トスカーナで愛される豚チンタ・セネーゼ
先日ICCJイタリア商工会議所主催「アートに見る!幻の黒豚『チンタ・セネーゼ』」を見ました。
チンタ・セネーゼは白い襟巻き模様のある黒豚で、トスカーナ州シエナが産地です。
イタリアでは高級な豚肉として知られています。
以前ミシュラン一つ星La Leggenda dei Fratiで食事した時にいただきました。
こんなに分厚くて美味しい豚肉料理は初めてかも❤️
キャンティ・ワインにもよく合いました🍷
チンタ・セネーゼは古来より愛されています。
これはシエナ市庁舎にある「良い政治の寓意」の一部。
右下に白い襟巻きをした黒豚ちゃんを飼育している人物が描かれています。
ブタさんと聖人の関係
ダビデ像で知られるフィレンツェのアカデミア美術館ですが、2階は中世ゴシックの絵の豊富なコレクションが並びます。
人も少なくて、ゴシック好きとしては天国なスペース✨😍
その中でもお気に入りがこちらロレンツォ・モナコ作「受胎告知」です。
ロレンツォ・モナコは日本でも人気の高いフラ・アンジェリコの師匠と言われています。
色彩の豊かさや優しい顔立ちはフラ・アンジェリコに引き継がれています。
中央に描かれているのが受胎告知。天使が聖母マリアにキリストを身籠ることを伝えるシーンです。
その両脇には左右4人の人物が描かれています。
中世〜ルネサンス初期にかけてはこのように、中央の聖母マリアやキリストを取り囲むように聖人たちが描かれています。
今回は左から2人目の人物を取り上げます。
この人は大アントニウスといって修道生活の創始者として知られています。
いわば最初の修道士です。
なぜ大アントニウスとわかるか…実は聖人は全てアトリビュートと呼ばれる持ち物で特定されます。
ここでは足元にいる小さなブタさんが目印です。
大アントニウスは皮膚病の治療をしたと言われています。
皮膚病の軟膏に豚の脂を使ったことから豚がアトリビュートとなりました。
病院として機能していた教会や修道院には大アントニウスの名前がついていたり、大アントニウスが祀られていたりします。
グリューネヴァルトの生々しい描写が有名な「イーゼンハイム祭壇画」にも大アントニウスが描かれています。(右端が大アントニウス)
聖人たちとアトリビュートを解説します!
5/29 16:00〜 アトリビュートで読み解く!「聖人たちの物語」