田舎の夕方は美しい。私は子ども時代を思い出しながら駅に向かった。ある人と夕食を共にするためだ。電車に乗って隣町の私の好きなイタリアンの店に行った。
私はその人と会うのも楽しみだったが、久しぶりにおいしいイタリアンを食べられる事も楽しみだった。私は電車を降りて、お店に行った。まだその人は来ていなかった。
「けいた」
私はその声に振り向いた。ある人とは私の恋人である。私は彼女を確認出来た瞬間、強張った表情から笑顔がこぼれた。
「みか、久しぶり」
私は異性を名前で呼ばない。彼女を最初は名字で呼んでいた。しかし友人がそれはおかしいとの指摘を受けたので、私は名前で彼女を呼んでいる。
最初呼ぶ時にはかなり照れたが、呼んだら喜んでくれたのでうれしかった。
恋人に会うのはやっぱり楽しい、私たちは色んな話をした。私は実家で話したことに加えて、アメリカで出来た友人の話などをした。
そしたら突然彼女が
「まさかあっちに彼女いるわけじゃないよね?」
「いるわけないだろ。ってか出来ねぇよ」。
「そっか」
「早く帰って来てほしい?」
「ううん。帰って来ないでよ」
彼女は心配性なのは知っている。そんな彼女が遠距離を許してくれるのは私にとってはありがたいことである。
私は一人ではない。彼女が私のことを愛して、日本から応援している。私は彼女のお陰でハードスケジュール
も乗り越えてきた。きっとこれからも乗り越えていくのだろう。そろそろ日本に戻ってきた方がいいのかもしれない
と、思いそのことを彼女に言ったら
「仕事好きなんでしょ?満足するまでやって来て」
図星である。私は仕事が好きである。高校から音響という仕事をずっと続けている。高校時代は高校にあるであろう音響の仕事の
八割は私が関わっていた。高校時代の彼女とはそれが原因で別れた。彼女は私のことを私以上に知っている。
時を忘れて語り合っていたら、夜の10時になっていた。閉店の時間が近づいていたので、私たちは店を出た。
そして駅に向かった。駅に着いたら、彼女がバッグから茶封筒を出した。
「パパから」
パパとは彼女の父親そして私の恩師であり、雇い主である。今、彼女のお父さんのお陰で、アメリカで働くことが出来ている。
「ありがと」
私はそう言って彼女と別れた。
電車に乗っている間に私は封筒を開けてそこには手紙が入ってあってこう記してあった。
明日の9時に本社の社長室で待っています。
大沼
もともと社長の所には行く予定だったが、社長から呼んでくれるとは思わなかった。
家に着いた、そしてシャワーを浴びた。
時差ボケなのか、私はすぐに寝付くこと出来なかった。