当該重賞が採用する「賞金別定」という規定が世界の趨勢からの見地では、不完全な事は再々申し上げた通りで、「ザ・JRA」な競馬番組である。という当研の度重なるフレーズは、もう聞き飽きたというムキもあるだろう。それは、主催者が、この部分に固執するから、数年に渡り、繰り返さざるを得ない当研の理解である。
春季、秋季に編成される(指定)として施行されるG1前哨戦は、OPを除き、総てが、所謂、グレード別定戦で施行され、そこに賞金で権利を争う不合理は「福島牝馬S」のみが持っている。その殆どが、サマーシリーズと関わる重賞である事は過去に述べた通りである。来週、開幕する「北海道シリーズ」の出鼻を彩る「函館SS」を初め、次々と繰り出される賞金別定戦は、どの時期に賞金加算したかが重要となる。
今年の特別登録馬は、出走可能18頭に対して16頭。つまり、出走意思のある総ての戦歴が出走可能である。増量馬は、競馬番組の期間が最も長い8歳馬マイネルミラノが唯一となった。
昨年戦を++58キロで出走した同馬は、その後、勝てずにここに再び登場したのだが、今年も増量権を持続し続けている。これが「賞金別定」の実態なのであり、そこに格式やステイタス性は存在しない。
もう2頭存在する8歳馬の内、バーディーイーグルは、2016年春季最終日施行の同場同距離の準op「むらさき賞」が最後の加算歴である。「日本ダービー」当日のこの準opを加算した事がステイタスにはなっていない。逆に同枠で12着に負けた逃馬マルターズアポジーの方が、次走からの3連勝で「福島記念」制覇まで辿り、翌夏も「関屋記念」をモノにした点で出世頭である。
それでも、これら2頭は、ここでは「前年戦出走馬」として、僅少だがある程度の集票を任された存在である。所謂、「穴」っぽい戦歴。
そして、残った1頭が、シャイニープリンスである。最後の加算は、2016年の「福島民報杯」で、ここでは、マイネルミラノにも、マイネルフロストにも影を踏ませなかった実績を持つ。
全馬について、細かく加算歴を解説するのも面倒なので、作表にしておくので、質問があれば(バグレポ含む)、コメント欄を利用されたい。
少し、説明を加えると、登録馬の中に存在するG3勝歴馬の内、賞別を加算したのが「東京新聞杯」のブラックスピネルが唯一で、その加算は4歳時で、半減分に含まれる。別段、賞別戦は賞別戦勝歴馬が有利などと偽証している訳ではないので誤解の無いように。
作表の半減時欄の賞金額は、その時点でのクラスを表すのは理解出来るだろう。つまり、スマートオーディンが、馬齢エリート馬の筆頭である事が解る。だが、同馬は昨年の「日本ダービー」から1年以上の長期休養での出走となり、その臨戦計画によっては、サマー2000シリーズ狙いのハンデ戦出走の為の、ここへの矛先とも採れるし、そんなローレベルな話ではなく、ここから、毎日王冠を経て「秋天」を目指すのかもしれない。実際のところは、ストロングタイタンと、池江泰寿調教師に聞いてほしい。