それまで山から町の方へ吹きつのっていた強風が、突然ピッタリと止んでしまったと感じた次の瞬間、風の向きが変わったのだ。
今まで北西だったのが、南東の烈風となりその方角では、公園は崖のように崩れてすぐ下には川幅が広く、浜名湖に注ぐ井伊ノ谷川が流れている。
火はその方向に向かい川岸までの草木を燃やしつくして果てたのだ。
これで町の家並は救われた。
奇跡としか思はれない事がおきたのであった。
後日、町の人々は、「忠魂碑に祀られていた日露戦争の戦死者の魂が、この町を救ってくれたに違いない」
と口ぐちに語り合った。
勿論、僕の新築した小屋も、無事に残り次に向けての新しい生活が始まった。