2歳エリート馬(2歳重賞加算馬若しくは3勝馬以上)が、明け3歳クラシックに参戦意思があるなら、それまでの「3歳重賞」や「オープン」などの賞金別定戦に出走する必要性は全く無い。
それでも出走するなら、それなりの理由がある訳だが、それなりの理由が起用の条件になる訳は無い。斤量経験値を競う事のある牡馬と異なり牝馬の場合は少し考えれば解る事である。
2歳非エリート馬、それはつまり2歳400万(1勝)馬、若しくは2歳900万(2勝)馬が、その殆どのエリアを占有するのだが、2歳時に既に秋季の500万条件戦を加算した馬は、明け3歳で同条件を平場でも特別でも出走資格を持っていないから、それらの出走枠はトライアルまでは別定戦に限られる。
[地]開放後のJRA競馬では3歳別定戦は、その総てが必ず(特し)なのが原則であるから、番組研究者は「(特し)(別定)」などという言葉は使わない。
敢えて使うのは、そこに条件戦(特し)(馬齢)が関わる時だが、3歳条件戦の総てが(特し)では無いから、その使い方は本質的には合理性に欠如するものである。
2歳非エリート馬は、3歳クラシックで活躍の場は無いのか?というと、そういう理不尽、非公正な競馬は日本の法体系下には存在しない。どの馬が勝っても構わない競馬も存在しないが、どの馬でも勝つチャンスがある。絶対に負ける馬は存在しない。というのが日本競馬の公営ギャンブルとしての基本原則である。
そんな2歳非エリート馬の仲間だったサトノダイヤモンドは、2歳時2戦目の平場条件戦が「エリカ賞」(有馬W馬連関連)である事は有名だが、結局、5大競走の優先出走権を3枚総てコンプリートして、「菊花賞」「有馬記念」を連勝した。
ヴィブロスはクラシックを諦めた非エリート馬で条件加算は夏季の古馬500万下平場戦のみで、それはライトファンタジア、リラヴァティと同じものだが、幸か不幸か、同馬の秋には「第1回紫苑S(格付は新設重賞では無い)」が存在し、そこで獲得した(優)を「第21回秋華賞」で機能させた。2着(優)だったのは、重賞トライアルに昇格した事で、加算を伴う(優)であったからで、逆に1着馬ビッシュは10着に惨敗し、同枠だったパールコードが2着する。しかし、今後、主役エリアが「紫苑」側に移る訳ではないのは、「第34回ローズS」勝歴で獲得した(優)を破棄して戦歴簿を閉じたオークス馬シンハライトの動向で解るだろう。
マカヒキとかシンハライトは、非エリート馬ではなく、2歳時1戦1勝で3歳条件戦をスルーし、3歳別定オープンに於いて無増量の立場で2勝目を加算しトライアル出走というルート馬である。
年度代表馬を極めたキタサンブラックは2歳エリート馬でも非エリート馬でも無い、その馬齢斤量歴に不足がある3歳デビュー馬だが、同一開催2勝(1回東京)を果たし、その2戦目が従前の「セントポーリア賞」を平場戦で媒介した単発戦で翌2016年は新設「フリージア賞」に引き継がれ1着したマイネルハニーは次走で獲得した「皐月賞」の(優)を破棄。2着馬は「菊花賞」への出走を果たしたジュンバルカンは、春天での上がり馬組に入るかもしれない。
ちなみに今年も「フリージア賞」は既催で1着馬トリコロールブルーの次走が気になる。