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「突飛な題名の小説には簡単に喰い付かない」
50を過ぎると男も見せかけの派手さに気を惹かれることはなくなるぞ、ということなのですが、著者が篠田節子とくれば話は別です。
 
彼女の重厚で力強い筆力に魅了され続けてきた僕は「熱帯雨林・・・・・・・・・・・・・・・・」
と長ったらしい割に意味のわからない題名にも、
篠田先生のことだから「何か訳があってのことだろう」と前向きな解釈をして読み始めました。
 
 
 
この本は4作からなる短編集です。
                       駿河湾の400米の海底から引き上げられたアナコンダのような巨大ウナギの体内には、レアメタルパラジウムが大量に蓄積されていた、資源獲得に乗り出す日本企業と情報を聞きつけ尖閣沖で待ち伏せる中国漁船、あわや一触即発の事態に・・・という「深海のEEL」。
 
極寒の北米で工期63年というトンネル工事に、人生を賭ける家族と、無理やり婿入りさせられた日本人の若者の生活と心の移り変わりを描く「エデン」。
 
おそらく何かの都合で短編としたのでしょうが、もっと深く掘り下げていけばSF長編小説として十分に通用する作品かと思います。
 
面白かったのはここまで
 
この2作は物語の世界に引き込まれはしましたが、
「はぐれ猿・・・」ともう一作「豚と人骨」はどうも・・・らしくない作品でした。
 
 
 
と、このままでは消化不良なので篠田作品をもう一冊おすすめします。
 
 
聖域
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初めて彼女の作品に触れたのがこの「聖域」という長編小説です。
 
 
中身はあえて申しません。
 
彼女の作品のもつ力強さ、リズム感の良さにまず引き込まれます。                宗教的・哲学的とも感じられる、太刀打ちできない宿命・無情・絶望という圧倒的な力に打ちひしがれ、しかしそれを乗り越える人間の生命力、精神と魂の存在を知ります。
読み進めるうちに「関わるな」と警告を発する自分に気づくことでしょう。             
    
 
彼女の世界に浸ってみたいという方はどうぞ。