「ええっ、そうなんですか? 雑居って大変なんですよね?」

 



 と私が尋ねると、

 



「まあけっこう運ですけど、





嫌な奴と一緒になると大変ですよ。




イビキがうるさいのもいますし、




そうなると夜も眠れませんわね。





他人にまったく気を遣わない自分勝手な奴らももちろんいます。




そんな奴らと一緒にいるなんて耐えられませんよ」




「嫌だなぁ……  




でも私たちが独居を選ぶことなんてできませんよね?」




と尋ねると、




彼は、




「篠山さん。実は一つだけ、





その方法があるんです」とニヤリと笑いました。




「雑居に絶対入れないのは、殺人・傷害犯や素行に問題があると認められた者、




それにもう一つあるんですわ」



「何ですか?」

 



「実は、分類面接のときに自分はゲイだって言えば、





必ず独居に入れますよ」








   


前述 した通り、





東京拘置所では独居と雑居が存在します。





当たり前ですが雑居の場合、




何の犯罪を犯したかわからない人たちと24時間一緒に暮らさなければなりません。





私はすでにM署で3ケ月も雑居におり、




正直この先も、




またむくつけき男たちと顔を突き合わせて暮らすのは御免被りたいと思っておりました。




しかしながら被告人側から独居・雑居を選ぶことなどもちろんできません。





拘置所も刑務所同様収容者であふれており、





同性愛者や重大な暴力犯以外は雑居に押し込まないと部屋が足りないのですから、




成り行き任せにしておけば必ず雑居に放り込まれてしまいます。




「篠山さんみたいな面倒見のいい人は間違いなく雑居に入れられてしまいますよ」




と教えてくれたのはM署で一緒だったスリのKさんでした。



          


「××番!」




と自分の番号を呼ばれるとびっくり箱から出て、




番号を呼んだ係官のところへ行きます。






係官は被告人の身元確認及び分類を決定する係と、





被告人の持ち物検査をする係、





とおおむねこの2種類に大別されます。





身元確認は役所の受付カウンターのような場所で行われ、





刑務官が11でパソコンや書類を見ながら名前や出身地、





前職や起訴内容などをインプットしていくのですが、





異なる係官から何度も同じことを聞かれます。





これは虚偽申告や勘違いを防ぐためと思われ、





とにかく同じような質問を4回も繰り返されてうんざりしました。





実は私はここで一世一代(?)の芝居を打ちました。





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