仕方なくゲート前に腰掛けて搭乗が開始されるのを待っているが、周りの大勢のイギリス人の中には当然ファッション関係者が多く見受けられる。
そんな中、チェックインカウンターで会ったロンドンの 元 Duffer / ダッファーチームの面々が順番にゲート前に登場。
最初にやって来たのは、Steve Davies/ スティーヴ・デイヴィス。
過去にロンドンの展示会TBCの会場で娘を連れていた時に写真を撮らせてもらったが、その時以来の久しぶりのマイブログへの登場となった。
彼に初めて会ったのもかれこれ20年前、パリの合同展示会 SHEM/セムのイギリス人デザイナー Nigel Hall / ナイジェル・ホールのブースだった気がする。
現在は泣く子も黙るEddie / エディのパートナーとして、イーストロンドンの Shoreditch High Streetで Present というセレクトショップを切り盛りしている。

次にやって来たのは、以前東京に住み日本の大手セレクトショップ会社で働いていた経験を持つ Dan Doyle / ダン・ドイル.
現在はデザイナーMarcoのアシスタントとして、ロンドンをベースに流暢な?日本語を見事に操り、活躍している。

3人目はDUFFERのデザイナーだったMarco Cairns / マルコ・ケアンズで、彼に初めて会ったのはすでに四半世紀前の1986年、ウエストロンドン・ポートベローロードの彼らのお店だった気がする。
当時から物静かな印象であまり余計なことはしゃべらないタイプだったが、ヨーロッパ各国の展示会場や空港、ユーロスターなどでよく会っていた。
カムデンから始まったDUFFER発足当時の4人 ( エディ、マルコ、バリー、クリフ ) の若かりし頃の目一杯気張った写真が、今も私のデスクの引き出しの中に眠っている。

最後にゆっくりと現れたのはもちろんご老体 ? Eddie Prendergast / エディ.プレンダーガスト
2年前の9月にPRESENTのショップオープンの陣中見舞いに訪れ、逆に隣のパプでランチとビールをごちそうになった記憶が思い出される。
彼に初めて会ったのも四半世紀前のロンドンで、ロンドンが一番輝いていた80年代後半から90年代前半、一緒にクラブに行ったり、新婚間もない彼の自宅でご飯をごちそうになった記憶がある。
写真をとシャッターを切ったタイミングでかがんだ為、一段と薄くなった気がする頭の登頂部のみが目立ってしまい、運がいいと言うべきか、悪いと言うべきか、

先に搭乗して席に座っているとエディがやって来たので、再度写真をトライ、勝手に撮らないで、とまるでパパラッチに対して言うようなスター気取り?の冗談と笑顔で通り過ぎていった。

そういえば地震が起こった3月11日、エディはひとり東京に滞在中で、イギリスには地震がないため、きっとかなり驚いたはずだったろうが、あの恐怖のマグニチュードを運悪く体験してしまっていた。
翌朝は人通りもまばらで交通機関が麻痺していた東京の街を歩いていたらしく、予約していた帰国便もキャンセルとなり、不便な環境のもと、東京の街で数日足止めをくらっていたそうだ。
エディの携帯に電話して大丈夫か状況を確認したが、それほど大げさなことではなさそうで、普段から太っ腹な親分気質で問題はなかったようである。
私のビジネスとしてのファッションの原点はもちろんイギリスからであったが、まさにDUFFERとともに始まったといっても過言ではない。
日本人の中で先駆けて初期の彼らと接触して15年ほど、94年には日本市場だけのオリジナルデザインを企画してもらい、英国大使館が主催の赤坂のホテルニューオオタニでの英国ブランドの合同展示会で出展していた他社が取り扱う30社ほどのイギリスブランドとともに、展示会で発表させてもらった。
私が紹介したのは、DUFFER , SQUIER, FRED BARE, JOHN MOOREの4ブランド。
85年から13年間ほどDUFFERを直接取り扱っていたが、彼らの感性から学んだものは多くあり、Ready Steady Go! の歴史を振り返れば、彼らとの出会いも含めて感謝の気持ちでいっぱいである。
現在DUFFERというブランドが日本にはあるが、私がこれまでに本国イギリスで直接触れてきた DUFFERとは根本が全く異質であり、残念なことだが、たとえれば銀座の寿司屋と回転寿司くらいの温度差があるような気がしてしまう。
数字を優先すれば、どうしても中身が稀薄になる。
cheers