タダで巡るフィレンツェ観光 Part 5「最後の晩餐」シリーズ☆フリーニョ修道院美術館(最終回) | フィレンツェ観光ガイド 加藤まり子 in 東京

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フィレンツェ観光ガイドの資格を2016年に取得しました。
現在は都内で美術の鑑賞の仕方を教えています。
詳しくはホームページから。
http://mariko-no-heya.com/


みなさん、Buon giorno!
2月に入ってフィレンツェには暖かな日が続いています。



ラファエロの師匠ペルジーノ工房の作品がたくさんあるフリーニョ修道院美術館
ペルジーノ工房の説明「最後の晩餐」の解説をしてきました。
今回は最終回。
この美術館に収められている他の作品をマグダラのマリアを中心に紹介したいと思います。


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この美術館、結構所蔵作品が多いです。
どれも15世紀フィレンツェ絵画を語る上で重要なのですが、なんとなく気になったのが、マグダラのマリア。

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これはダヴィンチにも影響を与えたと言われるロレンツォ・ディ・クレディの作品です。




マグダラのマリアといえば「ダヴィンチコード」で一躍有名になりました。
もともと好きなんですが、夏に南仏に行ってからさらに気になります。



マグダラのマリアが眠る教会。




キリスト教画では、聖母マリアの次くらいに描かれる女性です。

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アトリビュートは香油壺長い髪
この絵の右側の女性もこの2つのアトリビュートがあります。





イエスの復活を最初に目撃した人
としてキリスト教では重要な人物です。

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復活を目撃したマリアにイエスが
「わたしにさわってはいけない (Noli me tangere) 。わたしはまだ父のみもとにいっていないのだから」
(ヨハネの福音書 第20章)

と諭すシーンです。



そしてイエスはマリアに「わたしの弟子のもとに行って父のみもとに行くことを伝えて欲しい」と頼みます。




この絵の真隣にこんな絵がありました。

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構図がそっくり!
そして香油壺っぽいものもあります。



てっきりマグダラのマリアの絵だと思ったのですが、よく見ると
「イエスとサマリヤの女」
と書いてあります。



サマリヤの女というのは、水を汲んでいるときにイエスと話し、それまでの生き方を悔い改めたとされる女性です。
そして、自分の仲間(サマリヤ人)にそのことを告げるという役割をになっています。
(ヨハネの福音書 第4章)



なので、彼女の横にあるのは香油壺ではなく水がめです。




ディ・クレディ
がこの2つの絵をよく似た構図で描いたのは偶然ではないと思います。

マグダラのマリアもサマリヤの女も
・悔い改める
・仲間にキリストの偉業を伝える
という役割が共通するからです。



ちなみに、この2つの絵の間にはこんな絵がありました。

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左が聖母マリア、そして右側が福音記者ヨハネです。




マグダラのマリアが復活を目撃するシーンも
サマリヤの女が悔い改めるシーンも
どちらもこのヨハネが書いた福音書に記載されています。



ディ・クレディの3枚の絵を見ると面白いことに気付きます。

・マグダラのマリアは緑の服に黄色と赤のマントを羽織っている
・福音記者ヨハネも緑の服に黄色と赤のマントを羽織っている
・サマリヤの女は黄色の服に緑と赤のマントを羽織っている
・3人とも髪を垂らしている




「ダヴィンチコード」は、ダヴィンチの「最後の晩餐」で、
イエスの左側にいるヨハネとされている人物がマグダラのマリア
じゃないか、という推測に基づいて書かれました。

Leonardo_da_Vinci_(1
( Wikipedia より拝借 )




冒頭にもちょっと書きましたが、ディ・クレディはダヴィンチと同時代の画家。
ダヴィンチに影響を与え、その後ダヴィンチから影響を受けたと言われています。



「ダヴィンチコード」の真偽はわかりませんが、ディ・クレディとダヴィンチが同じ思想の元に描いていた、なんてこともあり得るかもしれません。




その後マグダラのマリアは南仏の洞窟で33年間瞑想したと伝えられています。

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同じくフリーニョ修道院美術館に収蔵されている15世紀に描かれた作品。




でも、もう一説には、マグダラのマリアは福音記者ヨハネとともに聖母マリアを支えたともされています。



イエス、マリア、ヨハネ・・・知れば知るほど謎が深まります。



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さてさてラファエロから「最後の晩餐」そしてマグダラのマリアの謎まで、フリーニョ修道院美術館を通して見てきました。


知名度は低いですが、見ごたえは十分。
開館日にフィレンツェにいたら、ぜひ見に行ってみてください。



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フリーニョ修道院美術館
(Cenacolo di Fuligno)
Via Faenza 42
開館日:火、木、土 9:00~12:00
入場無料(保存のための寄付1ユーロ程度)







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