そのビーチでは、一生が一日で終わる。

『オールド』

[Old]

(2021年)アメリカ映画

 

 

 

 

<あらすじ>

休暇で人里離れた美しいビーチを訪れた複数の家族。楽しいひと時を過ごしていた矢先、ひとりの母親が突然姿を消した息子を探している――「私の息子を見かけませんでしたか?」「ママ、僕はここにいるよ!」母親が息子の姿に気付かないのも無理はなかった。なんと6歳だった息子は、少し目を離した隙に11歳の青年へと急成長を遂げていたのだ。一体このビーチで何が起こっているのか?

海岸に打ち上げられた女性の死体、次々に意識を失う人々、砂浜に残された謎のメッセージ――不可思議な出来事に直面する彼らは、やがて自らが急速に年老いていく事に気付く……。果たして、極限状態に追い込まれた彼らの運命は?

 

<スタッフ>

監督:M・ナイト・シャマラン

脚本:M・ナイト・シャマラン

原作:ピエール・オスカル・レヴィー

   フレデリック・ペータース

製作:M・ナイト・シャマラン

   マーク・ビエンストック

   アシュウィン・ラジャン

製作総指揮:スティーヴン・シュナイダー

音楽:トレヴァー・ガレキス

撮影:マイク・ジオラキス

編集:ブレット・M・リード

 

<キャスト>

ガエル・ガルシア・ベルナル(ガイ・キャパ)保険数理士

ヴィッキー・クリープス(プリスカ・キャパ)博物館の運営・企画係

トーマシン・マッケンジー(16歳のマドックス・キャパ)長女、姉

アレクサ・スウィントン(11歳のマドックス・キャパ)〃

エンベス・デイヴィッツ(中年のマドックス・キャパ)〃

アレックス・ウルフ(15歳のトレント・キャパ)長男、弟

ノーラン・リヴァー(6歳のトレント・キャパ)〃

ルカ・ファウスティーノ・ロドリゲス(11歳のトレント・キャパ)〃

イーモン・エリオット(中年のトレント・キャパ)〃

ルーファス・シーウェル(チャールズ)心臓外科医、総医局長

アビー・リー・カーショウ(クリスタル)その妻

エリザ・スカンレン(15歳のカーラ)その娘

カイル・ベイリー(6歳のカーラ)〃

ミカヤ・フィッシャー(11歳のカーラ)〃

ケン・レオン(ジャリン・カーマイケル)看護師

ニキ・アムカ=バード(パトリシア・カーマイケル)心理学者、分析医

アーロン・ピエール(ミッドサイズ・セダン/ブレンダン)人気ラッパー

キャスリーン・チャルファント(アグネス)チャールズの母

カイレン・ジュド(イドリブ)ホテルマネージャーの甥

グスタフ・ハマーステン(支配人)ホテルマネージャー

フランチェスカ・イーストウッド(マドリッド)秘書

M・ナイト・シャマラン(運転手)運転手兼ウォーレン製薬の観測者

マシュー・シアー(シドニー)ウォーレン製薬の研究員

ダニエル・アイソン(グレッグ・ミッチェル)警官

アレジャンドラ・ウセチェ(金髪の女性)海を泳いだ女性

 

感想

無人のプライベートビーチに招待された

4組の家族が体験するのは

急速に老化するという謎の現象だった。

『シックス・センス』『サイン』の

M・ナイト・シャマラン監督による

ワンシチュエーション・スリラー。

 

そのビーチに留まると

30分で1年、1時間で2年、

24時間だと48年も歳を取る。

6歳の子供が2時間半で11歳になったり

切った傷が超回復したり

死体が数時間で腐敗・分解したり

さっきまで元気だった老女や犬が死んだり

娘が性交後に数分で妊娠・出産したため

彼らはこの信じられない事実を

認めざるを得なかった。

 

入ってきた岩壁の裂け目から帰ろうとしたら

気圧に押されるような感覚になって

人間の身体は耐えることができず

気絶して戻されてしまうため、

一度入ったら最後、

二度と出ることができない。

そして不思議なことにここに集まった家族は

誰か1人は持病を抱えていた。

老衰や病気の発症で死ぬまでに彼らは

このビーチから脱出することはできるのか――?

 

この設定を見た時、

『ジョジョの奇妙な冒険』で

こんな技を使うスタンドが

あったなぁと思った。

「ザ・グレイトフル・デッド」だったか。

しかしこの映画の老化の設定は

地面に触れた死体は急速に腐るのに

食べ物はなんともなく、

髪も爪も伸びないという

大雑把で都合のいい設定だから

かなりツッコミどころが多い。

レビューでも賛否両論のようだ。

でも俺は嫌いじゃないしむしろ好き。

シャマラン作品は当たり外れが大きいが

これは上位だと思う。

 

そもそもなぜこれを観たかというと

『ラストナイト・イン・ソーホー』で

トーマシン・マッケンジーが気になって

この映画にも出てると知ったのがきっかけ。

しかもず~っと水着で

期待通りのナイスバディを

披露してくれてます。

 

青年トレント役の

アレックス・ウルフは

『ヘレディタリー継承』で長男を演じた

ムロツヨシ似の方ですね。

あの人も印象強かった。

姉弟を子役と青年役と中年役が

演じているけど

みんなすごく似てるのが良い。

逆に大人たちは顔の変化が

痩せたりシワくらいしかなく

時間が経ってる感じが弱いので

髪の毛くらい白くなってもよかったと思う。

 

この映画はカメラワークが独特。

会話シーンなのに話し手にカメラを固定せず

ゆっくり回転や上昇・下降したり

回り込んだりスライドする。

人物を通り過ぎて風景だけの場面も多いのは

時間の流れは止まってくれない、

無情で残酷だという表現。

 

ナイト・シャマラン作品は

謎のままスッキリしない結末の時もあるが

この映画はきちんと謎が解ける。

脱出ルートの手掛かりの出し方、

ここに集められた理由が判明してからの

大逆転の伏線回収は爽快だった。

家族の強い愛情に

うるっときてしまう場面もある。

『シックス・センス』もそうだったが

やっぱり家族愛の物語は大好きですね。

 

 

★★★☆☆ 犯人の意外性

★★★★☆ 犯行トリック

★★★★☆ 物語の面白さ

★★★★★ 伏線の巧妙さ

★★★☆☆ どんでん返し

 

笑える度 -

ホラー度 〇

エッチ度 △

泣ける度 〇

 

評価(10点満点)

 8.5点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここからネタバレあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1分でわかるネタバレ

<事件概要>

日付:不明

場所:マナミカリゾートのプライベートビーチ(撮影はドミニカ共和国のプラヤ・エル・バレ・ビーチ)

 

○被害者 ---●犯人 -----動機【死因:凶器】

金髪の女性 ---●なし ---事故【溺死:海】

アグネス ---●なし ---発病【心不全:なし】

グスタフ(犬) ---●なし ---寿命【老衰:なし】

カーラの赤ちゃん ---●なし ---事故【栄養失調:なし】

ミッドサイズ・セダン/ブレンダン ---●チャールズ ---錯乱、憎悪【刺殺:ナイフ】

ジャリン・カーマイケル ---●なし ---事故【溺死:海】

カーラ ---●なし ---事故【転落死:崖】

パトリシア・カーマイケル ---●なし ---発病【SUDEP:癲癇の発作】

クリスタル ---●なし ---事故【骨折による急性循環不全:狭い洞窟】

チャールズ ---●プリスカ・キャパ ---障害の除去【破傷風:さびたナイフ】

ガイ・キャパ ---●なし ---寿命【老衰:なし】

プリスカ・キャパ ---●なし ---寿命【老衰:なし】

※●黒幕はウォーレン製薬会社。急速に老化するビーチを使った実験殺人。

 

<結末>

精神が錯乱して暴れるチャールズを

プリスカが錆びたナイフで刺し殺し、

残ったのはガイたち家族4人だけになった。

しかしガイたちはどんどん身体が衰えて

その夜、先にガイが亡くなり、

後を追うようにプリスカも亡くなった。

 

朝日が昇る頃、

マドックスとトレントは中年になっていた。

ふとイドリブからもらった

もう一通の暗号を取り出して解読すると

サンゴ礁に脱出の秘密があると気づく。

2人はサンゴ礁まで泳いでいったが

マドックスの服が

サンゴに絡まって進めない……。

それを見ていた観測者は

いつまで経っても浮いてこないから

死亡したと判断して報告する。

 

実はこの細胞を急速に成長させるビーチ、

ウォーレン製薬会社の試薬の治験場で

持病を持つ家族を連れて来て

数年かかる薬のテストを

1日で経過観察するためのものだった。

こうして73回目の治験も無事に終了。

もうすぐ次のターゲットが到着する。

 

しかし次のターゲットが罠にかかる直前に

生きていたトレントとマドックスが阻止。

2人はなんとかサンゴのトンネルをくぐって

観測者が帰った後でホテルまで戻り

警察に事情を話して支配人たちを逮捕させる。

生き残った2人は警察のヘリで空港へ。

自分たちよりも年下になった

伯母のところへ向かうのだった――。

 

老化する死のビーチ

ウォーレン製薬が経営する

アナミカリゾートのプライベートビーチは

立入り禁止の門を開けて進み

岩の裂け目を通って行くと見えてくる。

そこは岩壁に

未知の鉱物が大量に含まれていて

特殊な磁場を形成しているため、

この場所に留まると

細胞が急速に成長する。

30分で1年、1時間で2年、

24時間だと48年も経過してしまう。

 

ウォーレン製薬は

ビーチの時間経過が早い事を活かして、

試薬の治験に利用していた。

試薬の効果がどれほどか調べるため

このビーチに投薬した被験者を送り込んで

数年~数十年かかる経過観察を

たった1日で観察していたのだ。

 

被験者は持病を持った個人または家族を狙う。

薬を購入したレシートに広告を載せ

キャンペーンに応募したら

意図的に当選させてリゾートに招待する。

自宅→空港→ホテルまで専用車で送迎し

到着時にはウェルカムドリンクと称した

治験薬を飲ませる。

あなたを気にいったので

特別サービスがあるんですと支配人が言って

被験者の家族をビーチへ連れていく。

この時パスポートなど身元がわかるものは

金庫に預けさせておく。

 

こうしてできるだけ目撃者を減らし

死んだ後はパスポートなどから

自宅に侵入してPCの履歴を改竄。

ウォーレン製薬とアナミカリゾートの

旅行に関することを削除して

リゾートに来てすらいないように細工する。

死体は数時間で腐敗・分解するので

3時間で骨になり20時間で塵になる。

わざわざビーチに足を踏み入れることなく

死体は跡形も残らない。

完璧な殺人である。

 

本編に登場する該当者は5名。

①プリスカ・キャパ<良性腫瘍>

②クリスタル<低カルシウム血症>

③パトリシア・カーマイケル<癲癇の持病>

④ミッドサイズ・セダン<血友病>

⑤金髪の女性<多発性硬化症>

チャールズはストレスによる<統合失調症>で

本来なら精神病患者を内科の被験者と

一緒にしてはいけないはずだった。

チャールズが暴走してしまって

ミッドサイズ・セダンを殺してしまったため

<血友病>の試薬の効果がわからなくなった。

これはウォーレン製薬側のミス。

 

 

ここからの脱出方法だが――

1)入ってきた岩壁の裂け目は駄目。

時間の流れの境目に逆行すると

身体に負担がかかって潜水したような

圧を感じて気絶してしまう。

完全に気を失う前に

なんとかビーチに戻ることはできる。

2)海を泳ぐのも駄目。

どれだけ泳ぎに自信があっても

ものすごい勢いで

波が海岸に打ち寄せてくるので

まともに泳げないし、

時間の流れの境目で気を失い

しかも水中だと溺れて死亡する。

3)崖を登るのも駄目。

どれだけ上手に上に登ろうと

やがて来る時間の境目で気を失い

そのまま転落死する。

 

唯一の脱出方法が

4)サンゴ礁を盾にすること。

サンゴは磁場を吸収するため

サンゴ礁まで泳いで渡り

そこから息を止めて

サンゴの水中トンネルを泳ぎ切れば

時間の境目を越えることができる。

 

73回目の治験で

唯一脱出に成功したのが

マドックスとトレントの姉弟だけだった。

 

生存者2人の逆襲

ビーチから脱出した

マドックスとトレント。

2人に脱出のヒントを与えてくれたのは

ホテルマネージャーの甥イドリブだった。

イドリブはトレントと一緒に遊んで仲良くなり

将来は一緒の大学に行って

隣に家を建てて住もうとまで言ってくれた。

同年代の子と話をする機会がなく

伯父の命令で誰とも話をさせてもらえないため

なかなか友達のできないイドリブは嬉しかった。

しかし伯父さんが妙に

トレントの家族に接近していることに気づき

何やら嫌な予感がしていたイドリブは

暗号の手紙をトレントに渡した。

 

トレントとマドックスだけが残り

脱出を諦めかけた時、

ふとイドリブの暗号文を思い出して解いてみると

「伯父さんはサンゴが好きじゃない」

これをヒントにサンゴ礁を通って脱出に成功。

名前と職業を覚えるのが得意なトレントが

警官のグレッグに犠牲者のノートを渡して

失踪者の裏付けをとった警察は

ホテルの関係者を全員逮捕する。

 

イドリブがなぜサンゴ礁から

脱出できると知っていたかわからないが

誰もサンゴに近づけるなという

大人たちの会話を聞いて

なにか秘密があると思っていたようだ。

中年になったトレントたちが

暗号の手紙をイドリブに見せる場面は

残酷で悲しい現実に

思わずうるっときてしまった。

 

伏線解説(★は巧妙なもの)

【大人になったら】

送迎車の中で子供たちが歌を歌っている。

プリスカが「もっと歌って」と言うと

恥ずかしくなった子供たちは

歌うのをやめてしまった。

プリスカはマドックスの歌声を褒めて言う。

「大人になったあなたが歌うのをはやく聞きたい」

  • 大人になったマドックスとトレントが同じ歌を歌う伏線。この後、スキューバがしたいと言うトレントに「まだ小さいから無理だ」と父ガイに言われ、早く大人になりたそうなトレントが映る。この後の悲劇を知っていると悲しい気持ちになる。
  • この曲はシャマラン監督の娘サレカが歌う本作のオリジナルテーマソング『Remain』。

 

★②【好みに合わせたウェルカムドリンク】

ホテル到着時にマドリッドが

ウェルカムドリンクを運んでくる。

前もって伺った好みに合わせて作った

特製カクテルらしい。

ガイとプリスカがそれを飲む。

  • これが実は治験薬入りドリンク。プリスカは持病で小さな良性腫瘍がある。好みに合わせて作ったので別の人が飲むこともなく、せっかく作ってくれたので断りにくい。

 

【ウォーレン製薬の系列のホテル】

ガイがパンフレットを見ながら

このリゾートホテルは

ウォーレン製薬会社の系列だと言う。

安くて評判が良いそうだ。

  • 黒幕ウォーレン製薬の名前が登場。ここの薬は安くて評判が良いが、真実は極悪非道な手段によるものだとこれから判明する。

 

★④【名前と仕事を覚えるのが得意】

トレントとイドリブは

ビーチのお姉さんたちに

「名前と職業教えて」と話しかける。

お姉さん2人に挟まれた男性は

「グレッグ・ミッチェル。警官だ」と答え

トレントたちは「かっこいい」と喜んだ。

  • 一見、クレヨンしんちゃんみたいなマセた子供のやるナンパの真似事に見えるのが秀逸。トレントは人の名前と職業を覚える特技があり、ここで聞いた「警官」という職業を覚えていたから、脱出後真っ先にグレッグにビーチと失踪者のことを報告し、ホテルマネージャーたちを逮捕することができた。

 

【砂の城】

浜辺で子供たちが砂の城を作っている。

  • 砂の城が出てくるのは、本作の原作となったピエール・オスカル・テヴィとフレデリック・ペーターズによるグラフィックノベル『Sandcastle』から。中年になったマドックスとトレントが砂の城を作る場面がある

 

【イドリブの暗号】

ホテルマネージャーの甥の

イドリブと親友になったトレントは

暗号で解読する手紙をもらう。

暗号を解いたら

「アイス早食い大会が明日」と書いてあった。

その後、

プライベートビーチへ向かう車内で

トレントはバッグにもう1通

イドリブからの手紙があることに気づく

車にほかの客が乗ってきたので

手紙をバッグにしまう。

  • 脱出のヒントの重要アイテムがイドリブの暗号。物語終盤まで完全に忘れてしまっていたこの手紙に「伯父さんはサンゴが好きじゃない」と書いてあったことからサンゴ礁へ辿り着く。そのきっかけは砂の城を作って子供心に戻ったことだった。

 

【癲癇の発作】

朝の食事中、

癲癇の発作で倒れ込むパトリシア。

そこにチャールズが駆けつけるが

夫のジャリンは大丈夫だと言って

パトリシアを介抱する。

マドリッドが駆け寄って来て

「お飲み物はいりますか?」と聞く。

  • ここでわかったことは、夫のジャリンが看護師、妻が癲癇持ち、駆けつけたチャールズが医者で、彼はジャリンの名前をジャックと言い間違う「統合失調症」のような精神疾患があることが視聴者に提示される。何かしら持病を抱えている人間が多い。
  • パトリシアはホテル到着時に飲ませたウェルカムドリンクの試薬が効果がなかったため、マドリッドが新しい配合の試薬を飲ませ、カーマイケル夫妻はホテルで少し休憩したので遅れてビーチに到着している。それが8時間(=16年間)も発作を抑えた配合になる。

 

【パスポートは金庫へ】

運転手がビーチへ出発前に

「パスポートは金庫に置いて来ましたか?

無くすと大変ですからね」と聞いてくる。

  • 身元がわかるものを極力減らす魂胆。おそらく免許証や保険証なども金庫へ預けさせたのだろう。死体は塵となっても持ち物は残ってしまうから身元がわかるものが残るとまずい。⑨浜辺にスマホがいくつか埋まっていたのはそういうこと。スマホは内部が海水で錆びたり壊れてしまえば簡単に情報を引き出せないため放っておいて問題は無い。

 

【大量の食料】

ビーチに向かう際に

大量の食料を持たされる。

運転手いわく「子供は食欲旺盛ですから」

  • 子供が急成長するため食料は多めに必要。あくまでも被験者には生きてもらわなければ必要なデータが取れないので飢え死にはしてもらいたくないし、少ない食料で争ってもらっても困るため。
  • ビーチに着いてしばらくすると、子供たちは3人とも「すごくお腹がすいた」と言い始める

 

【サンゴ礁】

ビーチに到着してはしゃぐ子供たちに

ガイは沖にあるサンゴ礁を見て

「お前たち見ろ、キレイなサンゴだ」と呼びかける。

  • 脱出ルートのサンゴ礁の存在をアピールする伏線が張ってある。子供たちは海で遊ぶのに夢中で聞いていないからそれ以上サンゴ礁を追及しなかった。

 

【さびたナイフ】

マドックスが砂浜にあった

さびたナイフをプリスカに見せる。

プリスカは切ったらバイ菌が入るから

置きなさいと注意する。

  • チャールズを倒すときの伏線。さびたナイフで攻撃するプリスカが答えているのがポイント。置いた場所もちゃんと覚えていた。

 

【魚がいない】

かくれんぼをしている時、

岩陰の水の中に隠れたトレントは

魚が泳いでいないことに気づく。

「魚いないや」

  • 時間の流れが早いため魚が生息できない。ビーチの秘密に関わる伏線。

 

【崖の上の観測者】

トレントは崖の上でなにか光るものを見た。

後でカメラのレンズの光だとわかる。

観客にわかりやすいように人影も見える

  • これがプロシュート兄貴……ではなくシャマラン兄貴が演じた運転手兼観測者。カメラがあることで、これが人為的な犯行であることが浮き彫りになる。

 

【トレントを遠ざけた結果】

プリスカが悪性腫瘍で倒れて心配するトレント。

父親ガイはマドックスはまだしも

まだ小さいトレントには手術の様子を

見るのはきついだろうと思って、

「その辺でカーラと遊んできなさい」と

トレントを遠ざけた。

  • まだ子供だと思って11歳のトレントとカーラを遊ばせていたが、成長によって15歳になった2人が思春期になって恋におち、新たな悲劇を呼ぶ。

 

【犠牲者のノート】

前にここに来て脱出できなかった

小説家志望の被害者が

ビーチの秘密を考察したノート。

そこには他の犠牲者たちの

名前と住所も書いてあった。

  • 終盤で脱出する直前にトレントが「あれを持っていかなきゃ」と取りに戻ったのがこのノート。これがトレントたちの突拍子もない話を裏付け、警察が動く決め手になった。

 

欠点や疑問など

  • ありえないようなぶっ飛んだ設定なので賛否ありそう。
  • 髪や爪が死んだ細胞だから成長しないと言っていたが、死体も死んだ細胞である。高速で腐敗するのはおかしい。むしろ髪や爪は生きているから生えるものです。この矛盾した下手な説明はなかった方がよかった。
  • 製薬会社が実験でビーチに閉じ込めた設定はいいが、脱出しようともがいて勝手に無理して死なれると薬の効果が確かめられないため説得力に欠ける。実験としては微妙。
  • 大人たちはあまり食事する気配がなかったけど、それだと急速に痩せたりしないのか?30分で1年間食ってないことになるんだけど。
  • 別に見たくはないが尿意も便意もないのは不自然。とくに子供は大量に食べたのだから排出したくなるはず。
  • スマホの電波が通じないのがヤバイ。逆に今そんな場所ある?崖の上ギリギリまで登ったら電波受信しないかな。

  • ジャック・ニコルソンとマーロン・ブランドが共演した映画は『ミズーリ・ブレイク』

  • プリスカの腹を切開して腫瘍を取り出した際に、何人かが手をつっこんでいたが汚い手だとバイ菌が入って化膿する。砂も入りそう。酒で消毒したってそう上手くはいかないと思う。
  • ミッドサイズ・セダンの死に方が雑。
  • カーラがみんなの忠告を無視して崖を登っていくのが意味わからん。
  • というかカーラ、子供産んだら乳出さないと乳腺が張って痛くてたまらんと思うのだが。
  • 身体が大人になったらなぜか精神面も急に大人になるのは無理がある。
  • 子供達がどこで覚えたのかレントゲン用の防護服の原理で金属の管を思いつくのはさすがに神童。
  • チャールズに襲われる場面、プリスカは左耳が聞こえなくても右耳で十分聞こえる距離で話しかけられてるから聞こえませんか?
  • チャールズのナイフは何度も砂を刺したり、人を刺したやつだからそれで切られたガイとプリスカもバイ菌が入って破傷風になるのでは?
  • サンゴのところから脱出できることを製薬会社の連中も知ってたなら早くサンゴを封鎖しろよと思った。
  • そもそもこのビーチの現象を最初に発見した人間がどうやって生き残って帰ったたか謎。
  • 最後は姉弟2人だけ生き残ったが、失ったものが大きすぎてとてもハッピーエンドとは言い難いモヤモヤした気分になる。
  • ドキュメンタリーの裏話。1ヶ月かけてビーチに高さ7メートル、横幅270メートルの壁を設置して撮影した。しかも1回ハリケーンで壊れて2回目は海から遠くに建てた。朝の場面は朝、夜の場面は夜を数日に分けて撮る。繋がりがおかしくなるから悪天候すら許されない状況だったとか。しかもコロナウィルスが流行中で、さらに野犬が紛れ込んでくるハプニングもあったらしい。

 

名場面・名台詞

リゾートのパンフレットを見たガイが

子供たちに「大人週間」だから

子供は海で泳げないと適当な嘘を言い、

「嘘だ嘘だ」と子供たちが騒ぐので

冗談交じりにガイは諭す。

ガイ「でもな、それでもな。受け入れなきゃいけない。耐えなきゃいけない。そういうもんだ人生ってのは。厳しくてときには思い通りにいかない」

 

海パンがきついと言うトレントを見て

驚いたプリスカが医者のチャールズを呼ぶ。

チャールズの方でも母親が胸が苦しいと言い

犬が騒ぎ出す。

プリスカ「息子の様子が変なの。何かに反応してるみたい」

チャールズ「それは深刻なのかい、看てる余裕はない」

プリスカ「専門はなんなの?」

チャールズ「心臓外科が専門で総医局長だ」

プリスカ「私は博物館で展覧会の企画や運営をしてる。こんなこと言うのも信用してほしいから。子供がおかしいって闇雲に騒ぐ母親と思ってほしくないからなの」

チェールズ「(遠くをを指差して)元気そうにうちの子と遊んでる」

 

トレント「君も変わったよね」

カーラ「そう?」

トレント「う~ん、わかんないけど……変わった」

 

クリスタル「チャールズ!お義母さん息してない!お義母さん息してない!」

 

 チャールズが母親アグネスを心臓マッサージするが……。

 

クリスタル「あたしは何もしてない。あなたたちが行ったら突然息が止まっちゃったの。お義母さん静かになっちゃった。こんなことってある!?」

 

プリスカの左脇腹にあった良性腫瘍が

悪性腫瘍になりソフトボール大にまで肥大。

気絶したプリスカを

ここで緊急手術することになり

チャールズとジャリンたちで腫瘍を取り除く。

ガイ「プリスカ……」

マドックス「ママ……」

 

 目を開けたプリスカ。マドックスが喜ぶ。

 

プリスカ「大丈夫、気を失っただけ」

ガイ「腫瘍は取り出した。死ぬところだったぞ」

ジャリン「ご主人が、迅速に決断をした」

プリスカ「……なんだか体調が良くなった」

 

このビーチでなにが起きているのか?

大人たちが議論する。

プリスカ「子供たちの成長速度とビーチでの滞在時間から判断すると、ここでの30分は私たちの生活のだいたい1年に相当する。でも老化の兆候は全員には見られない」

ミッドサイズ・セダン「黒人はシワが目立たない」

ジャリン「身体が大きくなってるから子供たちはやたらと食べる。身体を急速に成長させる必要があるんだ。俺たちの体格はほぼ変わってない。細胞だけが老化してるんだ」

 

この旅行を最後に

離婚しようと考えていたことを

プリスカに追求するマドックス。

プリスカはそれを認め

死を意識して考えが変わったと言い訳するが……

プリスカ「腫瘍があることがわかって怖くなったの。ガラスケースに収まった名前の無い遺体を見てずっと思ってた。私もいずれこんな風になるんだって。言ってる意味わかる?……でも、昨日までとは感じることがまるで違う。裏切ったことも幻のように感じる。本当よ」

マドックス「……」

プリスカ「ママが憎いわよね?」

マドックス「私、とにかく今は(考える)時間がほしい」

プリスカ「(立ち去るマドックスの後ろ姿に)……時間は無いの」

 

6歳からたった数時間でもう20歳。

死んだ赤ちゃんの遺体を抱えたカーラが

うつろな目で嘆く。

カーラ「このビーチからは出られない。プロムも卒業式も知らないまま。作れなかった思い出がたくさんある。……あんまりだよ」

 

命が尽きようとしていくガイとプリスカ。

プリスカは左耳が聞こえなくなり

ガイは目も見えなくなり認知症に……。

ガイ「僕たちはもめてたか?」

プリスカ「……ええ、そうね」

ガイ「原因がなんであれ、僕はもう怒ってない」

プリスカ「……」

ガイ「思い出せないな。なんでこのビーチを出たがってたんだっけ?……こんなに綺麗なのに」

プリスカ「どうだっていい」

ガイ「ふふ……おかしいな。どうも、言葉を……忘れてしまった。君に気持ちを伝えたいのに……」

プリスカ「伝わってる」

 

 それからガイは眠るように亡くなった。

 

マドックス「パパ!?」

プリスカ「ああ……」

 

 号泣する子供たちを残してプリスカは海で自殺をしようと歩き出したが戻って子供たちの前で倒れてプリスカも息を引き取る。

 

トレント「ママ、嫌だよママ……目を覚ましてよ」

 

ホテルの支配人が研究員たちに向かって

スピーチで鼓舞する。

支配人「自然は作るべくしてあのビーチを作った。我が社の調査隊がそれを見つけたのは運命だ。これで治験に一生掛けずに済む。1日で薬の効果を試せるんだ。やるべきことはまだたくさんある。自然の“期待”に応えようではないか」

 

次のターゲットのブロディ夫妻が到着。

ウェルカムドリンクを運んできた

マドリッドに誰かがぶつかり、

グラスが割れる。

マドリッド「ご心配なくブロディ御夫妻。新しいものをすぐにお持ちします」

???「僕ならなにも口にしない。殺されるとこだった」

 

 声の人物を見て驚く支配人たち。

 

トレント「僕はトレント・キャパ」

マドックス「私はマドックス・キャパ」

 

好事家のためのトリックノートトリック分類表

準備中です。

 

 

 

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