タダで巡るフィレンツェ観光 Part 7☆セピアの素描で描いた「スカルツォの回廊」デル・サルト編 | フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子 in 東京

フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子 in 東京

フィレンツェ観光ガイドの資格を2016年に取得しました。
現在は都内で美術の鑑賞の仕方を教えています。
詳しくはホームページから。
http://mariko-no-heya.com/

Buon giorno♪

 

 

ウフィツィやアカデミとアフィレンツェには有名な美術館がたくさんあります。

でもあまり知られていないけど名品を鑑賞できる美術館もあるんです。

今日はその中の「スカルツォの回廊」を紹介します。

 
 
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フラ・アンジェリコで有名なサン・マルコ寺院。
 
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この教会をもう少し北に行くと見過ごしてしまいそうな小さな入り口があります。
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スカルツォの回廊と呼ばれるこのスペースにはルネサンスの画家、アンドレア・デル・サルトの素描の壁画が残っています。
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洗礼者ヨハネを祭った修道院の回廊として建てられたこちら。
壁画では洗礼者ヨハネの人生が綴られています。
 
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(洗礼者ヨハネの人生については後編でお届けします。)
 
 
 
 
 
こちらが画家のデル・サルトの胸像。入り口の上に飾られています。image
 
 
 
 
 
左に「信仰」の擬人像として描かれているのが彼のつれない奥さんルクレツィアです。
死後デル・サルトが待ち望んだであろうツーショット♡
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デル・サルトとルクレツィアの恋についてはこちらをご参照ください。
 
 
 
 
 
日本では知名度が低いデル・サルト。ラファエロと同時期の画家です。
イタリアでは「失敗のない (senza errori)」画家として知られています。
 
 
 
 
1500年代前半はローマのサン・ピエトロ大寺院の再建で、イタリア中の芸術家たちがローマに集結します。
そんな中で彼はフィレンツェの伝統を守り続けました。
 
 
 
彼の最高傑作と呼ばれるのがこちらの「ハルピュイアの聖母」
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ウフィツィに収められています。
 
 
 
彼の作品には独特の「甘さ」と「妖しさ」を感じます。
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柔らかくて可愛いけど、どこか妖しい雰囲気を漂わせる天使たち。
(指が入ってしまいましたm(_ _)m)
 
 
 
 
「ハルピュイアの聖母」も足元がこんな感じ。
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この怪しい生き物がいることから「ハルピュイア」と呼ばれるそうです。
(実際はヨハネの黙示録に出てくるイナゴ)
 
 
 
 
 
 
ダヴィンチのスフマート技法もしっかり取り入れられています。
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ちょうど彼の活躍した1500年代前半は「グロテスク」という様式が流行った頃です。
向こうに見える柱がグロテスク様式。唐草模様と半人半獣のようなモチーフが描かれています。
 
 
 
そんな雰囲気をたっぷり醸し出しているのがこの画家の特徴。
そしてそれまでの初期ルネサンスがしっかりとした線で描かれているのと比べると、ヴェネツィア派のような柔らかい色使いを感じます。
 
 
 
それが彼の弟子たちのポントルモやロッソ・フィオレンティーノといったマニエリスムの巨匠たちのフォルムや色使いに引き継がれていきます。
弟子のポントルモの「キリスト降架」
 
 
 
 
ルネサンスからマニエリスムの橋渡しとなったデル・サルト。
彼自身の作品ももちろん、後世への影響も大きい画家です。
 
 
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次回は「スカルツォの回廊」に描かれた壁画を通して洗礼者ヨハネの人生を辿ります。
 
 





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