先日、帰宅してテレビをつけると、岸恵子さんの訃報が流れてきた。

洗っていた手を慌てて拭き、吸い寄せられるように画面に見入ってしまった。

 

 

何年前だったか、彼女が主演した1972年公開の映画『約束』を観たことがある。

看守に付き添われ仮出所した女囚と、刑事に追われる強盗犯。

偶然列車で隣り合わせた二人が恋に落ちる物語。

 

 

 

当時40歳ほどだった岸恵子さんは、決して多くを語らない。

だが、時折アップで映し出される表情は息をのむほど美しく気品に溢れ、「大女優」のオーラをまとっていた。

 

 

 

相手役の逃亡犯を演じたのは、当時20代前半の萩原健一(ショーケン)。

長身にトレンチコートを羽織り、若々しく粗削りな佇まいが印象的だった。

 

 

ストーリーの大半は列車内で展開し、あれこれと話しかける男と、なかなか口を開かない女の対照的な演技が際立っていた。

 

 

日本海の肌寒い風景のなか、次第に心を通わせていく二人の切ない愛の結末が、今も胸に残っている。

 

 

 

 

 

 

 

実は偶然にも、訃報を聞く前日『岸惠子自伝』のオーディオブックを聴き始めたところでした。(ちょうど彼女が結婚し、フランスでの生活をスタートさせた場面に差し掛かったところ)

 

 

彼女の著書は幾冊か読んでいて、中でも「プラハの春」を描いた作品は、今でも印象に残っています。

 

 

また、ベストセラーとなった恋愛小説『わりなき恋』も心惹かれる一冊で、朗読劇の公演を知ったとき、「また次の機会に」と見送ってしまったことを、今さらながら深く悔やんでいます。

 

 

 

そんな事を考えながら、今日も『岸惠子自伝』の続きを聴いていました。