イギリスブランドの取り扱い数が減ってしまったのも事実だが、実際に胸厚くなるブランドが見つからないのも事実である。
今回のロンドン滞在も5泊のみと、その後ベルリンに向かうスケジュールで何とも慌ただしい。
パリ、バルセロナ、エルチェと天候には恵まれ初夏の陽気だったが、ここロンドンもほどよく暖かく初夏の匂いが感じ取れる。
当然陽は長く20時過ぎまで明るく、おのずと夜の行動も活発になってしまう。
滞在中の土曜日の夜、久々に元ロンドンブランド BURROのTIM/ティムとイーストロンドンのビストロレストラン『BRUNO LOUBET』で会食の約束で待ち合わせ。

25年以上ノッティングヒル.ウエストボーン近辺のウエストロンドンを拠点として来たため地理に詳しくなく、ロンドンマップ < AtoZ >が手放せない。
待ち合わせは20時だが少し時間に余裕があったので、レストランに向かうまでの途中、路地裏の光景を写真におさめる。

ひと気のないちょっとした路地裏のたたずまいも、ロンドンらしくてやっぱり落ち着く。

歴史を感じさせる古びた建物も伝統と古きを重んじるイギリスならではの光景で、近代化されたビルばかりが目立つ東京やニューヨークとは空気感がまったく違う。

東京にもこんな ST.JOHN`S SQUARE/ストリートサインがあると、我々日本人にも海外からきた外国人にも分かりやすくていいと思うが、ネコの額ほどの面積に複雑な路線の配置だとそれもかなわぬことかもしれない。

待ち合わせの時間がせまり中には入らなかったが、小さな美術館『 MUSEUM OF THE ORDER OF ST JOHN 』もローカル色に包まれた温かそうな雰囲気。
http://www.museumstjohn.org.uk/index.html

3時間ほどの会食で料理に舌鼓して、レッドワインでほどよく酔っぱらい、ひんやりとした夜風を感じながら地下鉄の駅バービカンまで歩いて向かう途中、何枚かシャッターをきる。

1980年に初めてロンドンの土を踏んでから31年という年月か経過したわけだが、この風景は場所は違えどおそらく昔のままである。

こんなに年季の入ったクラシックなカフェは希少な感じで、世界の至る所で見かけるアメリカナイズされたチェーンカフェが随分と無味乾燥に感じてしまう。

土曜日の夜、時計の針が午後11時を過ぎた頃、ロンドナー ・若者たちの長い夜は興奮した話し声や覗いたバー店内の様子から始まったばかりのようだ。

時代の流れとともにセンターから市外へ移転する施設が多い中で、数世紀に渡ってこの場所に存在するヨーロッパ最古で最大の規模と言われる食肉市場 Smithfield Market / スミスフィールド・マーケットの静まりかえった無人のライティングされた重厚な建物が目に焼きつく。

ワインで酔っぱらっているせいではなく、改めて昔恋したロンドンの街町の空気感に心酔し、我ながら通い続けている31年の己の歴史に見事に己惚れている。
Cheers