北鎌倉円覚寺「佛日庵」で秋の薫物の催し | 横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

横浜の香り教室 平安の香りと親しむ平安朝香道

東急電鉄日吉駅3分にある平安の香りを創り楽しむ教室です。平安時代、貴族や「源氏物語」の主人公光源氏がたしなんだ香り創りや楽しみ方をご紹介。(by平安朝香道 朝倉涼香)

もみじ北鎌倉円覚寺「佛日庵」で

 秋の薫物の催し

 

 

 

ご訪問ありがとうございます

平安朝香道の朝倉涼香です

 

 

今月25日の土曜日

北鎌倉の円覚寺の塔頭

仏日庵で

薫物を薫き和歌を詠う

秋の催しを行ないました。

 

 

 

 

寒くもなく暑くもなく

とても快適な陽気でした。

 

 

 

北鎌倉駅は、ホームはとても長いのですが

駅舎はとても可愛らしいのです。

 

 

 

 

 

質実剛健と呼ばれる鎌倉文化

総門を抜け三門前では

堂々としたその門に

質実剛健の言葉そのもの

を感じることができます。

 

 

三門

 

 

 

 

 

 

 

 

最盛期の紅葉ではありませんでしたが

ほどよく秋の紅葉を愉しめました。

 

 

 

 

坂を上り妙香池を通り過ぎた先に

佛日庵があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

鎌倉幕府8代執権北條時宗公

9代執権貞時公(時宗の子)

14代執権高時公(時宗の孫)をお祀りし

廟所となっております。

 

 

そのお茶室で

薫物の催しを行ないました。

 

 

秋も終りとなってしまいましたが

薫物は

賀陽親王(かやしんのう)の

「侍従」「梅花」でした。

 

加陽親王は桓武天皇の

十番目の皇子

 

「侍従」の香は、その名の通り

常にそばにあっても

邪魔にならず

無くてはならない存在。

 

「侍従」は言葉通りの薫物です。

 

儀式に使用される

貴重な「侍従」もございますが

空薫物(ルームフレグランス)として

使用すれば

ゆったりと、心鎮めてくれる

心地よい薫物となります。

 

手元で異なる香を薫いても

決して邪魔をせず

引き立ててくれる薫物と言えます。

 

「侍従」は

秋の物哀しく吹く風をイメージして

作られた薫物です。

 

 

この薫物には

「紫式部集」の最初の和歌

 

めぐり逢ひて 

  見しやそれとも

わかぬまに

 

雲がくれにし

 夜はの月かな(影)

 

 

の曲と供に薫物を聞きました。

 

 

 

 

自身の感情を言葉にして

表現することは

時代は違っても

古来よりずっと続いています。

 

言葉にしたら次は

自ずと音の高低があり

リズムにのって

手足を動かしたくもなります。

 

和歌はそのように

楽しいいこと、嬉しいこと

哀しいことや憤りなど

の感情を言葉にしたものです。

 

心からわき出る言葉を

表現するのは、一人一人が

音の高低、速さ、リズムなど

違って当然です。

 

百人一首のリズム?

歌会始のメロディー?

一人一人速さもリズムも

音の抑揚も違って良いのでは?

そう考えますが・・・

 

今回は音大出身の門下生の方に

作曲をお願いしようといたしましたが

ご多忙でしたので

AIにお願いいたしました。

 

薫物を薫く茶室に

ボーカロイドの初音ミクの声が

流れたのです。

私は和歌に相応しい楽曲

だったと思っております。

 

 

薫物には

龍笛や和琴、琵琶の音が

相応しいのでしょう。

不思議に感じられた方も

いらしたのではないでしょうか?

 

 

 

 

二つ目は

「梅花」

平安朝香道で作られた

占唐と呼ばれる

重要な香料を合わせました。

 

梅の花を詠んだ春の和歌も

数多いのですが

これから寒い冬を迎え

その後には

暖かな春がやってまいります。

 

キラキラとした春の兆しが

まぶしく感じられる

どなたも良くご存じの

「万葉集」巻八

「春の雑歌」の冒頭の歌を選びました。

 

志貴皇子の御歌です

 

 

石(いわ)ばしる 

  垂水(たるみ)の上の 

さ蕨(わらび)の

 

萌え出ずる春に

  なりにけるかも

 

 

この「梅花」の薫物を薫いた時

真っ先に志貴皇子のこの和歌が

思い浮かびました。

 

薫物の「梅花」も

梅の花が開き

辺りに麗しい香りを漂わせ

待ち望んだ春を知らせているように

感じたからなのです。

 

ボーカロイドの楽曲で

「梅花」を聞いて頂きました。

 

 

最後に皆様と集合写真を撮りました。

 

 

来年は綿密に準備し

楽しく心休まる時間を

皆様と過ごせたらと願っております。

 

 

 

 

今年から

北鎌倉円覚寺「佛日庵」に

薫物を薫く催しの場所が変わりました。

 

とても素晴らしい場所で

薫くことが出来ました。

 

皆様ご協力ありがとうございました。

 

平安朝香道の薫物は

 

平安時代、それよりもっと以前から

続いてきた薫物の文化です。

薫物が皆様の心の拠り所となることを

願っております。

長く続けられると良いですね。