二年前の春、突如現れた疫病騒ぎは、もうすぐ3年目を迎えようとしている。
 豪華客船でのあの出来事は、私にとっては言わば花火。じっと見ていれば、フィナーレの金色の滝を落として何事もなかったかのように終わるはずだった。しかしそうではなかった。
 この世界的な疫病騒ぎは、おそらくは私の記憶の中で最上段に居座る大事変となるだろう。
 思い返せば子供の頃、テレビにかじりついて見ていた「連合赤軍浅間山荘事件」あの鉄球が壁を破壊するシーンは、小さな脳裏に焼き付いて消えずにいる。
 自分の中の何かがかわる出来事。価値観や人生観までもが。そんなことは、そうめったにある事ではない。
 バブル崩壊、阪神淡路大震災、9.11テロ、東北の震災とメルトダウン。そしてこの新型コロナウイルスの世界的なまん延。
 遙か昔のスペイン風邪や、ヨーロッパが恐怖したサーズでさえ、日本人には対岸の火事、遠い海の向こうの騒ぎであった。しかし今再び広がりつつあるオミクロン株は、3年目の春を変えようとしている。
 国を構成する人間、国民の意識がかわるほどの出来事は、その国の文化までをも変える。
 たとえば明治維新。鎖国という暖かなマユの中で眠っていた温和しい小国は、富国強兵のスローガンのもと狂暴な侵略国家へと変異した。
 今後の新型コロナウイルスによる生活の変化が、この国の文化までも変えてしまわないよう祈るしかない。