浅田真央「仮面舞踏会」の音楽的経済効果 | Ruby☆リュクスDays

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芸術の世界で生きる私。極上の芸術・美しい音楽・魅力的な人・リュクスな時間に触れて、日々審美眼に磨きをかけます。

フィギアの女子日本人3選手の演技には感動しましたね~
真央ちゃんのインタビューにはもらい泣きしちゃいましたしょぼん

演技も気になったけど…音楽の制作現場にいるもののサガとして、その経済効果が気になります。
浅田真央ちゃんたちのショートとフリーの演技が昨日からテレビで繰り返し流れていますが、そのたびに音楽著作権使用料が課金されていることにお気づきでしょうか?

ちょっと堅い話になりますが、今日は経済効果の一部である音楽著作権使用料のお話を・・


本来、著作権が保護されている作品は、放送で流すたびに著作権者(作曲者)の代理であるJASRAC(日本著作権協会)から音楽利用許諾(ライセンス)を得て放送しなくてはならないのですが、1曲毎に許諾を得るのは膨大かつ煩雑な作業になるため、テレビ局は放送するごとに記録をとりJASRACへ年に数回報告書を提出し、テレビ局が支払った使用料をJASRACが報告書に基づき著作権者または音楽出版社に分配します。

フィギアの映像+音楽はここ数日でものすごい放送回数です。報告件数もかなりのものでしょう。
ではテレビ局がJASRAC支払った著作権使用料はどこへいくのでしょうか。

JASRACは徴収した著作権使用料から管理手数料(テレビの場合は使用料の12%)を差し引いて、信託契約に基づき著作権者に支払います。
著作権者が国内の場合はそのまま残金を支払うこともありますが、著作権者が海外にいる場合は、日本の音楽著作権管理会社(音楽出版社)が受取り、そこで著作権者との契約に基づく分配金を管理会社が受け取ったのち、残金を海外の著作権者(あるいは海外の音楽著作権協会)へ支払います。

ちなみJASRACの管理手数料ですが、演奏・録音・放送など種別によって違います。
私が関わるコンサート等の生演奏の場合、JASRACの規定により使用料から30パーセントの手数料を徴収しています。放送に比べて倍以上の利率は、公演絶対数がテレビ放送に比べて少ないせいなのか…なんとも腑に落ちないのですがプンプン


さてでは真央ちゃんがショートで使用したハチャトゥリアン作曲・組曲「仮面舞踏会」I.ワルツの例をみてみましょう。

こちらはまだ著作権保護期間が残存している、著作権使用料を支払わなくてはならない著作権管理楽曲です。

利用者はJASRACヘ使用料を支払い、JASRACはハチャトゥリアンの日本での音楽著作権管理会社である全音楽譜出版へ著作権使用料を分配します。
全音楽譜出版はそこから管理手数料を受け取るかわりに、管理やプロモーション等に費用をかけます。その後残金をハチャトゥリアンの国籍のあるロシアに支払い、最終的には著作権者=ハチャトゥリアンの遺族や財団の手に渡ります。

ハチャトゥリアンのご遺族は日本で極端に増えた著作権使用料を真央ちゃん効果とわかってるかな?
少なくとも全音さんは使用料と楽譜販売のダブルの真央ちゃん効果でウハウハらしい(著作権課担当者談)・・ピアノのソロアレンジ版も出版しちゃって、売れに売れてるようです¥楽譜はこちら→音譜
著作権者のみなさん、フィギアで採用されると効果大ですよ~グッド!


ちなみにフリープログラムで使われたラフマニノフの「鐘」は、すでに著作権保護期間が数年前に終了しているP.D(パブリックドメイン)作品です。使用料はかかりません。


音楽を利用する時に、その作品の著作権残存の有無を調べたい時はこちらをご参照ください。
「Music Forest」→ドア