忘れてはならないこと。桂子さんの話。
3月6日、桂子さんがクモ膜下の出血で倒れました…。
警察から電話があり路上で倒れていたそうです。
連絡先にわたしの名前があったので連絡をよこされました。
すぐ主人と一緒に迎えにいきました。
話もでき、自力で歩ける状況だったので、酔っているのだと勘違いしました。
この時点で一度目の出血があったと後でわかりました。
明け方、意識がなくなりました、このとき2度目の出血があったのだそうです。
救急車で、救命救急に入院。
出血により脳圧が上がり、このままでは脳死します。
それを避けるために、脳室ドレナージ(お水や血を頭から管を入れて抜く処置)をします。
ただし、その処置を行うと脳内の圧力が下がるため、再出血もありえる…その場合は助からない。
現時点でも助かる可能性は5割と言われました。
仮に助かっても、植物状態、麻痺等の可能性も十分にあるとも言われました。
ドレナージと同時に、これ以上出血が起きないように、動脈瘤を発見して処置するとのこと。
脳の奥の方で、クリップ処置はできず、
大腿から脳までカテーテルを入れて
プラチナコイルを埋める処置が行われました。
…これが成功してとりあえずの命の危機だけは回避できました。
術後、1週間~10日が、血管れんしゅくとかいう時期で、この時期は
血管が収縮しやすく、
脳梗塞を起こしやすいので危険な時期だと言われました。
私は食事も取れなくなりました。
テレビを見ることもゲームをすることもなくなりました。
何かしたいことがある…というのは
本当は、すごく幸せなことなんだとわかりました。
危険な時期、脳内の造影検査が行われました。
脳梗塞は起きませんでした。
彼女の生きなくてはという強い意志そしてみんなの祈りが彼女を救ったのだと思います。
最も危険な時期を乗り切ってくれて…現在はリハビリできるまでになっています。
手足の麻痺もなく、嚥下障害や、言語障害も残りませんでした。
奇跡のようだといわれました。
ただ…短期記憶がなく、1分前の食事も覚えておくことができません。
倒れる前の記憶は、けっこう残っていて普通に話もできます。
毎日、面会に行って、短期記憶の回復のお手伝いとかしています。
6個の単語を書いて読んでもらい…すぐに復唱してもらっています。
始めは、1個だけしか言えなかったのですが…
今は2個、調子がいいと3個くらい言えるまでになりました。
リハビリはまだ始まったばかり!
絶対に、元通りの元気な桂子さんになるって思っています。
まだ、遊ぼうとか…テレビを見ようという気持ちにはなれません。
彼女が元気になったら…いつか遊べるようになるのかなって思います。
彼女は今、自分で食事がとれるようになっています。
それを見て、私も食事ができるようになりました。
いまは、ずっと桂子さんについててあげたいです。
突然、インできなくなって
ご心配している方もいらっしゃると思いブログを書きました。
彼女は絶対によくなります。
あきは、大げさなんだからと笑ってくれると信じています。
続きその1
私と桂子さんは一卵性双生児みたいな関係で
彼女がいないと、わたしは生きていけないみたいです。
どれほど大事なものだったのか…なくしてみて初めてわかるって言うでしょ?
本当に大事なものだったら…自分の心もしんでしまう。
この世に当たり前なんてもの、ひとつだってない。
もっともっと大切にしたいって心の底から思っています。
桂子さんは今すごく頑張っています。
頭痛もなくなり、ふらつきもなくなったので
病院内は杖なしでも歩けるようになりました。
短期記憶も、ずいぶん覚えておけるようになりました。
彼女が生きていてくれるだけで、私も頑張れます。
彼女が笑ってくれるので、私も笑うことができます。
生きててくれたことに感謝して、気長にリハビリのお手伝いします。
続きその2
桂子さんが退院できました。
ちゃんと自分の足で歩いて退院できました。
いまは、毎日テレビ体操をやって身体を鍛えています。
倒れる前の記憶は、ほぼ完全に戻っています。
私は、ただただ嬉しくて毎日桂子さんのところに行ってます。
大きな後遺症はありません…これって奇跡かなって思います。
ただ…視神経の圧迫による、視野狭窄で横の視界が狭くなっています。
眼科で視界を調べてもらったところ、上下は良く見えているのですが
左右の部分が黒くなっていて視界がなくなってるとわかりました。
縦書きは読めるのですが、横に書いてある文字は読むのに苦労しています。
ハンゲの文字も縦書きにできれば読めるのになあって思います。
でもちゃんとお話もできる。
笑ってもらえる。それだけで嬉しくてなりません。
退院はできましたが、これからも色んなリハビリにつきあうつもりです。
私ともども、これからもよろしくねっ!
続きその3
昨日は桂子さんと一緒にお買い物に行ってきました。
お台所でちょこんと座れる可愛い椅子が欲しかったんです。
退院して2ヶ月近くが過ぎました。
意識不明だったのが嘘のように元気になってくれました。
視界狭窄は、あいかわらずですが視力そのものは回復してきています
あ、椅子は可愛い折りたたみの椅子を見つけることが出来ました。
これで疲れたときは座れることができる…わぁぃ!
あとねっ…
「カッパ寿司」によって2人でおなか一杯になるまでお寿司を食べました。
幸せって一人ではつくれない。
好きな人たちがそばにいてくれるから優しい気持ちにもなれる。
遠くの人たちへも想いを寄せることができる…って思う。
みなさんも幸せですか?
続きその4
昨年は、3月6日、大好きな桂子さんが倒れ
そのことで、わたしも死ぬほど落ち込んで…
でも、桂子さんが頑張ってくれたおかげで、わたしも元気になれて!
人って一人で生きてるんじゃない。
支えて支えられて生きているのだと、しみじみ感じた1年でした。
命の大切さが観念ではなく、実感でわかった1年でした。
誰かと争う気持ちが自分の中から消えてしまいました。
自分でも信じられないくらいに優しい気持ちになれて…。
当たり前のことが、そうではない、ほんとうは、すごいことなんだとわかったから…。
というわけで短歌をひとつ載せて桂子さんのお話はいったん終了。
生きている あなたもわたしも 生きている ただそのことに 感謝を込めて
……おしまい……