会社の仲間数人が、自分の彼女の自慢話をしている時、男はニヤニヤと笑っていた。
「ニヤニヤ笑ってるけど、お前は彼女出来たのか?」と仲間の一人が男に問いかけた。
「ああ」と男は短く返事をすると、またニヤニヤと笑い出した。
「プライベートでは、どこにも出掛けない、お前が本当に彼女出来んのか?」そう男をからかうように一人が言うと、周りの仲間たちも男をバカにするよう笑った。
男は、なおもニヤつきながら
「週に何度かは彼女が寝かせてくれないんだよ。夜なのにさ」そう言うと席をたち、その場から立ち去って行った。
残された仲間は、きっと彼女が出来たのは嘘で、バカにされたから見栄を張ったのだ
と思っていた。
男は、自分のアパートに、帰るとワクワクしながら寝る準備をしていた。
今日は彼女が来るかもしれない。男に彼女がいるのは本当だった。しかし、その彼女は生きてはいなかった。
一ヶ月ほど前、男が息苦しさに目を覚ますと金縛りにあっていた。仰向けになった自分の上に、明らかに誰かが覆い被さってきているのがわかったしかし、その姿は見えなかった。部屋は、暗闇だが人の気配はしなかった。
男は、その場をやり過ごそうとじっとしていた。
男は、おやっと思った。自分は、声を出していないのに微かに女と、思われる呻き声が聴こえてきたからだ。
「これは女だな」
相手が女だと判った瞬間から男は興奮した。今の今まで彼女なんかいたことも無かったし、ましてや女性となんか肌を合わせた経験もない。
そんな自分に姿は見えなくとも女が覆い被さっているのだ。
「この時間が、もう少し続けば良いのに」そんな事を思っているうちに金縛りは解け体が自由になった。
それから、この女の霊は週に何度か男の下に現れた。金縛りと共に。
男は、女の霊を勝手に彼女と呼ぶようになっていた。
不定期に来る女の霊を楽しみに待っていた。
いつ来るか解らない女の霊を待って、睡眠不足なり正常な考えが出来なくなるまで時間は、かからなかった。
次第に男はベッドから出なくなり、会社にも行かなくなった。
朦朧とする意識の中で男は
「一生、彼女とは別れない。ずっと一緒に、いたい」そう思った。
しばらくぶりに金縛りにあった。
男に、覆い被さる感触と呻き声が心地よかった。
男は、絶対に別れないと誓った。
いや、彼女が別れさせてはくれないと思った。
薄れ行く意識の中で、おぼろ気ながら彼女の姿を始めて見たような気がした。
彼女の両手は、自分の首を力強く絞め、彼女の顔は微かに笑みを浮かべているように見えた。
「ニヤニヤ笑ってるけど、お前は彼女出来たのか?」と仲間の一人が男に問いかけた。
「ああ」と男は短く返事をすると、またニヤニヤと笑い出した。
「プライベートでは、どこにも出掛けない、お前が本当に彼女出来んのか?」そう男をからかうように一人が言うと、周りの仲間たちも男をバカにするよう笑った。
男は、なおもニヤつきながら
「週に何度かは彼女が寝かせてくれないんだよ。夜なのにさ」そう言うと席をたち、その場から立ち去って行った。
残された仲間は、きっと彼女が出来たのは嘘で、バカにされたから見栄を張ったのだ
と思っていた。
男は、自分のアパートに、帰るとワクワクしながら寝る準備をしていた。
今日は彼女が来るかもしれない。男に彼女がいるのは本当だった。しかし、その彼女は生きてはいなかった。
一ヶ月ほど前、男が息苦しさに目を覚ますと金縛りにあっていた。仰向けになった自分の上に、明らかに誰かが覆い被さってきているのがわかったしかし、その姿は見えなかった。部屋は、暗闇だが人の気配はしなかった。
男は、その場をやり過ごそうとじっとしていた。
男は、おやっと思った。自分は、声を出していないのに微かに女と、思われる呻き声が聴こえてきたからだ。
「これは女だな」
相手が女だと判った瞬間から男は興奮した。今の今まで彼女なんかいたことも無かったし、ましてや女性となんか肌を合わせた経験もない。
そんな自分に姿は見えなくとも女が覆い被さっているのだ。
「この時間が、もう少し続けば良いのに」そんな事を思っているうちに金縛りは解け体が自由になった。
それから、この女の霊は週に何度か男の下に現れた。金縛りと共に。
男は、女の霊を勝手に彼女と呼ぶようになっていた。
不定期に来る女の霊を楽しみに待っていた。
いつ来るか解らない女の霊を待って、睡眠不足なり正常な考えが出来なくなるまで時間は、かからなかった。
次第に男はベッドから出なくなり、会社にも行かなくなった。
朦朧とする意識の中で男は
「一生、彼女とは別れない。ずっと一緒に、いたい」そう思った。
しばらくぶりに金縛りにあった。
男に、覆い被さる感触と呻き声が心地よかった。
男は、絶対に別れないと誓った。
いや、彼女が別れさせてはくれないと思った。
薄れ行く意識の中で、おぼろ気ながら彼女の姿を始めて見たような気がした。
彼女の両手は、自分の首を力強く絞め、彼女の顔は微かに笑みを浮かべているように見えた。