「福田村事件」



作中の心に残った台詞を挙げます。ネタばらしともなるのでご注意下さい。



1923年、9月1日、関東を襲った地震は、各所で火災を招き首都東京は火の海となる。

逃げ延びる人々の恐怖心は、数々のデマや流言を引き起こす。


「鮮人(朝鮮人)達が襲ってくるぞ」

「中国人が井戸に毒を投げたらしいぞ」

「自警団を作って家族を守るんだ」


国は騒ぎを鎮めようと各地区に自警団の結成を呼びかける。


極度の恐怖心は人間の理性を砕く。

各地で虐殺、弾圧が始まった。

対象となったのは、朝鮮人、中国人、共産主義者。


そんな中、香川県から出稼ぎに来ていた薬売りの行商団がいた。

女、子供、あわせて15人の一行は震災の難を逃れようと利根川を渡り千葉県に入る。


「俺たち穢多の売る薬なんか誰も買ってくれんかなぁ」

「野田の街は醤油で景気がいいんだ。あそこに行けば薬も売れるだよ」

「東京じゃあ、鮮人達が捕まっちょるつうじゃ」

「なあ、おら達のご先祖も朝鮮から来たべぇかぁ」

「そうかもなぁ」

「なら天皇陛下もか」

「馬鹿野郎、天皇様は神さまだべ、そんなことあらすか」


一方、利根川を渡った先にある福田村では、軍人会や青年団により「自警団」が結成され、村人達は竹槍を持ち、川を越えてやってくると噂に聞いた暴徒の襲来に備えていた。


「鮮人達はほんとに来るだべか」

「鮮人にも良い人はおるけえが」

「阿呆っ、奴ら日頃の恨みを晴らそうとしているにちがいねべ」


村の入口。自警団に詰問される薬売りの行商15人。


「こいつ等、鮮人だべ。殺っちまえ」

「お前ら日本人だっていう証拠を見せろ」

「歴代の天皇様の名前を言ってみろ」

「神武、綏靖、安寧…」

「落ち着け、この人達は日本人だ」

「日本人を殺しちゃなんねぇ」


必死で説得する村長。

顔を見合わせる自警団達。

一触即発の緊迫の中、行商団のお頭が前に出る。


「朝鮮人なら殺してもいいんか」

……


堰は切られた。

恐怖と憎悪に駆られた村人が襲いかかる。


竹槍で刺される子供

銃で撃たれる男

川に逃げた妊婦は乳飲み子ごと槍でつかれ、川に流される


警察が駆けつけた時にはすでに遅く、9人が虐殺された。


行商団の男の子

「9人じゃありません。10人です。もうすぐ産まれてくる子供がいました」


自警団のひとり

「俺たちは村を守ろうと必死だったんだ。お国にそう命じられたんだ」



こんなにも、ひとりひとりの台詞が重く、考えさせられる映画は、初めてかもしれない。