「4歳馬による降級制度廃止」~ | リゲイン総合研究所~競馬番組「表」なんて実在しない~

リゲイン総合研究所~競馬番組「表」なんて実在しない~

◆片岡勁太は実在しない「番組表」という虚像を読み解こうとするが我々は「競馬番組」の実体を解き析かす点で全く別物である。日本中央競馬会は、その名の下で施行される競馬番組の中で「何が勝っても構わないレース」の存在を許諾する事は皆無である。

 中央競馬の条件分けは新馬・未勝利からオープンまで5段階。勝てばクラスが上がるシンプルな方式だが、そんな従前(現行)のシステムの中に存在するのが「降級制度」である。
 以前は、3歳上条件戦について、3歳馬と4歳上馬について、例えば1600万以下条件戦だと、出走資格につき3歳1600万以下、4歳以上3000万以下という資格賞金で出走資格を制限してたものを、全世代について出走資格賞金条件を統一すべく、夏季競馬番組の稼働と同時に4歳馬の資格賞金を半減することで、一般にも解り易くする事に変更された。
 同一条件で、3歳夏から4歳春までの1年間、加算の無い(つまり未勝利の)4歳馬の出走資格を下げる事で、齢を重ねた馬に賞金獲得の機会を付与するもので、ある意味「馬主」保護の策であり、ある面では、早期昇級したい若駒には不利に働く。


 グレード制導入(1984年)以前には6段階のヒエラルキーが存在し、高齢馬の昇級を阻む事で、出走馬の確保の策にしていた。正確な年表は確認していないが、現行の5段階になったのは1988年あたりで、降級も1度切りとなった。
 3歳上条件戦に於いて、「降級馬が強い」というイメージは十分に一般にも浸透し、一種の馬券戦略のセオリーとして確立している。
 それが、来夏にはシステム自体が消失するのであるから、その波及は計り知れないし、従前のセオリーが通用しない場面が多くなる訳だ。そして、戦歴解析の理論も一部に於いて全く通用しないか、逆に起用性が反転するケースも多くなることも想定出来る。
 戦歴解析は、重賞に出走するフルオープン馬が対象が対象になるから影響は無いという意見もあろうが、どちらにしての通年「経過措置」という中途半端な中央競馬の中の話で、そこにグレード制導入以来、普遍で完璧な理論など存在し得ないのは、来夏どころか、ブラックタイプ以降の現行競馬の常識である。「経過措置」とは、選択肢の多様性を意味するから当然の話である。
 フルオープン馬であっても、その戦歴は、デビュー時から刻み続けており、誰かのようにオープン馬になってからの戦歴のみを対象とする簡易解析では当然、通用しない。
 その戦歴、例えば「加算歴」だけにスポットを当てると、どの「時期の加算」かは重要であり、ある馬は500万条件戦を複数加算し、またある馬は1000万条件戦を複数加算し、さらに馬齢エリート馬である馬などにとって1600万条件を加算するだけで、通年オープン馬の地位に戻れるケースもある。
 「降級廃止」の具体的な運用は知る由も無いが、重賞2着歴をどのように処理するかなど、様々な問題が突きつけられることになる。
 良いサンプルを探しているが、例えば9/15の準op「レインボーS」は中山芝20戦であったが、これを研究する事で、様々な事が理解出来るだろう。忘れてはいけないのは既に「秋季」である点に尽きる。

(レース簡説)
 このレースには、最後の降級によって1000万条件に落ちて、直ぐに昇級して初戦のアウトライアーズ(スプリングS2着歴)も昇級初戦の3歳3勝馬で推挙されたシャルドネゴールドも4勝馬レッドローゼスも出走した。しかし、このレースで1着加算を果たしたのは2歳エリート馬であった5歳馬ドレッドノータスであった。
最後の降級馬 1600万 66頭 1000万 134頭  500万 403頭