p54

サバイバル行動の再評価

「嗜癖と孤立」

 

■摂食障害

■嘘をつくこと

■盗癖

■ギャンブル

■仕事中毒

 

◆摂食障害
私の記憶の限りで言えば、中2になってから過食が始まった。
中1のときに1年で10kgも体重が増え、理由が分からず苦しんだ。
母は、中学受験から解放されて、ホッとしたからではないかと言っていた。
幼児体型だから仕方ないとも言われた。
私は納得できなかったが、それ以上は母には言わなかった。
46kgだった体重が56kgになった。
ここが分岐点で、ダイエットに躍起になる自分と、全てを放棄して過食に耽る自分と、という風に真っ二つに引き裂かれる事になる。

いかがわしいものも含め、さまざまなダイエット法に、次から次へと手を出し始めた。
しかし、それらの費用を小遣いから捻出できず、悩みに悩んだ挙句、母にすがってみようと決め、勇気を振り絞って打ち明けた。
否定されるだろうと思っていたが、その時は母は肯定し、父に秘密にする事を交換条件に、とあるダイエット法のお金を出してくれた。
それは厳しい食事制限のあるもので、そのために母は、私だけのために別の食事を用意しなければならなかった。
生の人参と胡瓜しか入っていない弁当箱を持っていきクラスメイトに訝しがられた。
病気になったからだと言ってごまかした。


間もなく母は意見を翻してめんどくさいと言い始めた。
私のためだけに買わなければならない食材、私のためだけに用意しなければならない食事、それらの全てが面倒で無意味だと言って私に怒りを向けた。
またも裏切られたという感じだった。
いつもいつも今度こそ裏切られないようにと、頼みごとをする時は決まって出来るだけ母の気分を良くするように、裏切らないという確約をもらえるように、数え切れないほどの工夫を凝らしてきたのに、またも私は失敗したというわけだ。
 

これがきっかけとなって、私は家のお金を盗って、そのお金で様々なダイエット法に隠れて手を出していく事になる。

過食は隠れてやっていた。
過食のための「食材」を買う時は、店の人に感づかれているのでは、としょっちゅうびくびくしていた。
それだけ嫌な気分になるのに、やめることは出来なかった。
一番酷かった時期は、泣きながら食べ続けていた。

2002年の夏、過食に嘔吐が伴うようになった。
太りたくないという気持ちと、母へのSOSを発信する気持ちとが、複雑に絡み合っていた。
母に発覚した時に、SOSとしては届かなかった。

「トイレを汚さないように」とだけ言われた。
一度だけ現場を押さえられた事がある。
「あんた何してんの!」と怒鳴られ傷ついた。
それ以降、下宿に引っ越すまで、母への復讐をこめて吐き続けた。
下宿に引っ越してからは、これまでもそうだったように、サインとしては伝わらなかったから、嘔吐という形でのSOSは、捨てた。

ごく短期間であれば拒食に転じる事もあった。
私にとっての拒食は、他者から感づかれにくい形の、間接的な自殺の手段だった。

◆嘘をつくこと
ダイエット法についての嘘は上記。

他にも、隠したり誤魔化したり嘘を使ったりというのは山ほどある。
しかも現在の私はこれを、真実を守るためにやっているのだ。
秘密・誤魔化し・嘘をやめると、誤解されてしまうのではと怖くなる。
書いてて、何て逆説的なと思う。

たとえば母の仕事(塾講師)の手伝いに行っていた頃は、昼食は往路の途中で、夕食は復路の途中で外食するのだが、これは秘密の一つだ。
打ち明ける事が薮蛇になるかもしれないという恐れが私を束縛している。
だから、秘密にしないという事自体が、とても勇気の要る事なのだ。

◆盗癖
過食のための「食材」のお金や、隠れて手を出したダイエット法へのお金は家のタンスから盗ったお金を使っていた。
最初は恐る恐る僅かな額を盗む程度だったが、最終的には毎日1万円以上盗むほどだった。

この盗癖と過食については、この頃ちょうどスクールカウンセリングを受けていた。
「何故盗むのがいけない事なのかが分からないんです」
と打ち明けた時のことははっきり覚えている。
無茶苦茶な発言だけど、当時の正直な気持ちだった。
「分からない事が苦しい」とも言った。


結局解決する前にカウンセラーさんが亡くなったが、他のこと、たとえば母との距離を取る権利はあると言ってもらったりとか、何が適切なのかを伝えてくれたという点では、カウンセラーさんの存在は大きかった。
母との間に距離を置いていいと言ってくれたのもこのカウンセラーさんだ。

◆ギャンブル
これは私にはあまり馴染みがないが、N氏がそうだった。

(N氏=結婚を前提に4年付き合って、最後はDVを理由に別れた元彼の事)
ゲームセンターや雀荘に入り浸っていた、当時のN氏のことを思い出す。
当時は現在進行形でN氏への虐待が続いていた。
だから今考えれば、なるほど無理もないと思える。
私はN氏との付き合いを通して、TVゲームに逃避する事を覚えた。

◆仕事中毒
これについて思うのは、これが「自己破壊的な面がある」と説明されていてホッとしたということ。
再受験を目指して勉強中毒になっていた、そういう自分を手放したことは、間違っていなかったのだと安堵した。

 

 

 

にほんブログ村 家族ブログ 児童虐待・幼児虐待へ