NEW 和訳を修正しました。(2024/6/10)


I’m with Stupid / Pet Shop Boys

Oh-oh, I’m with Stupid
僕はバカと一緒にいる
Oh-oh, I’m with Stupid
僕の連れはバカ

See you on the TV
君をテレビで見て
Call you every day
毎日、電話する
Fly across the ocean
海を渡って飛んでいく
Just to let you get your way
君のやりたい放題のためだけに
No one understands me
誰も僕を理解できない
Where I’m coming from
こんな僕の気持ちを
Why would I be with someone
who’s obviously so dumb?
こんなにもアホだとわかりきっているやつと、なんで一緒にいようとするのか?
Love comes
愛はやってくる
Love grows
愛は育っていく
every time you rise to meet me
僕のために立ち上がって会いに来てくれるたびに
take my hand to greet me
手を取って出迎えてくれるごとに
Love comes
愛はやってくる
Love grows
愛は育っていく
and power can give a man
much more than anybody knows
そして、権力は人々の想像を遥かに越えるものを与えてくれる

Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid

Before we ever met
僕らが会う前は
I thought like everybody did
僕もみんなと同じように思っていた
you were just a moron
ただの頭の悪いやつで
a billion-dollar kid
億万長者の子ども
You flew up all the way
like a hawk chasing a dove
ハトを狩るタカみたいに、はるばる遠くから飛んできた君
I never thought that I would be
a sacrifice in love
まさか自分が愛の犠牲になるなんて…
It comes
それはやってくる
It grows
それは育っていく
and now we’re tied together
そして、いまや僕らは固く結ばれている
everybody knows
みんな知ってるのさ

Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid

Is stupid really stupid
このバカは本当のバカなのか?
or a different kind of smart?
それとも、ある意味利口なのか?
Do we really have a relationship
so special in your heart?
僕らの関係は本当に君にとっての“特別”なのか?

Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid

I have to ask myself
僕は自問自答しなきゃいけない
like any lover might:
どんな恋人たちもするかもしれないように
Have you made a fool of me?
「君は僕をだましたのか?」
Are you not Mr Right?
「君は理想の人じゃないんじゃないか?」
You grin
君がニヤリと笑う
I pose
僕はポーズをとる
It’s not about sincerity
これは誠実さの話じゃない
Everybody knows
みんな知ってるのさ

Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid
Oh-oh, I’m with Stupid

Is stupid really stupid
このバカは本当のバカなのか?
or are you really smart?
それとも本当は賢いのか?
That’s how you stole my heart
こうやって僕の心を盗んでいった
I’m with Stupid
僕はバカと一緒にいる


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  解説


一見、ラブソングで「どうしようもなくダメな相手だとわかっているのに、完全に沼」な曲みたいな印象がありますが、実は違います。

この曲のリリースは2006年。世の中は9・11テロ事件後の対テロ戦争の時代。

ここで描かれているのは、当時のアメリカの政策に追随して行くイギリス。
ということで、当時のイギリス首相、トニー・ブレアとアメリカ大統領、ジョージ・W・ブッシュの関係性に言及している曲なのです。

(↑ “I’m with Stupid” Wikipedia 英語版より)

リリース当時、ミュージックビデオが流れていたときに解説されていて、「そうなんだ~!」と目から鱗でした!
知ってから聴くと、思わずニヤニヤしてしまう“裏の意味”満載の歌詞です(笑)
(ハトを狩るタカとか…)

今回、この曲のWikipediaを改めて見てみると、興味深いエピソードが載っていました。

英の公共放送BBCの老舗音楽番組“Top of the Pops”(日本だと『ミュージック・ステーション』に近いかな?)でこの曲をパフォーマンスしたときのこと。

当初は合計6人のダンサーがブレアとブッシュの顔のマスクを着ける予定でした。

しかし、BBCの編成部がこれに反対。
でも「政治的“偏向がないこと”」みたいな観点から(BBCのコンプライアンス?)、最終的にブレアのマスク×1とブッシュのマスク×1は残された。

そして残りの4つは差し替えられた。
古今東西の有名政治家のマスクに…
Bill Clinton, David Cameron, Menzies Campbell, and Vladimir Putin
ビル・クリントン、デイビッド・キャメロン、ミンギス・キャンベル、ウラディミール・プーチン(!)
そのときの模様はこちら…
 


(政治家のマスク、誰が誰かあまりよくわからないのですが、たしかに急遽作った感全開という気も…)

ちなみに、その後のドイツでのパフォーマンスはBBCに却下された当初のバージョンで行われたそうです。
(こういうところにも各国の事情が見えて興味深いです。)

世界の事情はだいぶ変わりましたが、今聴いても刺さるものがあるし、笑えないな~と思います。(^_^;)

こんなに政治的で痛烈な批判が含まれているのに、楽曲としてはめちゃめちゃポップでキラキラしていて、純粋に音楽として大好きです。
(この曲のプロデューサーはTrevor Hornなんですよね。いろんな意味で納得…。)

ミュージックビデオについても語りたいポイント満載なんですが… きりがないのでこの辺で…。(^_^;)