日本の着物を装うときに帯結びはどんな意味を持つのでしょうか
帯を結ぶことは、見る人の視線を美しい帯結びに集中させて、
肉体を、感じさせない精神性の表れであり、後ろの人
にも感じよくあろうとする愛の心の現われです。
また、陰と陽二つのものを一つに結びあわせると、
そこに新しい価値が創造されます。
結びの「むす」は生産、創造の「うむ」が、転じたもので
「び」は神霊を、意味します。
例えば、一本の紐や帯の左右の端、つまり陰と陽を
結び合わせると、新たな価値すなわち美を創造するのです。
ここから昔は“結び”を“生す霊”と書きました。
同じように男性と女性が結ばれると、そこに新しい価値
としての、子供が誕生します。
生まれた子供が男の子なら、ムスビヒコで息子になり、
女の子なら、ムスビヒメで娘といわれてます。
このように結びは“生す霊”と書いて深い愛がこめられる、
と言われてきました。
贈答品や引き出物などに紅白や金銀の水引をかけるのも、
結び目に愛の心が込められている、古代からの“生す霊”の
思想によるのです。