足立区、葛飾区を中心に子育ての悩みがあるママや発達に不安を持っているママ向けに
発達支援を今まで700名以上に行ってきた作業療法士が講座を開催している
「ママも子どももみんなHappy」の大桑るいです。
今日は今朝から2歳10ヶ月の次男がハサミで遊んでいるのを見て、ハサミの選択について書こうと思いました。
小さい子にハサミを使わせるのは親からすると正直、指を切ってしまうのではないかと怖いですし、不安ですよね。
だからどうしても刃物を使わせる時期はいつが最適なんだろうと思うかもしれません。
ハサミと一言で言っても、実ははさみを持つ手と紙を持つ手の両方が上手に協力して使えないとハサミが使えません。
そこで、発達学的な視点からのお話を少ししますね。
両手が協力して上手に使えることを両手の協調動作といいます。
簡単に言うと、例えば絵を書くときには書かない方の手で紙を抑えたり、
食事の時にお皿を押さえながら食べたりすると思います。
その動作のことを協調動作といい、上手に出来ることを協調性が良いと言います。
さらにハサミの場合、紙を持つての使い方も大切ですが、
それと同時にはさみの開閉運動と紙の線に合わせて切ることやはさみを進めていくことが大切です。
ハサミもただ、開けて閉じるだけでは上手に切れません。
場合によっては少しずつ開かないといけなかったり、刃の根元を使うのか刃先を使うのかも使い分ける必要性があります。
そんなわけで、はさみをただ持って開閉するだけであれば3歳くらいで可能になりますが、
協調運動として線に合わせてはさみを使えるようになってくるのは4歳くらいになります。
ハサミの導入ですが、基本的に子供が興味を持ち始めてからで十分です。
子どもは大人がはさみを使っているのを見ていると思います。
例えば、台所で何かの袋を開けるときや、郵便物の封を切るとき、申込書を切り取るとき、子どもの爪を切るとき、
宅配便が届いて、荷物を開封するときなどにきっとはさみを使用していると思います。
そんな様子を見ていると自然とハサミに興味を抱く時期がやってきます。
そんな時こそ、チャンスです!
ぜひ、はさみを用意してあげて欲しいと思います。
ただ、ここでポイントが6つかあります。
そのポイントについてお話させていただきます。
ポイント1. はさみを握ることしかできなくてもバネ付きハサミなら使えます
ポイント2. ハサミの持ち手の部分の大きさはできる限り子供の手の大きさに合わせ握りやすいものを選択します
ポイント3. 万が一、握り部分が大き過ぎる場合は指がしっかりと固定できるように穴の大きさを小さくするために詰め物をします
ポイント4. プラスティック製のはさみを使用してもいいですが、できれば最初から刃がついたはさみを使用します
ポイント5. ハサミの先までガードがあるものではなく、ハサミの先までしっかりと見えるものを選びます
ポイント6. もし解るのであれば子供が使いやすい右もしくは左用のハサミを用意します。逆に利き手を決める必要はありません
ポイント1. ハサミの種類ですが、
握りこむのは発達段階上、早くからできますが実は開くのが難しいです。
ハサミの場合、ただ開くのではなく、ハサミを落とさないようにしながら開かないといけないので、子供にとっては難易度が高いです。
だから、開く作業を補ってくれるバネがあることで握ったら切れて、握る手を緩めたらハサミが勝手に開いてくれるハサミが使いやすいです。
ポイント2.とポイント3.の握り部分の大きさですが、
バネ付きハサミであっても握る部分が大きいものがあります。特に、親指の部分が大きいと握る時や開くときに指が安定しなくて
持つのが簡単ではなくなってしまったり、ハサミが落ちやるくなる原因にもなりえます。
そうならないために、しっかりと親指が固定できるように詰め物をします。
詰め物はティッシュで実は十分です。お子さんの手の大きさに合わせて空間にしっかりとティッシュを固く詰めます。
そして、そのティッシュをセロハンテープで固定するだけで大丈夫です。
ティッシュですので、必要がなくなれば外したり小さくしなおすことも可能です。
ポイント4.とぽんと5.のハサミの刃の種類と形状ですが、
ファーストハサミとして、プラスティックのハサミが売られています。でも、これって実は紙しか切れないと言っていますが
紙を切るにはハサミの刃をしっかりと立てておく必要があります。そうなると、小さなお子さんにとってハサミを立てて持つことが
難易度が高い活動であるために、紙を切ることができなくて、やる気を損なってしまったり、介助を求めるようになります。
折角のチャンスが成功体験ではなくなってしまいやすいので、できればプラスティック製のハサミではなく、
大人と同じように刃が付いているハサミを選ぶといいです。
また、形状ですが、指を切らないようにと安全のために刃先がプラスティックで覆われているものが多くあります。
このハサミは自由に切る場合には使えますが、線に沿って切ったり、1回切りの練習で線に合わせて切るとき、
刃先をどこに合わせたらよいかが解りづらくなります。そのため、できる限り刃先が覆われていないものを最初から選択すれば
ハサミが使えるようになってきてすぐに買い換える必要もなくなります。
ポイント6.利き手に合わせて購入するですが、
利き手が確立されるのは実は脳科学的に言うと4歳以降です。
それまでは確かに得意な手はあるかもしれませんが、必ずしも得意ではないこともあります。
また、昔から右手に利き手を矯正する習慣があるかと思いますが、これは発達上、実は一切必要がありません。
逆に得意な手でない方を使うように小さい時から言われると、手の細かい作業が簡単ではなくなり嫌がり遠ざかるようになるかもしれません。
だから、最初のハサミに関しては、おもちゃで遊ぶときや食事の場面でよく使う手だったり、初めてのことをする時に出やすい手に
合わせてあげるといいと思います。それ以外にもハサミによっては両手で使えるものがあるので、そんなハサミを選ぶこともできます。
次男は来年度、年少になります。
幼稚園ではハサミを使える必要性があると既に言われており、更にはキンダークラスでもハサミを使う活動があります。
また、兄がいるので目の前でハサミを使っているのをじっと見ていることが多いです。
そのため、自発的に2歳になった頃にはハサミを持ちたいと言い始め、現在はまだ1回切りですが、
好きなようにはさみを使って制作をしています。