Сцена 10. У Нади. ナーヂャのところで
寒さしのぎなのか、酔い覚ましなのか、飛び回って、
部屋では、
Ипполит:・・・ Я сегодня в последний вечер старого года намерен поставить вопрос ребром. Мне кажется, что нам всё-таки пора покончить с нашим холостым положением. Как ты на это смотришь?
Надя: Я смотрю на это с удовольствием!
イポリート:ゆく年の大晦日の今日、僕は単刀直入に聞きたい。僕たちはもう独身生活を終わらせる時だと思うが、君はどうだろう?
ナーヂャ:私もそう思うわ!
イポリートのプロポーズに大喜びのナーヂャ。
ジェーニャがガーリャに言ったプロポーズ
「Я люблю тебя. Хочу, чтоб ты стала моей женой.
君を愛してる。僕の妻になって欲しい」とはずいぶん違って、おごそかです。
поставить вопрос ребром 単刀直入に尋ねる・言う。
イディオムが使えるようになるのは、本当に上達してからですが、「何となく覚えておく」のも大切ですね。
というのも、諺や成句を使うのが好きな方も多く、
「поставить вопрос ребром」などと言われたら、
「エッ、ребро肋骨、って、骨折の話し⁇」と、頭が真っ白になってしまう危険性が。
プロポーズという大切な時に、またしても
Ипполит: Что вам опять нужно?
Женя: Понимаете, какое дело... У меня в этом городе, кроме вас, никого нет. И денег тоже ни копейки, как оказалось. А билет без денег не дадут. Вы не могли бы мне одолжить рублей 15-16? ・・・
イポリート:また何が必要なんだい?
ジェーニャ:あの、実は、この町にはあなた以外に誰もいないんです。お金も、1カペイカもないことが分かりました。お金がないと切符を貰えません。15か16ルーブルを貸していただけませんか?
Вы не могли бы мне одолжить рублей 15-16?
ロシア語動詞は完了体と不完了体でちょっと面倒ですが、
その代わり、「仮定法」や「完了時制」などは、本当に単純化されています。
仮定の助詞бы+動詞過去形の文では、「時制は区別されません」
希望・願望・要請・命令などの「要求」はまだ実現されていないので、「仮定法文」になります。
ジェーニャのプロポーズの言葉
Хочу, чтоб ты стала моей женой.
(чтоб = чтобы = что+бы)も同じですね。
Вы не могли бы 依頼するときの最も丁寧な言い方で、「・・て、いただけませんか?」
Одолжить貸す、は日常会話ではほとんど使われません。
言葉がキッチリ区別される日本語と違って「貸し借り、あげもらい」はどちらともとれる
дать, взятьが使われることが多いので、状況判断が必要です。
これも、国民性の違いが出ていて、面白いですね。
昔、アネクドートの話しになって、わたしは「花見酒」を話したんですが・・・、
ヘタなロシア語のせいもあり全然受けなくて。
「日本人は、昔から経済に強かったんだ!?」と、しらけた言葉が返って来たのも驚きでした。
部屋に入れずに、イポリートが詰問です。
Женя: ・・・ Понимаете, у нас традиция: каждый год 31 декабря мы с друзьями ходим в баню. Моемся... А Павлик, он должен был лететь в Ленинград после бани. А я должен был сегодня жениться.
Ипполит: На ком?
ジェーニャ:・・・つまりですね、僕たちは毎年12月31日に友人とバーニャに行く習慣があるんですよ。洗って。パーヴリクはバーニャの後にレニングラードに飛ばなければならなかった。そして僕は今日結婚するはずだった。
イポリート:誰と?
コメディの定番「同じ言葉の繰り返し」です。
未だ疑わし気なイポリートに、もう一度「バーニャに行って」から説明を始めます。
На ком?
「結婚する」は男女で言い方が違い、おまけに要求される格も違うので時々混乱、
ここで覚えてしまいましょう!
Он женился на Гале. 彼はガーリャと結婚した
(жениться на ком)
Она вышла замуж за Жени. 彼女はジェーニャと結婚した。
(выйти замуж за кого)
Я женат.(男性・既婚者です) Я замужем. (女性・既婚者です)
皆の大好きなフレーズ!
Ипполит: Вы алкоголик?
Женя: Нет! Нет, понимаете, я вообще не пью. Я пью только чай, кофе, ну, там, кефир, разное, напиток «Байкал», воду...
イポリート:君はアル中か?
ジェーニャ:いーや、違うよ、僕はいつもは飲まない。 飲むのは、お茶、コーヒー、そしてケフィールルとかいろいろ、「バイカル」や水も・・・
«Байкал» 1969年から売られ始めたソ連版コーラ。
私は飲んだことはありませんが、まだ売られているようなのでいつか試してみます。
要領を得ない話しにイポリートはイライラがつのり、どもり始めています
Заикаться(不)どもる заиканиеどもること заикаどもる人
これも、好まれているフレーズ。
Ипполит: Но, как вышли оттуда, вы должны были помнить?!
Женя: Да! Да, помнить должен... Но я не помню.・・・
イポリート:降りたことは覚えてなくてはな、
ジェーニャ:ええ! ええ、覚えていなくてはならないけど、でも、覚えてない。
お金を借りることができて大喜びのジェーニャ、
Женя: Не сердитесь! Я просто должен вас напоследок расцеловать. Позвольте, я вас?...
Ипполит: Подождали бы хоть, пока я уйду.
Надя: Ипполит, подожди!
Женя: Вы меня опять в ящик сыграли!...
Ипполит: Не делайте из меня идиота!
ジェーニャ:怒らないで! 最後にキスをさせて。いいですね、あなたに?
イポリート:せめて俺が行ってしまうまで待て。
ナーヂャ:イポリート、待って!
ジェーニャ:君はまた死ねというのか!
イポリート:俺をバカにするな!
Целовать(不)поцеловать(完)キスする
でもここは、何回もキスする、の意味の расцеловать(完)
ジェーニャはロシア式に3回のキスをしたいのでしょう。
сыграть в ящик口語で、「くたばる、死ぬ」。玄関前には大きな空き箱があり、
その中にへたり込んでしまうので、箱ящикとイディオムを掛けています。
хоть、хотяの口語形、хоть бы 譲歩、「とはいえ、だけど」
Пока ‐ 事柄の時間的な関係をあらわします。
Не делайте из меня идиота!
Делать кого-что кем-коме、・・を・・にする、と言う慣用句ですが
封切り当時の観客には受けたそう。
というのもイポリート役のヤーコヴレフは1958年に映画«Идиот»(白痴)で、ムイシュキン公爵Князь Мышкинを演じて名声を得たからです。
「今はイポリートで、ムイシュキンではないよ」と、受け取れて、笑いを誘ったとのことです。
これまでに見た映画