フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子 in 東京 -6ページ目

フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子 in 東京

フィレンツェ観光ガイドの資格を2016年に取得しました。
現在は都内で美術の鑑賞の仕方を教えています。
詳しくはホームページから。
http://mariko-no-heya.com/

トスカーナで愛される豚チンタ・セネーゼ

 

先日ICCJイタリア商工会議所主催「アートに見る!幻の黒豚『チンタ・セネーゼ』」を見ました。

チンタ・セネーゼは白い襟巻き模様のある黒豚で、トスカーナ州シエナが産地です。

 

 

イタリアでは高級な豚肉として知られています。

以前ミシュラン一つ星La Leggenda dei Fratiで食事した時にいただきました。

こんなに分厚くて美味しい豚肉料理は初めてかも❤️

キャンティ・ワインにもよく合いました🍷

 

チンタ・セネーゼは古来より愛されています。

これはシエナ市庁舎にある「良い政治の寓意」の一部。

アンブロージョ・ロレンゼッティ「良い政治と悪い政治」より

 

右下に白い襟巻きをした黒豚ちゃんを飼育している人物が描かれています。

 

ブタさんと聖人の関係

ダビデ像で知られるフィレンツェのアカデミア美術館ですが、2階は中世ゴシックの絵の豊富なコレクションが並びます。

人も少なくて、ゴシック好きとしては天国なスペース✨😍

 

その中でもお気に入りがこちらロレンツォ・モナコ作「受胎告知」です。

 

ロレンツォ・モナコは日本でも人気の高いフラ・アンジェリコの師匠と言われています。

色彩の豊かさや優しい顔立ちはフラ・アンジェリコに引き継がれています。

 

中央に描かれているのが受胎告知。天使が聖母マリアにキリストを身籠ることを伝えるシーンです。

その両脇には左右4人の人物が描かれています。

中世〜ルネサンス初期にかけてはこのように、中央の聖母マリアやキリストを取り囲むように聖人たちが描かれています。

 

今回は左から2人目の人物を取り上げます。

 

この人は大アントニウスといって修道生活の創始者として知られています。

いわば最初の修道士です。

 

なぜ大アントニウスとわかるか…実は聖人は全てアトリビュートと呼ばれる持ち物で特定されます。

ここでは足元にいる小さなブタさんが目印です。

 

 

大アントニウスは皮膚病の治療をしたと言われています。

皮膚病の軟膏に豚の脂を使ったことから豚がアトリビュートとなりました。

 

病院として機能していた教会や修道院には大アントニウスの名前がついていたり、大アントニウスが祀られていたりします。

グリューネヴァルトの生々しい描写が有名な「イーゼンハイム祭壇画」にも大アントニウスが描かれています。(右端が大アントニウス)

 

 

聖人たちとアトリビュートを解説します!

今回取り上げた大アントニウスも登場する講座を開きます!
一緒に聖人たちのアトリビュートを読み解きませんか?

 

5/29 16:00〜 アトリビュートで読み解く!「聖人たちの物語」

 

 

西洋絵画を扱う美術展や、海外の美術館に行くとたくさんの人物が出てくるのに驚きませんか?

西洋美術で扱う題材は主にキリスト教とギリシャ神話です。

今回はその中でもキリスト教画に登場する「聖人」たちを取り上げます。

 

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5月もあともう少し。今年の日本は少し梅雨入りが早いですが、例年であれば一番爽やかな季節。

そして花も咲き乱れる季節です。

そんなお花の季節にぴったりなイタリアのお祭りを紹介します。

(写真は2016年に撮影したものです。)

 

 

インフィオラータの街スペッロ

フィレンツェから南に約2時間、ウンブリア州スペッロ。

この小さな街に年に1度人が大勢訪れます。

 

カトリックのお祭りである聖体の祝日に花で宗教画を描くインフィオラータという行事が行われるのです。

 

何やらみんな集まっているので近くまで寄ってみると…

 

 

花びらをちぎって絵の準備をしていました。

老若男女、街総出で参加しています。

 

ちぎった花びらは色毎にこんな風に分けられます。

 

こちらでは小さいバージョンをお店の前で飾っていました。

 

花びらで描く作業が始まるのは夕方ごろから。ということで街を少し散策してみました。

 

 

ルネサンス名画家ピントゥリッキオのフレスコ画

この街にはルネサンスの隠れた名画家ピントゥリッキオのフレスコ画があります。

この人の作品はどれも神聖な気持ちになりますが、受胎告知は特に心洗われます。

 

こちらはキリスト生誕。

ガイド仲間と一緒に行ったのですが、その中の1人がウンブリア州のガイドも兼務しているので詳しい説明を聞けました。

 

小さな教会で日光が緑に輝いて綺麗。

 

さて夕暮れになると実際の絵の制作が始まります。

 

 

花びらで描く絵画

夕方になると白い紙の上に人が座り込んでいます。
紙の上に描いたデッサンを元に花びらを敷いていきます。

 

これ、次の日の朝のお祭りに向けての作業。

花びらは1日で萎れてしまうので夕方から徹夜で作業が行われるそうです。

 

子供たちも楽しそうに作っています。

 

朝になると車が押し寄せて帰れなくなるから、ということで夜20時ごろに街を後にしました。

残念ながら完成図は見ることはできなかったのですが、出来上がりはきっとこんな様子。

 

去年2020年と今年はコロナの影響で開催されなかったそうです😢

またこの美しいお祭りが楽しめる日が早く来て欲しいですね。

 

 

 

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今日は母の日ですね。

母の日といえばカーネーション。

 

 

西洋美術にもカーネーションが登場します。

特に北ヨーロッパの作品によく登場します。

有名どころはこちら。メトロポリタン美術館にある「ユニコーン狩り」から1枚。

 

ユニコーンが捕われている柵の手前に咲いている赤い花がカーネーションです。

ユニコーンは図像学上色々な意味がありますが、その一つにキリストを表すというものがあります。

カーネーションは赤い色から血を意味し、キリストの犠牲を表すようになりました。

この作品は二重の意味がかけられていますが、その一つがキリストの犠牲です。

ユニコーンとカーネーションでそれを表しています。

 

 

ベルリン絵画館にはこんな作品も。

薔薇の生垣に囲まれたマリア様も北ヨーロッパの伝統的な図像ですが、よく見ると右の女性(聖女)がキリストにカーネーションを渡しています。

これもキリストの犠牲を暗示しています。

キリストは赤ちゃんでも犠牲を暗示する図像が描かれているのが、国を問わず宗教画の伝統です。

 

 

カーネーションの語源の一つに「肉」「肉体」という意味が含まれます。

輪廻転生は英語で reincarnation 。「再び」の "re" に「受肉」を表す "incarnation" 。

この作品は1500年頃にイタリアで描かれた「キリストの受肉」。

英語では Incarnation of Christ とあって、最初はキリストが描かれているのかと思いましたが描かれているのはマリア様です。

 

キリスト教ではマリア様が神様の力によって懐妊されたと考えています。

これを「無原罪の御宿り」といいますが、神の神秘的な力をどう図像学で表すかについて教会も芸術家も心を砕きました。

17世紀に入って一つの型ができましたが、そこに至る過程で生まれた作品です。

 

 

カーネーションは色によって色々な花言葉があるようですね。

 

送る際にぜひ伝統的な図像学と現代の花言葉を合わせて選んでみてはいかがでしょうか?

 

 

 

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5/3にボッティチェリ「プリマヴェーラ」の色々な見方を解説した。

 

 

 

 

ボッティチェリは一番好きな画家。この人が好きで、中でも大好きな「プリマヴェーラ」を見たいと思ってイタリアに留学した。

ボッティチェリ

 

フィレンツェで生まれ生涯のほぼ全部をフィレンツェで過ごしたボッティチェリ。

生まれ育った区域に近いオンニサンティ教会に眠る。

この前にはボッティチェリ永遠のミューズ、シモネッタ・ヴェスプッチが眠るといわれている。

死んでも一緒にいたかったのかな。

 

ボッティチェリが描いたフレスコ画も見ることができる。

聖アウグスティヌスという聖人が神からの啓示を受けて改心する様子が描かれる。

その後研究を重ねてキリスト教の教父として崇められる。

 

ボッティチェリがこの人を描いたのには大きな裏の意味がある。

アウグスティヌスは新プラトン主義をキリスト教に取り込んだ。

ルネサンス当時のフィレンツェでは新プラトン主義が流行。

ギリシャ哲学に基づく考えはキリスト教一辺倒だったイタリアに大きな改革をもたらした。

ボッティチェリが描いたギリシャ神話に基づく作品も、新プラトン主義に大きな影響を受けていると考えられている。

 

 

新プラトン主義から発展したルネサンスがもたらしたもう一つの産物が科学。

科学が進み、新しい考えに基づいて航海を進めたコロンブスによって新大陸が発見される。

そして新大陸を探検したのがアメリゴ・ヴェスプッチ。シモネッタの遠い親戚だ。

探検したアメリゴにちなんで新大陸は「アメリカ」と名付けられた。

 

オンニサンティ教会はヴェスプッチ家の菩提寺。

ヴェスプッチ家に因んだ作品が多く奉納された。

この作品のマリア様のすぐ横にいるのがアメリゴと言われている。

 

 

 

美術だけでない世界史に想いを馳せることができるオンニサンティ教会。

有名な観光地に飽きた時に静かに訪れたい教会だ。

 

 

ボッティチェリを解説します!

今月はボッティチェリの命日!ということでボッティチェリ特集 第2段を開催します。

5/29 11:00〜 美術で学ぶ英会話☆海外美術館のキャプションを読もう!

ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」

 

 

ヴィーナスの誕生はボッティチェリを代表する作品です。

ウフィッツィ美術館の名品中の名品、貝に乗ったヴィーナスを描いた作品です。
どうしてこれはヴィーナスの「誕生」なのでしょう?
ギリシャ神話、ルネサンス時代背景を合わせて読んでいきたいと思います。

 

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