単勝1番人気馬の勝率は今も昔も劇的な変動は無く33.3%程度が保証される。確かに単勝オッズ1.4倍以下という超人気馬が持つ勝率は6割を超えるし、それを含む2.0倍以下のキャラクタも5割弱の勝率を維持するのがJRA競馬である。
そして、これらの統制は、JRAピラミッドの頂点、つまりグレード1であっても、そのボトムに位置して最大のボリュームで施行される未勝利クラスであっても年間を通じてイレギュラーを生むことは無い。
これらの事は過去に何度と無く言及し、単勝2番人気馬の勝率が単勝1番人気馬の勝率を超えることなく結果構築されるのがギャンブルとしてのJRA競馬成立の条件であるとして来た。
1年間の競馬サイクルの中で現在35レース編成されている平地G1競走に於いて、時に人気馬が惨敗する事がある。2着連対でも5着惜敗でもなく10着以下の惨敗劇が競馬ファンの溜息と共に展開される。それらは「勝率」サイドから見ると総て、勝率外に算入される出来事であるから、要するに66.6%の出現率の中に含まれる出来事だが、日常では無い。
日常では無いが、そう言う出来事もランダムに起こっている訳ではなく主催者の意匠が込められて結果構築されているのである。時には、同枠馬が激走して「代用枠」が成立することもあるだろうし、単独枠で惨敗しているキャラクタもいるだろう。
G1競走での上位人気馬の惨敗というと最近では、2009年「第69回皐月賞」での101ロジユニヴァース(1番人気1.7倍)、818リーチザクラウン(2番人気)が揃って14着、13着に惨敗したが記憶に新しいが、これら2頭は多くの競馬ファンの期待通りに次走の「東京優駿(第76回日本ダービー)」でリベンジを果たしたので、戦歴研究者や番組研究者からもこの年度の最後のJpn表記「皐月賞」の宣言や表現について考察されたものは、あまり目にしない。しかし、この「日本ダービー」でも「皐月賞馬」が単勝1番人気で12着惨敗することで表現者となっているのである。
同じ事が今年の「第143回天皇賞・春」でも起こった事実についても誰も言及しないのも不思議だが、単勝1番人気のローズキングダムが11着、同2番人気トゥザグローリーが13着した今年の「春天」はこの2頭を利して何を表現し、稼動宣言したのか?
とかく、中ったのか中ってないのかの真実は解らないが「完全的中」という常套句が乱れ飛ぶ空間では、覇者が覇者となった簡素な理由だけを我田引水に取り繕って論じ、負けた人気馬が負けるべくして負けたのだと、根拠らしきものも述べずに、事前に見透かしたが如き珍妙な理論展開が多く存在するのは、この世界の陳腐化を加速するものである。