よろしくなかった。
部屋のクーラーを入れるほどではなかったが、それでも若干蒸し暑く感じたし、早朝から人の声がうるさくて、目覚めは6時頃と体力が回復していないのが実感で、この後仕事に向かうかと思うと気が重い。
日本だと本来は日曜日に休みを取っているが、海外出張中の毎度のこと、2週間休みなしの強行軍は今回も決行される。
長旅の上にはじめてのインド環境で体調は思いのほか絶不調で、更にゲストハウスの朝食は日本円で二百円と格安だが、メニューはトーストにオムレツ、オレンジジュースに紅茶。
言葉で聞くとごくごく普通に聞こえるが、出来上がりまでやたらと時間が掛かり、オレンジジュースは近所のコンビニ?に100ccほどの紙パック入りを買いに行き、それがまったく冷えていない、紅茶のミルクはもちろん沸かしたものでないと衛生上不安だし、オムレツの出来栄えは向こうが透けて見えそうなくらいの薄さで、色は若干黄色みがかっていたがまったく味がしなかった。
ひと味ひと味、毒味をするような感じだが、出発までに時間がなく、インド入国上義務付けられていないこともあり、インドで発生しがちな肝炎、デング熱、コレラ、破傷風、狂犬病などさまざまな感染症予防接種をして来なかった後悔の念がわき起こる。
水はもちろんのこと、食べ物全てに慎重にならざるを得ず、滞在中必ず一回はおなかの調子がおかしくなると言われているここインドの食生活には想像以上に神経質になる。
そして乗り込んだタクシーの料金メーターはまるで100メートル走のストップウォッチのような早さで課金されて行っているが、これが普通なのか、故障しているかさえもはっきり分からず、ただただ異文化の環境に驚愕の時間が過ぎて行く。
もちろん言葉は通じず目的地に着くまで、そのメーターの加速スピードは外国人用に細工がされているのではないかと疑ってしまう。
到着してメーター表示を見るが、2のような、3のような、6のような、8のような、9のような、一体どの数字が正しいのか判断出来ない代物で、私の主張はもちろん120ルピーだが、ドライバーの主張は
160ルピーと日本円にすると小額だが、まあいいやとしてしまうと彼らのカモがネギをしょっている観光客になってしまうので、そこは一歩も引かず、根負けしないで主張するところは主張する。
昨晩、空港からゲストハウスまで道のりではまだ気づいていなかったが、今はインドの人口の多さを目のあたりにしている。
とにかく車はクラクションをやたらと鳴らし、車線変更も方向指示器使用などなく、サイドミラーも壊れていたり、更にもっと驚いたことは高速道路で渋滞していると入口に向かって僅かな距離ではあるが数台が逆走して行き、正常な進入車両があろうともおかまいなしで進行して行く。

4車線ある道路の交差点でも信号機が設置されていないなど、よくこの環境で衝突事故が起こらないものだと感心してしまう。

車、リクシャー、バイク、自転車、歩行者が道にあふれ、交通ルールは一応あるのだろうが車線の真ん中を走る車も多く、あってないようなものなのかもしれない。

痩せた牛が道を横切り、ラクダが公道をゆうゆうと歩き、豚が測道を走り回り、野猿が昼寝をしている環境にぶったまげる。

人の多さに圧倒される喧噪と貧困の国インド、信仰心の強いこの国の人たちから別の意味で学ぶことは多そうだ。

cheers