・クリアケースは、防犯の為に仕方ないデス!しかし、配置に問題アリですね・・・前方に配置にされた小型栽培●ンが邪魔で、後ろに立っている女性フィギュアのス●ートの中が見えません!コマリマシタ」

眉間にシワを寄せて話すグレイコフ。

「ちょっと、そんなにハッキリ言うなよ!」

「ネロ!別のフィギュアのスカー●の中を見に行きましょう!ここでは、見えません!」

「おい・・・・グレイコフ!」

ネロとグレイコフは、別のフィギュア店へ移動した。観光客の中には、フィギュア店に張り付きお目当てのフィギュアのス●ートの中を覗く客も少なくない。どうしても覗く願望を満たしたい客は、展示されている女性フィギュアを購入する事もある。
 


「これしきのフィギュアのスカートが覗けないとは、まだ甘いな・・・」
ネロ達が去ったあと、長い銀髪で黒いロングコートを羽織った長身の美男子が颯爽と現れた。秋葉原の電気街口の街路樹では、何故か違和感の無いこの男。

「俺が手本を見せてやる!これが、アキバ流フィギュア観察の極意!!」

-真眼-

「ふおおおおお!!」
スマートフォンを片手に、フィギュアが入っているクリアケースの周りを縦横無尽に飛び回り、連続撮影をする長い銀髪の男。

「ふふふ・・・・これだけ撮影すれば、肉眼で捕らえきれなかった際どい角度からのフィギュアのスカー●の中もスマートフォンのデータの中に・・・」
長い銀髪の男が不敵に笑っていると、警備員の男がやってきて

「キミ、ここは撮影禁止場所だ。通報があったのでちょっと署まで同行を願おう・・・」
と中ば強引に腕を掴んだ。

「ま、待て!俺は何も悪くない・・・決して痴漢行為等はしていない!怪しい者ではない!女子高生のスカートだって覗いてない!サングラスもかけてない!断じてタシロ●サシでは無い!な、何?その格好は何だ?ロングコートの下は確かに何も着ていない!だが、俺はズボンは履いている!ま、待て手錠は辞めろ・・・悪い事をしたみたいじゃないか・・・」
 

長い銀髪の男のテーマ曲
タ、タ、タ、タ、タシロス♪


その頃、ネロとグレイコフは秋葉原のメイドカフェに来ていた。こちらも「前から一度行って見たかった!」というグレイコフの希望である。
ネロとグレイコフは、オムライスを注文した。味は、この際置いておき・・・値段は恐ろしく高い、1800円。

ーーおい!なんだこの値段・・・

ネロとグレイコフと前に、メイド?と呼ばれるヒラヒラの黒いドレスに白いエプロンと白いカチューシャをつけた女性が現れた。

ヒュー ヒュー

グレイコフは、ノリノリである。

「美味しくなぁ~れ☆ハイ!!ご一緒に☆」
メイドは、ネロとグレイコフに一緒にやるように指示した。

「美味しくなぁ~れ☆」
ネロとグレイコフは、メイドに合わせて言った。

「萌え萌えキュン☆ハイ!!ご一緒に☆」

「萌え萌えキュン☆」
ネロとグレイコフは、再び合わせた。

この謎の'萌え萌えビーム'という儀式により800円が追加料金となった。ノリノリのグレイコフは、萌え萌えお絵描きというモノを追加注文した。

メイドは、ケチャップを持って来て何やら絵を描き始めた。勿論こちらも別料金。

食べ終わった頃にメイドは現れ、
「お代わりニャンか??」
と誘惑を開始した。

ノリノリのグレイコフは、お代わりしようとしたが・・・ネロは、グレイコフの口に手を当ててお代わりコールを封印した。ネロは、直感でこの場に長く居たら、どんどんグレイコフは金を使ってしまうだろう。しかし、長時間この場に居れば客側は不利になると感じ・・・グレイコフを連れ店を出た。

この時点で中々、恐ろしい合計金額だった。

「行ってらっしゃーい☆」
とメイドが言うのに対して

「また来るよ~☆」
グレイコフは返す。

ーーグレイコフ、悪いがメイド喫茶はこれで終わりにしよう!

メイド喫茶を出たネロとグレイコフは、武器屋と呼ばれる模造刀を扱う怪しげな店へ向かった。一階には、ガスを注入し、引き金を引くとBB弾を発射するガスガンが展示。二階には、美術刀と呼ばれる模造刀が展示されている。グレイコフが思い描く本来の日本人の姿とは、腰に日本刀を差し、髷を結い、富士山に登るといった・・・どこで学んだか解らない、サムライスタイルだった。そして、サムライ文化に憧れを持つグレイコフは、カタナというモノが好きだった。



ビービービービー


警報がなった。


ーーあれ?まだ模造刀には触っていないハズ!急に警報がなったぞ。

店員がやってきて、声をかけた。
「スミマセン、お二階は有料会員様のみのご来場となっておりますので・・・」

「あ、そうでしたか・・・スミマセン。」
ネロは、グレイコフを連れ店を出る事にした。

グレイコフが少し悲しそうな表情をしている気がしたネロは、他に模造刀が売っていそうな場所をスマートフォンで検索した。
「・・・・・ネロ。」

「あ、ごめんな・・・ここなら、お土産に日本刀が買えると思ったんだけど、会員制だとは知らなかったんだ。ちょっと待って、今探すから・・・・あ、あった。」
ネロは、グレイコフに日本での留学期間を良い思い出にしてもらおうと、夢中でスマートフォンで検索した。

そんな様子を静かに見守るグレイコフ。
グレイコフは、ネロを見つめながら少し笑った。

-彼は、ホントに良い子だ。困っている人を放って置くことが出来ない、純粋な子だ。彼に出逢えて良かった-


ネロがスマートフォンで検索した結果、近くの電気屋さんに安い模造刀が売っている事が解った。

ネロは、グレイコフと共に近くの電気屋さんに向かう事にしたが、通り道に刀の「柄」と「鍔」がついた黒い傘が置いてあり、グレイコフは模造刀ではなくカタナそっくりの傘に向かってまっしぐら。

「Oh!!サムライ!!フジヤマ登る!ドスコイ!ドスコイ!」
グレイコフは、なんだか解らない日本語を話、カタナそっくりの傘を持って構えた。

ーーめっちゃ笑顔だ!それで良いのか?グレイコフ。


グレイコフは、模造刀にそっくりのカタナ傘が見つかっから嬉しかった訳ではなく、ネロのキモチが嬉しかったのだ。
ネロは、自分の為に夢中で助けようとしてくれた。お土産は、もう充分にもらったよ・・・

 



その夜、二人共通の趣味であるオンラインゲームやる為、ネットカフェで夜通しゲームをやった。

ファンタシースターコスモ。
このゲームは、ネットカフェでプレイすると何か利点があるらしい。

ネロとグレイコフは、店員に頼み隣り合わせ部屋を使わせてもらった。

隣同士の部屋は間の壁に隠し扉があり、隠し扉を開ける事で二人部屋になるのだ。

 

 

     
JIN「ほぉ・・・今日は久しぶりに同じ時間にログイン(ゲームを始めたの)か、珍しいな。」
ギルドマスターのJINがチャット上で語りかけてきた。

ネロ「こんばんわ!マスター・・・実は、俺達・・・リアルで一緒の場所に居るんです。」
とネロがチャットで応答する。

ミクミクさん「一緒に居るにゃん☆私達、リアルでデート中にゃん☆」
と可愛らしツインテイルの女性キャラクター、ミクミクさんも、可愛らしいポーズでチャットで応答した。


その頃、渋谷実尋の家では

ぶーーー

実尋は、コーヒーを吹き出してしまっていた。
     
「な、何ぃ!?し、新宿クン・・・グレイコフと一緒に居るの?深夜0時なのに・・・」
実尋は、部屋の中で一人パソコンの画面に向かって1人大きな声を出してしまった。

ネロ「実は、マスター・・・俺とミクミクさんは、二人で快活クラブに居るんです☆」
とネロがチャットで話しかけてきた。

ミクミクさん「ソフトクリーム、美味しいにゃん☆」
ミクミクさんも、可愛らしいポーズでネロの隣に立ち、チャットで話しかけてきた。

その時、実尋のスマートフォンにネロから画像LINEが届いた。

実尋は、すぐにLINEを見ると・・・
グレイコフの顔のどアップだった。
さらに、ネロから
今、グレイコフと二人で快活クラブに来てます☆
とLINEが届いた。

「知ってますよ!同じPCゲームの、オンラインゲームやってますからね!」
実尋は、自宅でパソコンの画面を見ながら立腹した。

「ワタシも、誘ってくれても良かったのに・・・」
実は、ネロがやっているオンラインゲームのギルドマスター【JIN】を操作するプレイヤーは、渋谷実尋である。実尋は、ネロがネットとネロと名乗っており、チャット上で自己紹介をする際自身の性別どころか、年齢、学校名まで明かしてしまっており、ゲームキャラクター【ネロ】のプレイヤーは新宿ネロである事は知っている。そして、ネロやグレイコフ達とガストで会話をした際、グレイコフの語りで【ミクミクさん】のプレイヤーは、グレイコフである事は察した。
しかし、実尋自身は、同じオンラインゲームをやっている事を明かしていない。実は実尋はカナリのゲーマー(ゲーム好き)なのだが、学校内で自分のイメージを崩したくは無かった。

「・・・でも、ネカフェに誘われて同じゲームやってたら、ゲーマーだってバレちゃうか・・・かと言って、ネカフェ内でゲームを我慢して'ワタシ、ゲームやった事無いから本読んでるね☆・・・新宿クン、ゲーム上手なんだね凄いな☆'な~んてブリっ子したら、ガチ勢!戦場のJINの名が泣くぜぇ!」
実尋は、PCの前で腕を組んだ。

ネロ「じゃあマスター!ミクミクさんと一緒にクエストに行ってきまーす。」
ネロからのチャットが来た。

ミクミクさん「マスター☆ネロくんと行ってきますにゃん!」
ネロに続いてミクミクさんからのチャットが届いた。

「クエスト!!一緒に行きたい・・・・」
実尋は、急いでチャットした。

JIN「ほぅ!二人だけでクエストか・・・微力ながらこの戦場のJIN!!助太刀ごめん!!(キラン 効果音)」
実尋は、急ぎながらも【JIN】というキャラクターをチャットで演じる事を忘れなかった。ロールプレイと言って、チャット上で話し方をそのキャラクターに合わせて話す楽しみかたである。
実尋は、ロールプレイをこよなく愛していた。チャット上で【JIN】としてあり続けたかったのだ。

「あれ?返事がないな・・・な!!二人で離席中(オンラインゲームを一時中断して別の私用する事。つまり離席中はチャットで呼びかけしても返事はない)とか、ギルドマスターなのに、ワタシ眼中に無いのね!!・・・もぅ、いいわ!!ギルドメッセージ欄に一言書いて、別のゲームするわ!!男同士イチャイチャしてれば良いのよ・・・(涙目」
実尋は、生まれて初めて・・・不思議な怒りがこみ上げた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
この気持ちが、「嫉妬」だと言う事に、自身でも直ぐに気づいてしまった。

実尋は、気晴らしに別の無料ゲームをダウンロードした。
「キリエハザード??・・・ゾンビのゲームかしら?この柱の影から主人公を覗き見する長い黒髪の女子高生・・・ゾンビかしら?御徒町さんに似てるわね・・・」



「簡単な説明が書いてあるわ・・・主人公の男性は、女子高生から求愛される。そして強すぎる愛は、殺意へと変わった・・・な、何これ・・・ちょっとだけやってみようかしら?・・・あら?主人公男性固定なのに、名前つける?・・・じゃあ////新宿ネロ・・・な~んてね☆」

※キリエハザードをプレイしたお話を読みたい方は、コメントやメッセージで教えてください。
どっかで書きますw

「あ?噂をすれば新宿クンからLINE・・・またグレイコフの顔の写真だったら怒るわよ・・・まぁ、実際会ったら怒らないけどね☆ん?ほぅほぅ・・・明日(ってか今日)、新宿クンの家でカクテルパーティーをやるのかい!よーーし、どうやら・・・ワタシの提案がグレイコフに受け入れられたようだ!ワッハッハ☆・・・・さぁ~て・・・・次のカクテル作るの何持っていこうかな☆・・・・ってか、私服かぁ・・・何着ようかなぁ☆・・・ちょっとオシャレしちゃおうかな☆グレイコフを送り出すカクテルパーティーだし☆」

横になったままスマートフォンを見ながら、実尋は夜更けにウキウキしていた。

 

 

 

 

 


 

深夜0時の学校の体育館では・・・

「!!・・・・LINE、こんな夜中に・・・チッ、ネロか・・・

グレイコフの顔の写真なんかよこしやがって・・・ガキか・・・」

黒いジャージ小柄な女子とロン毛の男子が体育館で、しゃがみこんで床を見ていた。
恋華とイ・ヤムチャだった。

「こんな深夜に体育館に忍びこんで、一体なにするつもりだ?」
イ・ヤムチャは言った。

「確か、ここだったわよね?一年生の女子が転んで鼻血を沢山出したの・・・」
恋華は、イ・ヤムチャに聞いた。

「あ、あぁ・・・・

懐中電灯で照らすと、まだ吹ききれてない血が残っている。

結構凄い鼻血だったもんな・・・」

「普通あんなに鼻血出て元気でいられるかしらね?」
恋華は真顔で言った。

「どーいう事・・・お、オイ!それ・・・」
イ・ヤムチャは恋華が手に持っているモノを見てビクっとして驚いた。

恋華は、小さな袋をイ・ヤムチャに見せた。

袋の中には赤いドロッとした微力ながら液体が僅かに入ってた。

「保険室で誰かさんが寝ているベッドの隣のゴミ箱に入っていたの・・・

大量の紙グズと一緒に、まるで紙グズで多い隠すようにね・・・

私、保険委員だから保険室の掃除した時に見つけたの・・・
恋華は、真顔で話した。

「その誰かさんって、まさか・・・ん?その試験管に入った液体は??」

恋華は、懐から蓋つきの試験官を出した。

「実験くん☆血液反応液キット・・・」



「ルミノールの反応試験薬か・・・そいつをここに垂らすんだな!

そして、光れば血液。本物の鼻血ってことか・・・・じゃあ、光らなかったら・・・」



ガタッ


「だ、誰?」
後ろから物音が聞こえた為、恋華とイ・ヤムチャ慌てて振り向いた。

 










ガタッ

快活クラブ(ネットカフェ)で深夜のオンラインゲームのプレイ中にトイレに行ったネロとグレイコフ。

 

トイレから戻ると・・・・
グレイコフの使っていたPCゲーム席から大きな物音が聞こえてきた。

中から長い黒髪の女子高生が出て来た。

「す、スミマセン・・・席を間違えてしまいました。」
長い黒髪が顔にかかっており、よく見えなかったが・・・ネロは、その声に聞き覚えがあった。
 

ーーん?あの声どこかで・・・

 

「ネロ・・・・そろそろ休もう。」

グレイコフがネロの後ろから声をかけた。

 

「そうだな・・・大分遅い時間だ・・・明日、ウチでカクテルパーティーやるし、流石に徹夜はマズイか・・・」

ネロは、少し目をこすった。

 

「あ・・・そうだ、グレイコフ・・・・ちょっとだけ相談があるんだけど・・・」

ネロは、グレイコフへ話しかけた。

「・・・・・??」

グレイコフは、ネロの方を振り向いた。

 

「おれ・・・この前、渋谷と一緒に学園喫茶の買い物に行ったんだ。そん時・・・渋谷から進路調査表の事聞かれて

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12447906061.html

18話参照

 

「ねぇ、新宿クン・・・あのさ、進路調査表なんだけどさ・・・何て書いた?あぁ、急に聞いて悪いね、こんな事・・・」

 

「あー・・・アレか、就職または、就職系の専門学校って書いた。備考欄に具体的にはまだ未定って書いといた。」

「だって、これからの人生・・・未成年俺らがすぐに決めれる訳ないじゃん?

具体的に書いたとしても、ギリギリで変わる事もあるし・・・

今回書いて提出するモノは、学校上の都合だろ?んなの・・・イチイチ、ガチで考えてもしょーがねぇ~よ」


「俺、イチイチ、ガチで考えてもしょーがねぇ~よ・・・って答えたんだけど・・・なんとなく、それから・・・渋谷、どこか素っ気ない気がして・・・恋華にその事話したら・・・」

https://ameblo.jp/rum-xxx-03/entry-12448441414.html

19話参照

 

 

「ちょっとねぇ・・・どうしてアンタが、みひろんから進路調査表の相談なんてされたのか?考えた事ある??

みひろんには、ゲーム三昧のアンタと違って・・・生徒会を通じて、頭の良い友達で沢山居るのよ?

アドバイスを聴くだけなら、普通アンタを選ばないでしょ??・・・

 

「って・・・教室の中でめっちゃ怒られてさ・・・・参っちまった・・・・なぁ、グレイコフ・・・・俺、渋谷になんかイケナイ事言っちまったかな?俺・・・とりあえず、渋谷に謝ったんだけど・・・悪いと思ってないなら頭を下げるな・・・って言われてさ・・・」

ネロの頭を抱えて話している姿を見て、グレイコフは優しく笑った。

 

「ネロ、キミはまだ若い!なんでも完璧に解決しようと思わなくていい☆学生は、もっと笑うべきだ・・・・」

 

「でも・・・なんて言うべきか、俺なんかより、渋谷も恋華も・・・結構考えてるっていうか・・・大人っていうか・・・・俺も、もっと大人になりてぇんだ!いつまでも義務教育の子供のままじゃ、ダメなんだ!・・・・だって、俺は・・・高校を卒業した時点で18歳・・・もうすぐ、20歳だ!」

グレイコフの穏やかな話しかけに対して、ネロは眉間にシワを寄せて話した。とても切羽詰まっている様子だった。

 

「ネロ・・・・・」

 

「俺は、もっとみんなの気持ちが理解したい・・・そうじゃないと・・・・」

下を向くネロの傍に寄り、グレイコフはネロの頭を撫でた。

 

「いいかい?人のキモチなんて、簡単に理解出来るモノじゃないんだ。大人であるワタシにも、キミの気持ちを全部理解してあげる事はできない・・・きっと、キミが大人になっても、これから苦労していく事なんだと思う・・・・そもそも、自分のキモチを言葉にしても相手には伝わらない事もあるし・・・自分のキモチを言わなければ、もっと伝わらない・・・そして、お互いに理解出来ない・・・もしかすると、お互いが他人である以上・・・気持ちを理解する事は不可能なのかもしれない・・・」

 

「でも!アイツは・・・恋華は、渋谷の事をもっと理解している・・・そんな気がする。渋谷だって・・・恋華の事をきっと理解しているんだと思う・・・俺だけ、人のキモチが理解できないとか、・・・そんな無神経な奴だと思われたくないんだ・・・・」

ネロは、下を向いた。

 

「ネロ!アナタは、無神経なんかじゃないよ☆ここに来るまで、今日・・・この日まで、ワタシにどれだけの事をしてくれた?☆・・・ワタシは、キミがワタシにしてくれた事を、ワタシの為に考えてくれた数々の事を決して忘れたりはしない・・・・日本に来て、一番のお土産は・・・カタナなんかじゃない!

 

 

 

キミに会えたことだよ

 

確かに、相手のキモチを理解して、

 

相手の期待通りの言葉を言ってあげる事は、難しい

 

それでも、

 

相手の事を思い、相手の為に何かをする。

 

何かをしようと努力をする事は出来る・・・

 

 

「ネロ・・・それをキミが教えてくれんだよ☆」

グレイコフは、万感の思いでネロを抱きしめた。

 

「・・・いや、俺なんか・・・大した事は出来ねぇし・・・仮に出来ても些細な事・・・・」

 

「ネロ・・・

 

大切なのは、出来る事の大小なんかじゃない!

 

助けたいという、思いの強さだ!

 

 

 

 

深夜のPC画面にオンラインゲームの中に、一組の男女のキャラクターがいた。

ミクミクさんと、ネロ・・・・

その立っている位置は、いつも以上に近い位置で並んでいた。

いつまでも二人きりで・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回は、26話・・・につづきます☆

 

 

26話で使う・・・ワンシーン

新宿ネロ役(スパーダさん)!

渋谷実尋役(実尋さん)!

 

撮影ご協力ありがとうございます!

 

イ・ヤムチャ役(リクヨウさん)

よろしくお願いします☆w