『ファイナルファンタジーX(テン)』

俺の中でトップ3に入るくらい

大好きなRPGなのですが、

最近は配信者さんやVTuberさんが

ゲーム実況でFF10をプレイすることが多く

懐かしさと嬉しさで何度も見てしまいます。

 

配信者さんたちがエンディングムービーで

感動しているのを見るのもまた愉悦というか

自分も一緒になって泣いてしまうのですが、

昔は気にならなかったことが

最近気になるようになってしまいました。

 

 

 

【注意!ここからがっつりネタバレです】

 

 

 

それは――

ラスボスを倒して「永遠のナギ節」が来て

ユウナがスタジアムでみんなに

「力を合わせて一緒に歩けるよね」と

スピーチする場面。

 

ユウナが最後に

「ひとつだけ、お願いがあります」

BGMも最高潮に盛り上がり

ユウナが遠くを見つめながら言葉を続ける。

「いなくなってしまった人たちのこと、

時々でいいから……思い出してください」

そう言って

回想シーンが入るのですが

“なぜか”シーモアとユウナの

キスシーンが入るのです。

 

このシーモアとのキスシーンは

ユウナにとって無理矢理に

大事なファーストキスを奪われた

「思い出したくもない」シーンのはず。

俺が見たVTuberさんの配信では

急にシーモアが登場したあげく

よりによってキスシーンを見せられて

「なんでこれを入れるの!?」と

ここで涙が引っ込んでしまったり

失笑が起きてしまったりと

せっかくの感動がぶち壊されて

キレてしまう人もいた。

 

開発スタッフはなぜこのキスシーンを

感動のエンディングムービーに

入れてしまったのだろうか。

一連の回想シーンを

振り返って考察してみようと思う。

 

常識的に考えて

ここは旅の回想を入れて

「旅が終わった切なさ」を表現したい場面。

①まず始めにキマリがかっこよく吠えるカット。

 

②リュックと③ルールーと

④アーロンと⑤ワッカは

1000年前のザナルカンドの映像に

驚く場面が使われている。

 

 

 

 

⑥シーモアは“なぜか”キス。

 

⑦ティーダのマカラーニャの湖での

キスシーンは万人が納得のチョイス。

 

 

 

 

これは……

シーモアいらなくね?

パーティーメンバーでもないし

「いなくなった人」というくくりなら

リュックたちを回想に出さなくてもいいし

それなら召喚獣たちを入れてほしかった。

ヴァルファーレがユウナを救う場面とかさ。

 

場面のチョイスも微妙。

ユウナが印象に残った場面という

仮説を立てれば

シーモアとのキスは

悪い意味で印象深いかもしれないが

1000年前のザナルカンドに驚く場面で

4人ひとまとめにされるのは扱いがひどい。

せめてベベルに突入する場面とか

もっとかっこいい場面あっただろ……。

 

<より深い考察>

①ユウナが一人で登場していない。

  • ユウナは名場面がとくに多いのにキスの受け側でしか登場していない。ということはユウナ自身の回想という解釈が濃厚になる。

②「いなくなってしまった人たち」

  • アーロン、シーモア、ティーダは「いなくなってしまった人たち」で、キマリ、リュック、ルールー、ワッカもそれぞれの人生があり、旅が終わって平和になった今後「いなくなってしまう」可能性は高い。

③すでにシーモアを許している。

  • ユウナはシーモアにも優しかった。シーモアの魂を救えるなら結婚してもいいと考えるほどなので、ユウナの中ではすでにキスのことは水に流しているのだろう。文字通りマカラーニャの湖で。

④開発スタッフの編集ミス。

  • 素直に考えるとこれだろう。何かの行き違いで入れるムービーを入れ間違ったのか、適当に入れてしまったのか。まさかそんなに反響があると思わなくて後悔しているかも。

⑤いや意図的に入れた悪戯だった。

  • 1000年前のザナルカンド映像の4人を見たら人物一人のところだけを絶妙にカットしている。あそこは人が行き交う場面でごちゃごちゃしているのをちゃんと繋ぎ直している。だから編集自体にミスがあるように思えない。つまりこれは「確信犯」。あ・え・て、シーモアのキスシーンという「思い出したくない」ものを一瞬ぶちこむことでどのような反応があるのか試してみたのではないだろうか?

 

<結論>

これは⑤でしょうね。

「サブリミナル効果」

1980後半~90年代前半に

スタッフのお遊びとして

アニメやドラマに一瞬だけ

肉眼では認識できないくらいのフレームで

別の画像やテロップが入れてある番組があった。

 

日本では1990年代後半に

サブリミナル的な表現を規制しているが

1999年のアメリカ映画

『ファイトクラブ』では認識できる速度で

わざとサブリミナル効果を入れている。

2001年7月に発売された

『ファイナルファンタジーX(テン)』も

もう20年以上前のゲーム。

当時の話題や流行も考慮すれば、

怒られない範囲内で

最後にシーモアを入れたら

どんな反応があるか

試してみたくなったのではないだろうか?

 

泣きどころとしては

その前の飛空挺でのバックハグで

十分泣かせたはずだから、

あの最後の回想で遊ぶ余裕ができた。

実際のところ、

俺は最初にあの回想を見た時に

まったくシーモアに気づいてなくて

その後のティーダとの

思い出に浸ってしまったくらいだった。

 

無関係の画像でないのもポイントで

例えばここに

「ジタン(FF9の主人公)」が入ったら

絶対に気づいてしまう。

少し地味な「マイカ総老師」が

ここに入ったら

普通に冒険の回想だと思うので

まったく気にならない人が多そうだ。

 

気にならない人もいてほしいが

気づく人もいてほしい。

その絶妙なバランスがシーモアで

しかもあのキスシーンという

チョイスなのではなかろうか。

 

最近になって配信で

何度もあの場面を見て

「は?ふざけんなよ!」とは思うのだが

そう思えること自体が

実はすごいことかもしれない。

初見で「みやぶる」ことができた人は

とても観察眼が優れているのでしょうね。

 

――という締めで。

(実際、どれが正解かはわかりません)