その店の中はコンクリートの殺風景な床に、簡単な木製のテーブルと粗末な椅子がそれなりに置いてあり、あまりさえない顔をした中年の痩せた男性が、前掛けをかけ、それらしい風体をして座っていた。
ジロリと客の品定めをするように眼を向けた。
「いらっしゃい」と言葉をかけはしたが笑顔はない。
此方の方がドギマギして口ごもりながらといかけた。
「あのう、表の張り紙に書いてあるのを見て入ってきたのですが・・・・・・」
「あー、ところてんの食べ放題で10杯以上食べればただにするよ。食べたいのかね。」
「食べられなければお金を払うことになりますね?」
「それは、当たり前でしょう。」
「おいくらですか?」
「10円ですよ。」
その頃の10円はまだ大金で外食券食堂では一食分は食べられる位の額だった。
「どうしよう。」と気持ちがぐらついた。