プロポーズの言葉〈運命の皮肉、Ирония судьбы, シーン10〉 | 映画でロシアとロシア語

映画でロシアとロシア語

ソ連・ロシアの映画を選んで、詳しく説明します。
言葉を学び、ロシアを実感しましょう。

Сцена 10.  У Нади. ナーヂャのところで

 

                   寒さしのぎなのか、酔い覚ましなのか、飛び回って、

 

          部屋では、

 

 

Ипполит:・・・ Я сегодня в последний вечер старого года намерен поставить вопрос ребром. Мне кажется, что нам всё-таки пора покончить с нашим холостым положением. Как ты на это смотришь?

Надя: Я смотрю на это с удовольствием!

 

イポリート:ゆく年の大晦日の今日、僕は単刀直入に聞きたい。僕たちはもう独身生活を終わらせる時だと思うが、君はどうだろう?

ナーヂャ:私もそう思うわ!

 

 イポリートのプロポーズに大喜びのナーヂャ。

 

ジェーニャがガーリャに言ったプロポーズ

「Я люблю тебя. Хочу, чтоб ты стала моей женой.

 君を愛してる。僕の妻になって欲しい」とはずいぶん違って、おごそかです。

 

поставить вопрос ребром 単刀直入に尋ねる・言う。

 

イディオムが使えるようになるのは、本当に上達してからですが、「何となく覚えておく」のも大切ですね。

というのも、諺や成句を使うのが好きな方も多く、

поставить вопрос ребром」などと言われたら、

「エッ、ребро肋骨、って、骨折の話し⁇」と、頭が真っ白になってしまう危険性が。

 

 

          プロポーズという大切な時に、またしても

 

Ипполит: Что вам опять нужно?

Женя: Понимаете, какое дело... У меня в этом городе, кроме вас, никого нет. И денег тоже ни копейки, как оказалось. А билет без денег не дадут. Вы не могли бы мне одолжить рублей 15-16? ・・・ 

 

イポリート:また何が必要なんだい?

ジェーニャ:あの、実は、この町にはあなた以外に誰もいないんです。お金も、1カペイカもないことが分かりました。お金がないと切符を貰えません。15か16ルーブルを貸していただけませんか?

 

Вы не могли бы мне одолжить рублей 15-16?

 

ロシア語動詞は完了体と不完了体でちょっと面倒ですが、

その代わり、「仮定法」や「完了時制」などは、本当に単純化されています。

 

仮定の助詞бы+動詞過去形の文では、「時制は区別されません

 

希望・願望・要請・命令などの「要求」はまだ実現されていないので、「仮定法文」になります。

 

ジェーニャのプロポーズの言葉 

Хочу, чтоб ты стала моей женой. 

(чтоб = чтобы = что+бы)も同じですね。

 

Вы не могли бы 依頼するときの最も丁寧な言い方で、「・・て、いただけませんか?」

 

Одолжить貸す、は日常会話ではほとんど使われません。

 

言葉がキッチリ区別される日本語と違って「貸し借り、あげもらい」はどちらともとれる

дать, взятьが使われることが多いので、状況判断が必要です。

これも、国民性の違いが出ていて、面白いですね。

 

昔、アネクドートの話しになって、わたしは「花見酒」を話したんですが・・・、

ヘタなロシア語のせいもあり全然受けなくて。

日本人は、昔から経済に強かったんだ!?」と、しらけた言葉が返って来たのも驚きでした。

 

 

 

          部屋に入れずに、イポリートが詰問です。

 

Женя: ・・・ Понимаете, у нас традиция: каждый год 31 декабря мы с друзьями ходим в баню. Моемся... А Павлик, он должен был лететь в Ленинград после бани. А я должен был сегодня жениться.

Ипполит: На ком?

 

ジェーニャ:・・・つまりですね、僕たちは毎年12月31日に友人とバーニャに行く習慣があるんですよ。洗って。パーヴリクはバーニャの後にレニングラードに飛ばなければならなかった。そして僕は今日結婚するはずだった。

イポリート:誰と?

 

コメディの定番「同じ言葉の繰り返し」です。

 

未だ疑わし気なイポリートに、もう一度「バーニャに行って」から説明を始めます。

 

На ком?

「結婚する」は男女で言い方が違い、おまけに要求される格も違うので時々混乱、

ここで覚えてしまいましょう!

 

Он женился на Гале. 彼はガーリャと結婚した 

(жениться на ком)

Она вышла замуж за Жени. 彼女はジェーニャと結婚した。

(выйти замуж за кого)

Я женат.(男性・既婚者です) Я замужем. (女性・既婚者です)

 

 

 

           皆の大好きなフレーズ!

 

Ипполит: Вы алкоголик?

Женя: Нет! Нет, понимаете, я вообще не пью. Я пью только чай, кофе, ну, там, кефир, разное, напиток «Байкал», воду...

 

イポリート:君はアル中か?

ジェーニャ:いーや、違うよ、僕はいつもは飲まない。 飲むのは、お茶、コーヒー、そしてケフィールルとかいろいろ、「バイカル」や水も・・・

 

«Байкал» 1969年から売られ始めたソ連版コーラ。

私は飲んだことはありませんが、まだ売られているようなのでいつか試してみます。

 

 

要領を得ない話しにイポリートはイライラがつのり、どもり始めています

Заикаться(不)どもる заиканиеどもること заикаどもる人

 

 

 

 これも、好まれているフレーズ。

 

Ипполит: Но, как вышли оттуда, вы должны были помнить?!

Женя: Да! Да, помнить должен... Но я не помню.・・・

 

イポリート:降りたことは覚えてなくてはな、

ジェーニャ:ええ! ええ、覚えていなくてはならないけど、でも、覚えてない。

 

 

          お金を借りることができて大喜びのジェーニャ、

 

 

Женя: Не сердитесь! Я просто должен вас напоследок расцеловать. Позвольте, я вас?...

Ипполит: Подождали бы хоть, пока я уйду.

Надя: Ипполит, подожди!

Женя: Вы меня опять в ящик сыграли!...

Ипполит: Не делайте из меня идиота!

 

ジェーニャ:怒らないで! 最後にキスをさせて。いいですね、あなたに?

イポリート:せめて俺が行ってしまうまで待て。

ナーヂャ:イポリート、待って!

ジェーニャ:君はまた死ねというのか!

イポリート:俺をバカにするな!

 

Целовать(不)поцеловать(完)キスする

でもここは、何回もキスする、の意味の расцеловать(完)

 ジェーニャはロシア式に3回のキスをしたいのでしょう。

 

сыграть в ящик口語で、「くたばる、死ぬ」。玄関前には大きな空き箱があり、

その中にへたり込んでしまうので、箱ящикとイディオムを掛けています

 

 

хоть、хотяの口語形、хоть бы 譲歩、「とはいえ、だけど」

Пока ‐ 事柄の時間的な関係をあらわします。

 

 

 

Не делайте из меня идиота!

Делать кого-что кем-коме、・・を・・にする、と言う慣用句ですが

封切り当時の観客には受けたそう。

 

というのもイポリート役のヤーコヴレフは1958年に映画«Идиот»(白痴)で、ムイシュキン公爵Князь Мышкинを演じて名声を得たからです。

「今はイポリートで、ムイシュキンではないよ」と、受け取れて、笑いを誘ったとのことです。

 

 

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