発達障がい児を対象とした塾を運営していると、


勉強よりも大切なことがあるのでは?


とか


勉強よりも養育が優先なのでは?


と、問われる時があります。


塾をやっている者にもそのようなお声があるくらいですから、障がい児の保護者さんには、私の何倍もの問いかけが、各所からあびせられることでしょう。



本当に、そのようなご相談が、保護者さんから多く寄せられます。すごく、悔しい気持ち、やるせない気持ち、腑に落ちない感じが、伝わって参ります。



私の塾は幼児さんから受け入れをしていますが、その理由は、



このような問いかけに、押し潰されそうになっている保護者さん、そして、障がいをもったお子さんに、できるだけ寄り添いたいからです。



なんなら、押し潰されそうな状況を、一緒につっぱねて、跳ね返して、前に進んで欲しい……そんな思いからです。



人とうまくコミュニケーションがとれなかったり、椅子に座ってられなかったり、そわそわして人の話が聞けなかったり、鉛筆と消しゴムがうまく操作できなかったり……時には、トイレも間に合わないことが多々ある……。



そんなお子さんは、「勉強よりも養育」が優先なのでしょうか?



勉強をするための下準備って、どれくらいのものをさしているのでしょうか?



トイレトレーニングがまだまだ未熟でも、勉強は好きで、頑張れる子もいます。



鉛筆がうまく使えなくても、必死でなにかを書きながら(外からは分かりづらい文字であっても)、新しいことを学ぼうとしてる子もいます。



椅子に座っていられないとしても、ウロウロしながら説明を聞き、立った状態で、計算練習を熱心にしてるお子さんもいます。



定型発達のような形でなく、凸凹な伸びかもしれないけれど、「勉強する」ことで、沢山のことを学んで伸びていく子。そんな子どもたちを、私は間近で見てきました。



勉強するってことは、世界を広げるってことだと思います。新しいなにかを知って、生活を豊かにするということだと思います。付随的に、頑張る力をつけたり。


そして、なにより、人として大切な、「考える」という時間を、ゆっくりと、たくさんもつことだと思います。



勉強=東大に合格する、偏差値をあげる、成績をあげる、みたいな、局所的な考えはすごく世界を狭めてしまうなと感じます。もっと、勉強とは、豊かなもので、誤解を覚悟で言えば、養育そのものではないでしょうか。



「この子は、勉強よりも養育が先」


そんな言葉は、勉強するお子さんの姿を、一度しっかり見てから、言ってもらいたいなと思います。



勿論、過剰な期待を勉強にかけて、勉強さえできれば、普通の子のようになるんじゃないかとか、


そうした、障がい自体から目をそらしてしまうことも、間違いかと思います。そのように期待をして、お子さんを、虐待に近いまでに追い込んでしまう親御さんもいます。✳️これは、凸凹さんに限らず、定型発達のお子さんに対しても起こることです。



そのような危険性から、「勉強よりも養育が先」って、周囲の方々は警報を鳴らして下さってるのかもしれません。当塾でも、お子さんが心から勉強を拒絶しているな…と感じる時は、保護者様に、勉強することが心の負担になっていることをしっかり伝えます(このようなケースは6年間で1ケースだけでした)。



けれど、そうではないケースも多々あること、是非、知っていてもらいたいなと感じています。



私の塾では、全くお話ができなかったり、トイレトレーニングが未熟なお子さんも受け入れています。みんな、勉強を頑張って、めきめきと力をつけていっています。このお話などはまた別の記事で、ご紹介してゆきたく思います。