部屋にはたくさんの本があって、
サイズが合わなかったり流行じゃなくなったりして着られなくなった服があって、
昔買った物や最近買ったCDやDVDがあって、とにかく物が溢れている。
生きているとどうしても荷物は増える。
引っ越しをするかもしれなくて荷物を片付け始めた。
まずは3つある本棚をせめて2つにしようと、1つ分の本棚に入っていた本を売ることにした。
あっさりと「要らない」と言える物もあれば、どうしようと悩む物もある。
そして悩む物を捨てようと思ったとき、大抵他の本も捨てることに心が決まってしまう。
自分の中で順位というかライン引きがされていることにその時気が付く。
でもライン引きがされていても難しいときもある。
明らかに要らないのに友人から貰ったお土産なんかはどうしても捨てづらい。
目の前で使ったためしなんかないし、渡した本人も忘れていると思うのだけれど、どうしてもためらってしまう。
意外と最近貰ったのもよりも、もうなかなか会えない昔の友人に貰った物ほどそう思ってしまう傾向にある。
何かを捨てるときは自分の心も整理しているのだなぁと、つくづく思う。
本当はなんにも要らないんじゃないのかなぁ…と考えるときがある。
あれも要らない、これも要らないと勇気を出して捨てていって、
どんどんどんどん自分の大事だった物のラインを下げていったら、最後に何が残るのか見てみたい気もする。
何もなくなってしまえばいいのに、とも思う。
小さな鞄一つでどこでも身軽に行ける生活というのにもどこかで憧れている。
もちろんそんなわけにはなかなか行かないのが現実だけれど。
大事な物を数えてみようと思ったら、すぐには思い浮かばなくて。
自分に絶対必要な物も、やっぱり思いつかなくて。
だったら何も要らないんじゃないかと思うのだけれど、捨てるのには勇気と気力が必要で。
すでに埃がかぶりつつある仕分け済みの本の山を眺めながら、
今度こそ古本屋に電話をして引き取りに来て貰わなくてはと、
ホット梅酒を舐めながら溜息が漏れてしまう週末の夜。