依存症の治療のためにカウンセリングを受けに来た男。
このような症例は始めて聞く。カウンセラーは困惑した。
男はカウンセラーに、この苦しみから解放して欲しいと頼んだ。
「僕は生きる事に依存してるんです。本当は死にたいのに、死のうとすると生への執着が。早く、この苦しみから解放されたい。お願いです。助けて下さい」 
男は、一気に自分の思いを打ち明けると頭を抱えてた。
カウンセラーは、男の話を聞きながら、どう答えていいか解らなかった。
自分の考えが間違っているのか、男が間違っているのか。
男は、死にたいのに生きる事への依存があり生きている。
自分は、生きる事に依存はないが死にたくはない。
死ねないのがツラい男と、死ぬのがツラい自分。
カウンセラーは、無意識のうちに男に言っていた。
「君は、僕からみたら幸福者だよ」
男は不思議そうな顔で見ていたが、その目は生命力に満ちていた。

ほら、君たちの望んだように鬼は外に出て行ったよ。
鬼たちは、君たちを守っていたと言っていたけどね。
もう、我々は何も口出しはしないよ。新たな歴史を作ってくれよ。
えっ?君たちの後ろから、新しい鬼が襲って来たって?
なら、その鬼と仲良くしたらどうだ。
その鬼に守ってもらえば良いじゃないか。
ただ、その鬼は君たちを侵略しようとしてるらしいけどね。
これは、噂だけどね。
この先、君たちが鬼に恐れ我々に泣きついて追い出した鬼を必要とする。
そんな気がするんたが、君たちは
どう思うかね?
狼は、群れから離れ一匹で生きることにした。
一匹狼に憧れて。
だが、一匹になって気づいた。狼は群れで、暮らす生き物。
一匹では何も出来なかった。
カッコ悪くて群れに戻れるはずもなく後悔の念と悲しみだけが残った。
今夜も遠吠えが悲しく響いている。