今日は母の日ですね。
母の日といえばカーネーション。
西洋美術にもカーネーションが登場します。
特に北ヨーロッパの作品によく登場します。
有名どころはこちら。メトロポリタン美術館にある「ユニコーン狩り」から1枚。
ユニコーンが捕われている柵の手前に咲いている赤い花がカーネーションです。
ユニコーンは図像学上色々な意味がありますが、その一つにキリストを表すというものがあります。
カーネーションは赤い色から血を意味し、キリストの犠牲を表すようになりました。
この作品は二重の意味がかけられていますが、その一つがキリストの犠牲です。
ユニコーンとカーネーションでそれを表しています。
ベルリン絵画館にはこんな作品も。
薔薇の生垣に囲まれたマリア様も北ヨーロッパの伝統的な図像ですが、よく見ると右の女性(聖女)がキリストにカーネーションを渡しています。
これもキリストの犠牲を暗示しています。
キリストは赤ちゃんでも犠牲を暗示する図像が描かれているのが、国を問わず宗教画の伝統です。
カーネーションの語源の一つに「肉」「肉体」という意味が含まれます。
輪廻転生は英語で reincarnation 。「再び」の "re" に「受肉」を表す "incarnation" 。
この作品は1500年頃にイタリアで描かれた「キリストの受肉」。
英語では Incarnation of Christ とあって、最初はキリストが描かれているのかと思いましたが描かれているのはマリア様です。
キリスト教ではマリア様が神様の力によって懐妊されたと考えています。
これを「無原罪の御宿り」といいますが、神の神秘的な力をどう図像学で表すかについて教会も芸術家も心を砕きました。
17世紀に入って一つの型ができましたが、そこに至る過程で生まれた作品です。
カーネーションは色によって色々な花言葉があるようですね。
送る際にぜひ伝統的な図像学と現代の花言葉を合わせて選んでみてはいかがでしょうか?
最新情報とお問い合わせはLine@から
海外旅行がままならない今、
日本にいながらヨーロッパ本場の美術作品を堪能しませんか?
加藤まり子の西洋美術史講座
今月の予定(クリックでお申し込みページに飛びます)
講座サンプルはこちらからご視聴ください